
佐伯祐三「人形」「ロシアの少女」
前回に引き続き、佐伯祐三について。展覧会では陰鬱で重い印象の作品が多かったのですが、例外的に明るくて愛らしい作品もありました。たとえばこちら。「人形」という作品です。Doll(c.1925)Saeki Yuzo佐伯はこの人形に一目惚れしてしまったのか、1000フランで購入してしまい、その結果、実家や友人から借金をするはめになったのだとか。それくらい愛らしい人形だったのでしょう。このほか、「ロシアの少女」という作品でも黄色...

佐伯祐三「立てる自画像」
創作活動に悩みや迷いはつきものですが、心の葛藤をここまで直截に描いた作品も珍しいと思います。佐伯祐三「立てる自画像」。自画像の命とも言える顔を削り落した、苦悩の一枚です。Standing Self-Portrait(1924)Saeki Yuzo30歳という若さで亡くなるまで、わずか6年たらずの活動期間の多くをフランスで送った佐伯祐三ですが、そこでの画家生活は決して順風なものではありませんでした。1924年の初夏、最初の渡仏時に自信作の裸...
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