
青木繁「朝日(絶筆)」
先日、ブリヂストン美術館の青木繁展で見た、「朝日」。作品の舞台である唐津湾は北向きに開いているため、本来この海に朝日が昇ることはないそうです。青木繁は想像によって、昇るはずのない太陽を描きました。それまでの動的な海景から一転して、穏やかな海にのぼる朝日を。The Morning Sun(1910)Aoki Shigeru早逝の画家が最後に描いた海は、おどろくほどに穏やかでした。水平線の向こうからのぼった太陽はしずかに空を照らし...

青木繁「黄泉比良坂」
狂おしい青。堕ちていく青。青木繁「黄泉比良坂(よもつひらさか)」のまえで、ぼくはなんだか怖くなって、動けなくなりました。Yomotsuhirasaka, Escape from the Land of the Dead(1903)Aoki Shigeru黄泉の国で再会した、イザナギとイザナミの物語。光のなかで頭を抱え、背を向けるイザナギの姿がこの悲劇を物語っています。それにしても、この青は……。21歳の青年が描くにしては、あまりにも深く暗すぎます。若さゆえの激しさ...

青木繁「わだつみのいろこの宮」
水を入れた壷をささげもつ、2人の女性。彼女たちの着衣に注目です。青木繁「わだつみのいろこの宮」。これは『古事記』の海幸彦・山幸彦の一場面。Paradise under the Sea(1907)Aoki Shigeru画面上部、木の枝に隠れて座るのが山幸彦。赤い衣をまとい、山幸彦と視線を交わすのが豊玉姫。右側の白い衣の女性は、姫の侍女です。兄・海幸彦に借りた釣針をなくしてしまった山幸彦は、途方に暮れながら綿津見(わだつみ)の宮を訪れ、...
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