
ユトリロとヴァラドン 母と子の物語
スュザンヌ・ヴァラドンとモーリス・ユトリロ。フランス美術史に名を残す母子の展覧会が、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で開かれています。20世紀初めのモンマルトルの街並を描いたユトリロに関しては、美術ファンならよく知った名前だと思います。ですがヴァラドンとなるとどうでしょう。どちらかといえばルノワールやロートレックのモデルを務めた女性としてのほうが有名かもしれません。そしてパリに多くの浮き名を...

シャヴァンヌ「貧しき漁夫」
そういえば。来年1月より、Bunkamuraでシャヴァンヌ展が予定されているのでした。印象派やアカデミズムとは一線を画し、19世紀最大の壁画家と呼ばれたピュヴィス・ド・シャヴァンヌ。穏やかな色彩と詩情をたたえた作風は同時代のフランスの画家、ドニやルドン、スーラなどに支持されました。シャヴァンヌの作品というと、印象深いのはやはりこちらでしょうか。オルセー美術館所蔵、「貧しき漁夫」という作品です。The Poor Fisherm...

ディアズ「マルグリット(ひな菊占い)」
真剣な面持ちで、手元の花を見つめる少女。一枚一枚花びらをむしり、その数で恋を占っているのでしょう。ディアズ・ド・ラ・ペニャ「マルグリット(ひな菊占い)」。マルグリットは英語名でマーガレットのことで花占いに使われる定番の花です。描かれた年代的に椿姫のマルグリットと関係あるのかな?と思ったけど表情が少し幼いので、きっと別物でしょうね。Marguerite(1864)Diaz De La Pena日本では花占いというと「好き、嫌い...

ドラクロワ「シビュラと黄金の小枝」
シビュラ。彼女は暗い森のなかに黄金の小枝を指し示し、高貴な心の持ち主と神々に愛されし者たちを征服し、昏き森のなかにて金の枝を揚げる。 La Sibylle au rameau d'or(1838) Eugene Delacroixウジェーヌ・ドラクロワ「シビュラと黄金の小枝」。フランス・ロマン派の雄が描いたのは古代ローマの詩人ウェルギリウスの叙事詩「アエネイス」に登場する巫女です。冥界への道を進むには、黄金の小枝がなければならない。それはシ...

川村清雄「建国」(川村清雄展より)
「和魂洋才」という言葉があります。日本古来の精神を失わずに、西洋の優れた技術を取り入れ、両者を調和・発展させていくというもの。この言葉を体現し、油絵で日本の風物を描いたのが川村清雄という画家です。明治維新間もない時期に渡欧し油絵を本格的に学んだ最初期の画家であり、勝海舟が我が子のように愛した人物。海外の油絵を学びながら、それを日本の伝統と結びつけた作風は独自性が強すぎたのか、やがて画壇から存在を忘...
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