フェルメール「牛乳を注ぐ女」
有吉玉青の「恋するフェルメール」という作品を読みました。
フェルメール37作品を巡る旅物語で、
とにかく著者のフェルメール愛がものすごいんですね。
作品を追いかけて東へ西へ、西へ東へ。
読んでる自分も、彼女の恋を応援したくなってしまうくらい。
これだけ熱烈に愛されるのだから、
やっぱりすごい画家なんだな、と。
The milkmaid(c.1660)
Johannes Vermeer
こちらはヨハネス・フェルメール「牛乳を注ぐ女」。
有吉玉青がベスト・オブ・フェルメールに選んだ作品であり、
2007年の来日時、僕が見逃した作品だったりします。
女性の衣装は、フェルメールならではの黄色と青。
窓から射し込む光はやわらかな粒子となり、
さりげない日常の行為を祝福するかのよう。
華やかな物語があるわけではなく、
教訓が刻まれているわけでもなく、
それでも僕がフェルメールの作品に惹かれてしまうのは
日常のささいな喜びが、ただただ美しく描かれているからだと思います。
何もない空気中で光がきらきらと瞬くのは、
宙を舞うほこりに光が反射するからなんですよね。
フェルメールが捉えた美しい光は決して精神的なものではなく、
こうした生活に根ざしたものだったんじゃないかなぁと。
「恋するフェルメール」では、
これぞフェルメール愛!とうならされてしまう表現がたくさん登場します。
僕の拙い表現よりもよっぽどためになると思うので、
以下、いくつか引用させていただきます。
どうしてこんなことができるのだろうと近づいたり離れたりし、
ここには何が描いてあるのだろうと細部に目をこらすうちに、
いつしか私は何も見さえしないで、
ただ絵の前にたたずむことになるのだ。
そうしてフェルメールの「永遠」の一部となる。
フェルメールの前で沈黙してしまうのは、当然のことだったのだ。
なぜならば、フェルメールを愛しているから。
言葉は思いに追いつかず、言葉にするほどに嘘になる。
私は言葉を失って、
また言葉にするのをあきらめて、
ただ、そこにたたずむ。
何も考えられない、それが愛なのだ。
フェルメール・ラバーの思いを代弁してくれるようなこの文章。
ちなみに有吉玉青さんは、
作家の有吉佐和子の娘さんなのだそうな。
なるほど納得ですね。
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