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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

藤島武二「蝶」

あたかも蝶のごとく、花にくちびるをあてて蜜をすう乙女。その鱗粉が、花の香が、画面からこぼれ落ちてきそうですが……。それよりもっと激しいのは胸元をはだけた乙女の色香でしょうか。藤島武二「蝶」。実に官能的な一枚です。Butterfly(1904)Fujishima Takeji心に傷手をうけた時のことだった。私は野を歩きまわった。すると、私は一羽のチョウが青い風に吹かれているのを見た。チョウはきわだって白く、また濃い赤のまだらだっ...
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藤島武二「天平の面影」

古代情緒ただよう婦人像。彼女が手にしているのは、「くご」という楽器。藤島武二は正倉院でこの楽器を見て、天平時代をテーマにした作品を描こうと考えたのだとか。垂直に伸びた桐の木と、対角線に置かれた「くご」が織り成す安定感。黄金色の背景は、輝ける古代の文化を思わせます。日本の浪漫主義の傑作「天平の面影」、遠く昔の楽の音が聞こえてきそうな一枚です。 Reminiscence of the Tempyo Era(1902) Fujishima Takeji...
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藤島武二「みだれ髪」(装丁)

この書の体裁は悉く藤島武二先生の意匠に成れり表紙画みだれ髪の輪廓は恋愛の矢のハートを射たるにて矢の根より吹き出でたる花は詩を意味せるなり与謝野晶子の処女歌集「みだれ髪」。恋愛というものを大胆に奔放に歌い上げた傑作ですが、その装丁と挿画を担当したのが洋画家の藤島武二でした。冒頭で紹介した文章は、「みだれ髪」の序文として書かれているもの。目次を見ると与謝野晶子の名前よりも先に藤島武二の名前が出てくるの...
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藤島武二「黒扇」

凛々しい眼差し。まっすぐに伸びた鼻梁。白いヴェールと黒い扇のコントラストが女性の美しさを際立たせています。Black Fan(1908)Takeji Fujishima藤島武二「黒扇」。瞳が青いことを考えると、モデルは外国の方なんでしょうね。どことなくエキゾチックな雰囲気を醸し出しつつ、画家を、あるいは観者をまっすぐ見返す強い意志を感じさせる一枚です。この「黒扇」は、ブリヂストン美術館の「なぜ、これが傑作なの?」で展示されて...
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