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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

青木繁「輪転」

太陽の下で踊る裸婦たち。同じ群舞でも、マティスの「ダンス」とは実に対照的です。金と青がまじり合い、濁り、心地よい混沌を生み出していく。青木繁「輪転」、祭祀的な雰囲気の一枚です。Metempsychosis(1903)Aoki Shigeru先日の福岡出張、初日は移動だけだったので福岡空港から久留米へ向かい、石橋美術館に行ってきました。ここはおなじみ東京・ブリヂストン美術館の姉妹館。福岡出身の画家の作品が多く収蔵されており、その...
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青木繁「朝日(絶筆)」

先日、ブリヂストン美術館の青木繁展で見た、「朝日」。作品の舞台である唐津湾は北向きに開いているため、本来この海に朝日が昇ることはないそうです。青木繁は想像によって、昇るはずのない太陽を描きました。それまでの動的な海景から一転して、穏やかな海にのぼる朝日を。The Morning Sun(1910)Aoki Shigeru早逝の画家が最後に描いた海は、おどろくほどに穏やかでした。水平線の向こうからのぼった太陽はしずかに空を照らし...
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青木繁「黄泉比良坂」

狂おしい青。堕ちていく青。青木繁「黄泉比良坂(よもつひらさか)」のまえで、ぼくはなんだか怖くなって、動けなくなりました。Yomotsuhirasaka, Escape from the Land of the Dead(1903)Aoki Shigeru黄泉の国で再会した、イザナギとイザナミの物語。光のなかで頭を抱え、背を向けるイザナギの姿がこの悲劇を物語っています。それにしても、この青は……。21歳の青年が描くにしては、あまりにも深く暗すぎます。若さゆえの激しさ...
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青木繁「わだつみのいろこの宮」

水を入れた壷をささげもつ、2人の女性。彼女たちの着衣に注目です。青木繁「わだつみのいろこの宮」。これは『古事記』の海幸彦・山幸彦の一場面。Paradise under the Sea(1907)Aoki Shigeru画面上部、木の枝に隠れて座るのが山幸彦。赤い衣をまとい、山幸彦と視線を交わすのが豊玉姫。右側の白い衣の女性は、姫の侍女です。兄・海幸彦に借りた釣針をなくしてしまった山幸彦は、途方に暮れながら綿津見(わだつみ)の宮を訪れ、...
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青木繁「海の幸」

収穫をかつぎ、列をなして進む裸の男たち。歓喜の行進なのか、物憂い歩みなのか、ぼくにはどちらともつきませんでした。青木繁「海の幸」。ブリヂストン美術館『青木繁展』より。A Gift of the Sea(1904)Aoki Shigeru縦横にひかれた下書きの線はそのまま残され、色使いは荒々しく、塗り残しも目立つ。赤や黒の輪郭線は強くぶっきらぼうに、刻み付けるように。生々しく、力強く、男たちの息づかいが聞こえてきそうです。青木繁の...
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