
藤島武二「天平の面影」
古代情緒ただよう婦人像。彼女が手にしているのは、「くご」という楽器。藤島武二は正倉院でこの楽器を見て、天平時代をテーマにした作品を描こうと考えたのだとか。垂直に伸びた桐の木と、対角線に置かれた「くご」が織り成す安定感。黄金色の背景は、輝ける古代の文化を思わせます。日本の浪漫主義の傑作「天平の面影」、遠く昔の楽の音が聞こえてきそうな一枚です。 Reminiscence of the Tempyo Era(1902) Fujishima Takeji...

藤島武二「みだれ髪」(装丁)
この書の体裁は悉く藤島武二先生の意匠に成れり表紙画みだれ髪の輪廓は恋愛の矢のハートを射たるにて矢の根より吹き出でたる花は詩を意味せるなり与謝野晶子の処女歌集「みだれ髪」。恋愛というものを大胆に奔放に歌い上げた傑作ですが、その装丁と挿画を担当したのが洋画家の藤島武二でした。冒頭で紹介した文章は、「みだれ髪」の序文として書かれているもの。目次を見ると与謝野晶子の名前よりも先に藤島武二の名前が出てくるの...
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