
ウォーターハウス「人魚」(ロイヤル・アカデミー展)
たびたびこのブログでご紹介しているウォーターハウスの「人魚」。夏目漱石の「三四郎」に登場する有名な一枚であり、好きな絵画を挙げよと言われたら迷わずこの作品を選ぶと思います。昨年「夏目漱石の美術世界展」で待望の対面を果たしたんですが、なんと今年も、別の展覧会で来日しているのです。Mermaid(1900)John Williams Waterhouseあぁ、やっぱり素敵でした……。東京富士美術館の「ロイヤル・アカデミー展」にて。まさか...

ウォーターハウス「ボレアス」
花嵐ですなぁ。Boreas(1903)John William Waterhouseウォーターハウス「ボレアス」。春の野辺で花を摘んでいたオレイテュア(アテネ王の娘)が、突然の突風に異変を感じる様子が描かれています。突風の正体は北風の神ボレアス。彼はオレイテュアをさらい、我がものとしてしまいます。風をはらんで大きくふくらんだショールが、優美さと緊迫感を強調していますね。今年はまだゆっくり桜を見る暇もなく、土日でなんとか……と思って...

ウォーターハウス「魔法の庭 — ボッカッチョの物語より」
雪降り積もる真冬の庭に、色鮮やかな5月の花を。The Enchanted Garden(1916-17)John William Waterhouseウォーターハウス「魔法の庭 — ボッカッチョの物語より」。未完の遺作となったこの作品は、ボッカッチョの「デカメロン」を題材として描かれました。14世紀中頃、ペストの猛威から逃れるために邸宅にこもった男女10人が、1人10話ずつ、計100の物語を披露しあって退屈をしのぐというもの。ウォーターハウスが描いたのはその10...

ウォーターハウス「シャロットの女」(夏目漱石の美術世界展より)
この時シャロットの女は再び「サー・ランスロット」と叫んで、忽ち窓の傍に馳け寄って蒼き顔を半ば世の中に突き出す。人と馬とは、高き台の下を、遠きに去る地震の如くに馳け抜ける。 ぴちりと音がして皓々たる鏡は忽ち真二つに割れる。割れたる面は再びぴちぴちと氷を砕くが如く粉微塵になって室の中に飛ぶ。七巻八巻織りかけたる布帛はふつふつと切れて風なきに鉄片と共に舞い上る。紅の糸、緑の糸、黄の糸、紫の糸はほつれ、千...

ウォーターハウス「人魚」(夏目漱石の美術世界展より)
好きな絵画を3つ挙げよと言われたら、そのうちひとつは迷うことなくこの作品を選びます。ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス「人魚」。ずっと焦がれ続けた傑作に、ようやく出会うことができました。舞台は東京藝術大学大学美術館。「夏目漱石の美術世界展」で、この作品が来日しています。Mermaid(1900)John Williams Waterhouse漱石の「三四郎」に登場するこの作品。以前にもご紹介したことがありますので、小説との関連性は...

ウォーターハウスの「人魚」がついに来日します!
ついに今年、あの絵がやってきます。ぼくが大好きなウォーターハウスの傑作「人魚」!自分のなかでは、昨年のフェルメール「真珠の耳飾りの少女」に匹敵するインパクトなのです。5月14日より東京藝術大学大学美術館にて、しかも展覧会名は「夏目漱石の美術世界展」です!あぁ、なんて素晴らしい……。 Mermaid(1905) John William Waterhouse同展覧会は漱石が作品のなかで言及した日本美術やイギリス美術を通して、文豪のイメー...

ウォーターハウス、3つの「オフィーリア」
これはローズマリー。思い出の花。お願い、ねえ、わたしを忘れないで。(シェイクスピア「ハムレット」より) Ophelia(1889) John William Waterhouse今回もウォーターハウスの作品です。彼はラファエル前派の画家たち同様、シェイクスピアに材を取った作品を多数手がけています。中でも重要な作品が「オフィーリア」。「ハムレット」に登場する悲劇のヒロインで、ウォーターハウスは生涯で3点の「オフィーリア」を描いていま...

ウォーターハウス「ティスベ(リスナー)」
前回に引き続き、ウォーターハウスによる植物と恋の物語を。タイトルは「ティスベ」。「リスナー」とも呼ばれる作品で、画中では壁に耳を当てる女性が描かれています。彼女(ティスベ)が耳傾けるのは、恋人の愛のささやき。許されぬ恋ゆえに、こうして壁の割れ目を通してしか愛を語り合うことができないのです。 Thisbe(1909) John William Waterhouseウォーターハウスの「ティスベ」は、「ピューラモスとティスベ」というギ...

ウォーターハウス「アポロンとダフネ」
エロス(キューピッド)が放った金の矢はアポロの胸に、鉛の矢はニンフのダフネの胸に。金の矢は恋慕、鉛の矢は嫌悪。以来アポロンはダフネを恋い慕うようになり、ダフネは……アポロから逃げ回るようになります。 Apollo and Daphne(1908) John William Waterhouseこちらはジョン・ウィリアム・ウォーターハウス「アポロとダフネ」。ぼくが敬愛する、英国ビクトリア朝の画家の作品です。愛するダフネの肩に手をかけ、アポロンが...

ウォーターハウス「フローラ」
今日は横須賀美術館の「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」を見てきました。片道2時間以上かけて、電車とバスを乗り継いで。会期が明日までだったんで勇を鼓して行ってみたんですが、いやーすごいよかったです。正面に海、後ろに山と立地も素晴らしいし、有名どころはないものの、ラファエル前派ならではの壮麗優美で精緻な作品ばかり。そして一番うれしかったのが、ウォーターハウスの「フローラ」でした。Flora(c.1914)...

ウォーターハウス「人魚」
ウォーターハウスの作品のなかで、僕が一番好きなのが「人魚」です。うーむ、美しい。これぞウォーターハウス。明治の文豪もこの絵を見て虜になったようで夏目漱石の「三四郎」には、「人魚」と思われる描写が登場します。 絵はマーメイドの図である。 裸体の女の腰から下が魚になって、 魚の胴がぐるりと腰を回って、 向こう側に尾だけ出ている。 女は長い髪を櫛(くし)ですきながら、 すき余ったのを手に受けながら、 こ...

ウォーターハウス「ヒュラスとニンフたち」
美しい7人のニンフたち。思わず心を惹き付けられてしまいますが・・・いけないいけない、彼女たちの強烈な魔力に絡めとられたが最後、哀れ男は水底に引きずり込まれてしまうのです。ウォーターハウス、1896年の大作「ヒュラスとニンフたち」。画面左でニンフに腕をつかまれている男がヒュラスです。彼は血のつながりはないもののヘラクレスが我が子として育て、しかもヘラクレスの恋人でもあったという美少年。旅の途中で清水を求...

ウォーターハウス「オフィーリア」
前々回に紹介した、ウォーターハウスの「シャロットの姫」。睡蓮の浮かぶ濁った水面、生い茂る葦、そして死を目前にしたうら若き乙女。ウォーターハウスは同様のシチュエーションで、まったく別の物語を題材にした作品を1894年に発表しています。それが「オフィーリア」です。Ophelia(1894)John William Waterhouse柳の倒木に腰掛け、両腕を持ち上げて髪を整えるような仕草を見せるオフィーリア。彼女はシェークスピアの戯曲「ハ...

ウォーターハウス「シャロットの姫」(1888年)
前回に引き続き、ウォーターハウスです。1888年発表の「シャロットの姫」。The Lady of Shalott(1888)John William Waterhouse1870年ごろから活動を始めたウォーターハウスは、イギリス・ヴィクトリア朝時代の画家のなかでもトップクラスの人気を誇ります。また、1848年に同じくイギリスで結成され、象徴主義の先駆とされるラファエル前派の遺産を受け継ぐ画家と位置づけられています。「シャロットの姫」はラファエル前派が「不...

ウォーターハウス「魔法円」
ウォーターハウスの画集を買ってしまいました。給料日前なのに我慢できず・・・。でも大満足。めくるめく官能美。これぞ芸術といわんばかりの、匂い立つような美しさ。ということで、しばらくウォーターハウスおよびラファエル前派の作品を紹介していきたいと思います。Magic Circle(1886)John William Waterhouse1886年発表の「魔法円」。オカルト趣味の萌芽という意味でも重要な作品で、国に買い上げられ、批評家の注目を集め...
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