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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

イヴ・タンギー「火、色彩」

大好きなイヴ・タンギーの作品を。富山県立近代美術館の所蔵、「火、色彩」です。例によって謎めいたタイトルです。「色彩」はなんとなく分かるけど、「火」は何を意味しているのだろう。タンギーが描く形態はどことなく、炎の揺らぎに見えなくもないけれど。これらをむすぶ糸、そして実在を主張するような濃い影。不可解な世界なのにどこか心地よく、いつまでも浸っていたいと思わせる魔力があります。この作品は、東京ステーショ...
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イヴ・タンギー「恐れ」

悪意は天たかく積みあがり、丸裸の弱きものを容赦なく指差す、と。イヴ・タンギー「恐れ」。意図は分からずとも、考えさせられる一枚です。Fear(1949)Yves Tanguyシュテファン・ツヴァイクの伝記小説「マリー・アントワネット」を読みまして、翻訳が中野京子氏ということもあって非常に読みやすく感銘をうけてその感想はまた別の機会に書きたいと思うんですが、ふと感じたことは民衆の悪意また悪意嘲笑や怨嗟が一人の人間を追い...
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イヴ・タンギー「聾者の耳」

先日Bunkamuraに行った際、めずらしくアンケートに記入してみました。「見てみたい展覧会」みたいな項目があって、たくさんありすぎて困ってしまったわけですが一番企画してほしいのは……やっぱりこの人の回顧展かなぁ。 The Ears of a Deaf(1938) Yves Tanguy「もっとも純粋なシュルレアリスト」、イヴ・タンギー。当ブログでも何度かご紹介していますね。パリに生まれ、20代のときにキリコの作品を見て絵画に目覚め、正規の美...
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イヴ・タンギー「想像上の数」

「弧の増殖」と同じ年に描かれた、イヴ・タンギー晩年の傑作「想像上の数」。これもまた、深く考えさせられる一枚です。 Imaginary Numbers(1954) Yves Tanguy手前に見えるのは、黒い海でしょうか。その上に橋のようにわたされた、生物的形態。徐々に海を侵食し、覆い尽くさんばかりに。増殖の結果としての「弧の増殖」も怖いけど、その過程ともとれる「想像上の数」も、なんとも言えず……。原題の「Imaginary numbers」ですが...
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イヴ・タンギー「弧の増殖」

前回に引き続き、イヴ・タンギー。あれから図録をパラパラと眺めてたんですが、やっぱり描かれている物体は人間のように思えてきて。人間でないにしても、何か命あるものだと思うのです。「biomorph(生物的形態)」とも呼ばれているのだとか。でも……そうだとしたら、この作品はあまりに怖い。 Multiplication of the Arcs(1954) Yves Tanguyイヴ・タンギー「弧の増殖」。無限に増え続け、ついに地平を覆い尽くしてしまった生...
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イヴ・タンギー「棒占い」

結局何が描いてあるのかよくわからないけど、どこからどう見ても彼の絵にしか見えない。ひたすら不可思議な世界を描き続けたシュルレアリスムの画家、イヴ・タンギー。作品名は「棒占い」。3色の背景の前に構築された、奇妙な集合体。いったい画家は、何を描こうとしたんだろう。 Rhabdomancie(1947) Yves Tanguy今から35年以上も前に銀座で開かれたイヴ・タンギーの版画展の図録が手元にありまして。古本屋で買い求めたもので...
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イヴ・タンギー「夏の四時に、希望……」

小さな谷川の底を写した二枚の青い幻燈です。(宮沢賢治「やまなし」より) A quatre heures d'été, l'espoir ...(1929) Yves Tanguyシュルレアリスムの画家イヴ・タンギーが描いたのは、此の世のどこともつかぬ幻想風景。「夏の四時に、希望……」、タイトルも謎めいています。この絵をじっと見ていたら、中央の黄色い物体がなんだか翼を広げた鳥のように思えてきました。この景色が水底だとするならば右側では砂が水...
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イヴ・タンギー「岩の窓のある宮殿」

国立新美術館の「シュルレアリスム展」に行ってきました。今回の目的はイヴ・タンギー。近代美術館の「聾者の耳」を見て以来惚れ込んでしまい、今回の「シュルレアリスム展」で新たな作品に出会えるのを楽しみにしていたわけです。Le Palais aux rochers de fenêtres(1942)Yves Tanguyこちらはイヴ・タンギー「岩の窓のある宮殿」。どれが岩? どれが窓? どれが宮殿?そんなことは、考えてはいけません。感じるのです。何...
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