
清宮質文「山上の湖」
河瀬の音が山に来る、春の光は、石のやうだ。筧〈かけひ〉の水は、物語る白髪の嫗〈おうな〉にさも肖〈に〉てる。雲母の口して歌つたよ、背〈うし〉ろに倒れ、歌つたよ、心は涸〈か〉れて皺枯〈しわが〉れて、巌〈いはほ〉の上の、綱渡り。知れざる炎、空にゆき!響の雨は、濡れ冠る!‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥われかにかくに手を拍く……(中原中也「悲しき朝」)中原中也の詩と清宮質文の版画は、「また来ん春…」という本で合わせて見ることがで...
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