
山本芳翠「灯を持つ乙女」
光と影が綾なす、無上の美しさ。山本芳翠「灯を持つ乙女」。日本人が忘れてしまった美意識が、この一枚に込められているように思います。灯した炎を消さぬように、手のひらで風よけのおおいを作る和装の女性。蝋燭の炎はかざした手を透かし、彼女の顔を照らし出し……えも言われぬ、神秘的な光景です。アート好きの方なら、この「灯りを持つ乙女」を見たときジョルジュ・ド・ラ・トゥールの作品を思い浮かべるかもしれません。女性と...

山本芳翠「唐家屯月下之歩哨」
2010年最初の美術館詣で。どこに行こうか迷って国立近代美術館に決めたものの、結局途中で予定を変更。皇居内にある三の丸尚蔵館の「近代の洋画家、創作の眼差し」を見てきました。こちらは山本芳翠の「唐家屯月下之歩哨」。山本は日清戦争に従軍画家として赴いており、そこで見た光景を描いたものだそうです。バルビゾン派風のいぶし銀の樹木の合間から山頂の右上に輝くのは、落日ではなく満月。月明かりが中央の小川にゆらめき、...
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