
俵屋宗達「伊勢物語図色紙《大淀》」
大淀の浜に生ふてふみるからに心はなぎぬ語らはねども俵屋宗達「伊勢物語図色紙《大淀》」。対角線上に置かれた男と女。たがいに見つめ合いながらも、その距離感がすべてを物語っています。「あなたを伊勢の国につれていって一緒に住みたい」とささやく男に対し、女は冒頭の歌でこたえます。伊勢の大淀の浜には海松(みる)が生えていますが、その名のように、私はあなたを見ているだけで心が落ち着くのです。いただいた言葉だけで...

俵屋宗達「月に秋草図屏風」
画家が意図したものではないにせよ、朽ちなんとする黒変の月は時のうつろいを感じさせ、哀れをさそうものでした。もとは金地に銀の月がかがやく、壮麗な屏風であったろうに。見る角度によっては光のなかに消えてしまう芒もまた、ひどく繊細ではかなくて。俵屋宗達「月に秋草図屏風」。出光美術館にて。この屏風は出光美術館の「日本絵画の魅惑」で展示されていました。隣には酒井抱一の「風神雷神図屏風」。静と動の両極のような、...

琳派の傑作「風神雷神図屏風」が東京に集結!
琳派芸術のアイコンともいえる、「風神雷神図屏風」。俵屋宗達が描いたものを尾形光琳がうつし、光琳版を酒井抱一が、という具合に時代と場所をこえて受け継がれていきました。そして現代。これら3つの風神雷神図を、東京で見ることができます。俵屋宗達版は東京国立博物館の平成館(栄西と建仁寺展)、尾形光琳版は東京国立博物館の本館、酒井抱一版は出光美術館(日本絵画の魅惑)。今回、これら3つの「風神雷神図屏風」を見てま...

俵屋宗達「蔦の細道図屏風」
琳派は粋で、かっこいい。俵屋宗達の「蔦の細道図屏風」を見て、つくづくそう思いました。現代の作品と言われても納得してしまいそうなデザイン性はこれはもう奇跡的としか言いようがありません。 Ivy-Bound Lane(17 Century)Tawaraya Sotatsu金箔の背景と、緑一色の野原。その境にはこれも緑の蔦の葉が散らされ、金地に溶けていきます。伊勢物語の「東下り」で主人公の一行が駿河国の宇津山を越える場面を描いたものですが...

本阿弥光悦・俵屋宗達「花卉摺絵古今集和歌巻」
前回に引き続き、出光美術館「琳派芸術」より。前期展示で一番印象に残ったのが、実はこちらの作品。「花卉摺絵古今集和歌巻」(部分)です。Poems from Kokin Waka-shu over Design of FlowersCalligraphy: Hon'ami KoetsuDesign: Tawaraya Sotatsu書は本阿弥光悦、版下絵は俵屋宗達。金泥による装飾的な下絵は柳、桜、蔦、雌日芝、忍草。そして「古今和歌集(秋歌下)」から散らし書きされた10首の和歌。やっぱり編集者としては...
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