
川村清雄「鸚鵡」(もうひとつの川村清雄展より)
もうひとつ、川村清雄の作品を。縦長の朱漆塗の板に描かれた「鸚鵡(おうむ)」という作品です。突然飛び立った蝶におどろいて、羽を振り上げる白い鸚鵡。ギョッとした表情がなんとも愛らしいですね。ツルツルとした朱漆とは対照的な、油絵の具という質感の妙。相性の悪そうな2つの材質を組み合わせ定着させるのも、さまざまな支持体を駆使して作品を描いた清雄ならではの技術なのでしょう。白と赤、油絵の具と朱漆という鮮烈な対...

川村清雄「形見の直垂(虫干)」(川村清雄展より)
どことなく、不思議な雰囲気の作品です。白の直垂をまとった少女は左手を伸ばし、その先には、男性の胸像が。その下方に見えるのは菊の花でしょうか……?何やらいわくありげなこの作品、川村清雄が生涯手放さなかったという傑作「形見の直垂(虫干)」です。明治洋画の先駆者の一人、川村清雄。維新からまもない明治4年に渡米し、その後フランス、イタリアで油絵を学びますが、帰国後は大蔵省印刷局に勤務するも人間関係で苦労し、1...

川村清雄「建国」(川村清雄展より)
「和魂洋才」という言葉があります。日本古来の精神を失わずに、西洋の優れた技術を取り入れ、両者を調和・発展させていくというもの。この言葉を体現し、油絵で日本の風物を描いたのが川村清雄という画家です。明治維新間もない時期に渡欧し油絵を本格的に学んだ最初期の画家であり、勝海舟が我が子のように愛した人物。海外の油絵を学びながら、それを日本の伝統と結びつけた作風は独自性が強すぎたのか、やがて画壇から存在を忘...
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