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スタンラン「黒猫」(ポスター)


かつてモンマルトルにあった文学キャバレー、
「シャ・ノワール(黒猫)」。
ゾラやヴェルヌをはじめ、文学者、音楽家、画家など
さまざまな文化人が集まった場所で、
ここのポスターを描いたのが
テオフィル・アレキサンドル・スタンランです。


スタンラン「黒猫」
 Soon, the Black Cat Tour by Rodolphe Salis(1896)
 Théophile Alexandre Steinlen




ロートレックと同時期にポスターや新聞、雑誌で活躍し、
モンマルトルに暮らす庶民のありのままの姿を描いたことから
スタンランは「街のミレー」と呼ばれたのだとか。
そして別の呼び名が「猫の画家」。
「黒猫」のポスターをはじめ実に多くの猫作品を描き、
自身もたくさんの猫を飼っていたのだそうです。
あぁ、黒猫! ジジ! かわいいですよねぇ。。
凛々しくて、いたずらっぽくて。



谷中の黒猫



そんなわけで、先日撮影した黒猫画像。
藝大美術館の帰りに谷根千ぶらり散歩を楽しんでいたときに
谷中のお寺入り口で出会いまして。
前に住んでいたところではよく夜中に黒猫が出没して、
仕事帰りの疲れたときに遊んでもらったことを思い出しました。
ほかにも黒猫には思い出があって(ほんとにささやかな思い出だけど)、
また大切な人のことを考えて、なんとなしにため息が出ました。
それは悲しさではなくて安らぎだったりするのだけれど。


山の子の
山を思ふがごとくにも
かなしき時は君を思へり
(石川啄木)



うまくいかないことが色々あって、
そのたびにあなたを思う自分がいます。
さびしいけれど、
それだけで元気がわいてくるんだ。




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高橋由一「芝浦夕陽」


東京藝術大学大学美術館の「高橋由一展」。
なんといっても注目は3枚の「鮭」なんですけど、
個人的に心ひかれたのは風景画のほうでした。
由一が描く夕景は、そりゃあもうロマンチックで。


高橋由一「芝浦夕陽」
 The Setting Sun at Shibaura(1877)
 Takahashi Yuichi




こちらは高橋由一「芝浦夕陽」。
2年前に府中市美術館の企画展
「バルビゾンからの贈りもの」でも展示されていた作品で、
あらためて素敵だなーとほれぼれしました。
リアリズムを追求し、匂いまで描き込まれていそうな「鮭」とは正反対に、
ここで描かれるのは情感に満ちた海辺の風景。
感傷的で、胸をわしづかみにされそうで。
思わず目をつぶって対話したくなる。


時は明治10年頃、
巷では蒸気機関が走り、街路は整備され、
“散切り頭を叩いてみれば文明開化の音がする”時代。
でも由一が描いた「芝浦夕陽」は、
そんな時代の流れから取り残されたような
古き良き漁村の風景です。
失われゆく原風景を絵画として残そうとしたのかなぁ。


東京藝術大学大学美術館の展覧会
「近代洋画の開拓者 高橋由一」は、6月24日まで。
その後京都国立近代美術館に巡回します。
今回ご紹介した「芝浦夕陽」は東京でしか見られませんが、
その代わりに京都ではあの「豆腐」が展示されます。
豆腐に鮭、なんてうらやましい!




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「KATAGAMI STYLE」を見てきました♪


昨日は根津美術館のあと、どこに行こうかあれこれ迷いまして。
時間も微妙だし、パパッと見て帰るかなーくらいの気持ちで
三菱一号館美術館の「KATAGAMI Style」を見てきたんですが……
これがものすごく面白かった!!
結局閉館ギリギリまで食い入るように見てきました。


KATAGAMI Styke



KATAGAMI(型紙)は、絹や綿に模様をつけるために使われた道具。
菊や千鳥、流水などの模様を彫り抜いた厚紙のことで、
尾形光琳の「燕子花図屏風」も、これを利用して描かれたと言われています。
この型紙が欧米にわたったのが19世紀後半。
各国の芸術家やデザイナーは
緻密かつ大胆な型紙の造型に衝撃を受け、
独自の解釈でその文化を吸収していきます。

katagami1
 型紙「萩と銀杏に露芝」。細かくて細かくてため息しか出ない。



展覧会ではこうした日本の型紙コレクションと浮世絵作品のほか、
型紙から発展した各国の多彩な作品が並びます。
英国からはウィリアム・モリスやウォルター・クレイン、ビアズリー(!!)、
フランスからはモーリス・ドニ、ヴァロットン、ミュシャ(仏時代の作品)、
さらにガレやドーム兄弟、ラリックの工芸品まで豪華面々の作品が揃い踏み。
このほかドイツ、オーストリア、オランダの作品も集まっていて、
質・量ともに眩暈がしてしまいそうなほどです。
よくこれだけ集めたなーって。
三菱一号館美術館の展覧会はいろいろ見てきましたが、
今回が一番よかったかも。

リバティ商会「シラン・シルク見本帳」ジズベール・コンバス「ポスター《自由美学》」
 左:リバティ商会「シラン・シルク見本帳」
 右:ジズベール・コンバス「ポスター《自由美学》」



展覧会のサブタイトルは「世界が恋した日本のデザイン」。
う〜む、素敵なキャッチコピーですね。
型紙を目にしたときの欧米の芸術家たちの胸の高鳴りが、
装飾的な作品群から聞こえてきそう。
とにかく見ていて飽きないし、細かくて美しくてリズミカルで言うことなし。
もうちょっと時間があれば……とそこだけ後悔です(笑)


「KATAGAMI Style」は5月27日まで三菱一号館美術館で展示し、
その後京都国立近代美術館(7/7〜8/19)、
三重県立美術館(8/28〜10/14)に巡回します。
うう、どうしよっかな。もう一回行こうかな・・・。

型紙4
 型紙「乱菊」。海の向こうから里帰りです。




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尾形光琳「八橋図屏風」


5月といえば、根津美術館ですね。
庭園のカキツバタに加えて、
尾形光琳の「燕子花図屏風」を一般公開!
さらに今年は、メトロポリタン美術館所蔵の
「八橋図屏風」を並べて見ることができるのです。


尾形光琳「八橋図屏風」
 Eight Bridges(18th century)
 Ogata Korin




ということで、根津美術館の「KORIN展」より
尾形光琳「八橋図屏風」です。
国宝「燕子花図屏風」を制作してからおよそ10年を経て、
再び光琳が描いたのはカキツバタの群生。
金地に群青と緑青で踊るように描かれた花々は
「燕子花図屏風」と同様ですが、
大きく異なるのは……橋の存在です。


そもそも両作品は伊勢物語という古典の一場面を描いたもの。
八つの橋を渡したことから「八橋」という名をつけられた場所があり、
そこに咲き誇るカキツバタを見て、在原業平が歌を詠みます。
それが有名なこの歌。

唐衣きつゝなれにしつましあれば はるばるきぬる旅をしぞ思ふ

それぞれの句の頭文字をつなげると、「かきつばた」になります。
古文の授業で習いましたよね。
ちょっと話がそれてしまいましたが、
そんなわけでこのカキツバタ、橋とセットで描かれるのが通例なんです。
ところが「燕子花図屏風」では大胆にも橋を描かなかった。
花の表現もおおらかで柔らかい印象で、
型紙を使ってクローン的に描き込んでいることでも知られています。
非常に実験的な作品で、
「思いついちゃったもんねー!」という鼻高々な声が聞こえてきそう(笑)

尾形光琳「燕子花図屏風」右隻
 「燕子花図屏風」右隻。踊るように咲く。



一方、後者の「八橋図屏風」では橋をしっかり描き込んでいます。
花の表現もより細かくて、
どことなくとんがった印象で緊張感が漂っていました。
こちらは型紙を使わず、金箔の上に直接絵の具を載せていったそうです。
ものすごく難しい技法で、相当な腕がないとできないみたい。
「超絶技巧を見せてやるぜ!」という鼻高々な声が聞こえてきそう(笑)

尾形光琳「八橋図屏風」右隻
 「八橋図屏風」右隻。雷のように橋がわたる。



こんな感じで、両者を並べて見比べてみるといろんな発見があって面白いです。
なんせ、合わせて展示されるのはおよそ100年ぶりだそうですから。
「100年ぶり」っていうのが何か、自分にとっては勇気の出る響きで。
どれだけ時間がたったとしても、色褪せないものがあるっていうのが。
意味不明ですよね。すんません。
それでは最後に、根津美術館のお庭のカキツバタを。


かきつばた




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ティソ「夏」


ジェームス・ティソ「夏」。
黒ずくめの女性が手にしているのは
19世紀後半にオシャレの必需品とされていたパラソル(日傘)。
なるほど優雅で美しい。
ちなみにこちら、日本の日傘になります。


ティソ「夏」
 Summer(1878)
 James Tissot




そんなわけで、母の日には日傘を贈ろうと思ってたんですけどね。


……母の日、13日でしたか。


20日だってどこかで聞いたはずなんだけどな。
うーんどうしよう。
前々から気になってた傘屋さんがあったんだけど
今からだと早くても来週金曜のお届けらしく。。。
あせって変なもの買って無理矢理間に合わせるより、
1週間遅れでもちゃんとしたもの贈ったほうがいいような気もするけれど。
しかしそれってどうなんだろう。
普段親不孝なだけになぁー。
もうちょっとだけ考えよう。そうしよう。



話は変わって。
ぼくが一部執筆した本が4月に書店に並んだんですが、
めでたく某ビジネス本ランキングで1位に輝きました。
わーパチパチパチ…(拍手)
苦労したかいがあったというものです。
なにげに頑張ってるんだよ。
ほんとはもっと違う形で結果を出さなきゃいけないんだけど、
そっちはそっちでコツコツ頑張ってます。




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ピサロ「エラニーの牛を追う娘」


GW最終日の5月6日、
前々から気になっていた宇都宮美術館に行ってきました。
めずらしく友達と、いわゆる旅猿みたいな。
お目当ては「カミーユ・ピサロと印象派 永遠の近代」です。


ピサロ「エラニーの牛を追う娘」
 Vachère à Eragny(1884)
 Camille Pissarro




こちらはピサロ「エラニーの牛を追う娘」。
実物はもう少し暖色が強めで、柔らかな光が印象的でした。
ピサロは印象派展の1回目から8回目まで
律儀に出品し続けた唯一の画家であったり
気難し屋のセザンヌに野外制作の素晴らしさを教えて慕われたりと、
印象派の最年長として、とかく作品そのものよりも
人柄で語られがちな画家なわけですが……。
展覧会で彼の画業を振り返って見てみると、
確かに印象派の画家たちのなかでは地味な作風ではあるけれど、
ぶれない暖かさというか優しさというか詩情にあふれていて。
やっぱり絵に人柄があらわれているんでしょうねぇ。
エミール・ゾラがそんなピサロをツンデレ的に
紹介しているコメントがあるのでご紹介。


目にはまったく楽しいものではない。
深刻で厳粛な種類の絵画、
真実と正確さに対する並外れた配慮、
鉄のごとき意志。
まったく馬鹿の一つ覚えのように
君は生真面目にすぎる。
しかし君のような芸術家を私は好む。
          (エミール・ゾラ)




どうでしょうか。
見事にピサロという画家の作風を言い当てた台詞だと思うのです。
のどかで、心地よくて、見ているだけで幸せになれる。
たとえ退屈でも、楽しくなくてもいいんです。
「誰も見向きもしないような辺鄙な場所に美しいものを見る人こそ幸福である」
ピサロのこの言葉は、そのまま彼の絵にも当てはまると思うんだなぁ。


ところで今回、一緒に宇都宮に行った友人は
ほぼ美術館初体験でした。
最初にピサロ展はちょっと難しかったかなーとも思いつつ、
なんだかんだで楽しんでたみたいで良かったです。
何より美術館の環境がね。
広々としてて人も少なめで静かだし、
まわりには見渡す限りの緑。
こんな素敵な環境で美術鑑賞なんて、
最高のぜいたくでございますよ。
これが男同士でなかったら……それを言ったらおしまいか(笑)




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高島野十郎「百合とヴァイオリン」


色褪せた静謐。
曲を奏でることもできず、倒れ伏すヴァイオリン。
最期を看取るように百合の花が寄り添い、
その白は儚い光のようです。
高島野十郎「百合とヴァイオリン」。
DIC川村記念美術館の企画展「フラワースケープ」より。


高島野十郎「百合とヴァイオリン」
 Lily and Violin(c.1921-26)
 Takashima Yajuro




それにしても……見るだに寂しい気持ちになる一枚です。
少し弓が曲がってはいないか。
ヴァイオリンが歪んではいないか。
百合は枯れかけていないか。
壁にはかすかに亀裂が、影のような染みが。
じっと見ていると、
十字架からおろされたキリストを抱くマリアのように
あのピエタの図像のようにも見えてきます。


白い花。
いつまでも、
清く美しくあらんことを。




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Appendix

プロフィール

スエスエ201

Author:スエスエ201
足立区から荒川区に引っ越しました。編集・ライターです。美術館巡り大好き、ロック大好き、読書大好き。そんで白い花が大好きです。


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美術展情報(5/14更新)

セザンヌ展(国立新美術館)、ユベール・ロベール展(国立西洋美術館)を追加しました。
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