
ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」
深淵を覗きこむとき、深淵もまたこちらを覗いているのだ。 (ニーチェ) Saturn Devouring His Son(1820-23) Francisco de Goyaフランシス・ベーコンの作品を見たとき、反射的に思い浮かんだのはゴヤの作品でした。「我が子を喰らうサトゥルヌス」。ゴヤが晩年を過ごした「聾者の家」に描かれた14枚の壁画、通称「黒い絵」の一枚です。軋みを上げそうなほどに歪んだ肉体、画面におさまりきらぬ手足、そ...

ゴヤ「砂に埋もれた犬」
フランシスコ・デ・ゴヤ「砂に埋もれた犬」。生き埋めにされた犬の表情は困惑に満ちており、自分の状況を飲み込めていないのか抗うそぶりも見えません。砂は……砂と呼ぶには湿り気を帯びて黒ずんでおり、犬の不安と痛みがひしひしと伝わってきます。この作品は、ゴヤが晩年の一時期を過ごした「聾者の家」に飾られていた「黒い絵」と呼ばれる連作のなかのひとつ。反射的に恐怖にとらわれる「我が子を食らうサトゥルヌス」と対照的に...

ゴヤ「無原罪のお宿り」
グロテスクで思わず目を背けたくなるような作品が並ぶゴヤ展で、この作品は一際異彩を放っていました。張りつめていた気持ちがゆるゆるほどけていくような。ゴヤ「無原罪のお宿り」。信仰心のない自分でも、こうべを垂れる気持ちになる一枚でした。Immaculate Conception(1783-84)Francisco de Goya左側の天使が手にしているのは、純潔をあらわす白百合。そのすぐ近くには、原罪を意味する林檎をくわえた蛇の姿も。天上では大い...

ゴヤ「異端審問所の裁判」
正義は、時に人を傷つける。正義は、時に人を追いつめる。正義は……正義を押しつける。 The Inquisition Tribunal(1812-19) Francisco de Goyaフランシスコ・デ・ゴヤ「異端審問所の裁判」。台の上に座らされた被告は反省の帽子をかぶらされ、祈りなのかあきらめなのか、手を組んで顔をうつむけています。当時、このような宗教裁判はスペインをはじめヨーロッパ全土で行われており、ゴヤも何度か、裁判にかけられそうになったと...

ゴヤ「理性の眠りは怪物を生む」
お客さんと飲んでました。とても有意義な時間だったんですが、帰りの電車で見事に寝過ごしてしまい……。お酒飲むと眠くなる体質をどうにか改善したい。el sueño de la razón produce monstruos(1799)Francisco de Goya※画像をクリックすると、拡大してご覧いただけます。こちらはフランシスコ・デ・ゴヤの「理性の眠りは怪物を生む」。本日のネタとしてフュースリの「夢魔」とどっちにしようか迷ったんですが、向こうは...

ゴヤ「ボルドーのミルク売りの少女」
フランシスコ・デ・ゴヤ最晩年の傑作にして、絶筆ともいわれる重要作品「ボルドーのミルク売りの少女」。聴覚を失い、視力も衰えた末にゴヤがたどりついた、輝ける世界。La lechera de Burdeos(1827)Francisco de Goya※画像をクリックすると、拡大してご覧いただけます。スペインの巨匠、フランシスコ・デ・ゴヤ。1786年に宮廷画家として絵筆をふるうも、不治の病に犯され聴力を失い、スペイン独立戦争などの動乱を経て彼の作品...

ゴヤ「バルコニーのマハたち」
思わずフラフラと吸い寄せられてしまいそうな、蟲惑的な笑みを浮かべる2人の女性。エドゥワール・マネはスペイン旅行中にこの絵を見て、「バルコニー」を制作したといいます。Les Majas au Balcon(1810)Francisco de Goya作者はスペインの宮廷画家、フランシスコ・デ・ゴヤ。19世紀初頭に発表された本作「バルコニーのマハたち」で描かれるのは、2人の娼婦とその斡旋人。通りを行き交う男性を値踏みして、女性同士でひそひそ会...
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