
シャガール「ダフニスとクロエー」
エーゲ海のレスボス島を舞台とした古代ギリシアの恋物語「ダフニスとクロエー」。2世紀末から3世紀はじめごろのロンゴスの作とされており、主人公は山羊飼いの少年ダフニスと羊飼いの少女クロエー。ともに捨て子であり、恋の何たるかも知らぬ2人が心を通わせ、胸の高鳴りにおののき戸惑い、運命の荒波に翻弄されていく……この牧歌的な物語を、マルク・シャガールが版画にしています。 Daphnis and Chloe(1961) Marc Chagallシャ...

シャガール、イヴェット「サーカス1」(シャガールのタピスリー展より)
渋谷区松濤美術館へ、「シャガールのタピスリー展」を見てきました。タピスリーはタペストリーとも呼ばれる、25色の糸からなる織物のこと。マルク・シャガールとイヴェット・コキール=プランス二つの才能が織りなすシンフォニー。油彩や水彩とはまた違った、織物ならではの暖かさ柔らかさに浸る至福のひとときでした。 Circus 1(1970) Marc Chagall, Yvette Cauquil-Princeこちらはタピスリー「サーカス1」。シャガールの「赤...

シャガール「画家の夢」
マルク・シャガール、なんと93歳のときの作品。年老いて、筋力も衰えた画家が描いた絵はそれでも色彩が優雅に戯れていて、近くで見ればずいぶん雑な塗り方なのにちょっと遠くから見れば途端に全体がやわらかくなって、あぁ、やっぱり幻想的でした。 Le rêve du peintre(c.1980) Marc chagallシャガール「画家の夢」。夢を意味するフランス語「rêve」には幸福、空想、希望という意味もあるそうで、なるほど見るだに幸...

シャガール「ユリの下の恋人たち」
上半分には白いユリと、赤い芍薬の花束。下半分には見つめ合い、抱き合う恋人たち。シャガールにしてはずいぶん直接的な表現ですが、これはこれでとても素敵な一枚です。マルク・シャガール「ユリの下の恋人たち」。大好きな花が、このなかに描かれてます。 Lovers under Lilies(1925) Marc Chagall最近仕事が落ち着いてきたせいかいろんなことに興味がむくむくわいていて、花のことや音楽のことや、詩や和歌や……あぁ、もっと...

シャガール「ワイングラスをもつ2人の肖像」
肩車をする、男女の肖像。あれ、なんか変だ。担いでいるのは女性じゃないか。マルク・シャガール「ワイングラスをもつ2人の肖像」。奇妙にほほえましい一枚です。Double Portrait with Glass of Wine(1917)Marc Chagallシャガールの作品は、なんでこんなにフワフワしてるんだろうとそれがずっと腑に落ちずにいたのですが、この作品はなんとなーく理解できるような気がします。彼はただ、すなおだったんじゃないかなぁ。しあわせ...

シャガール「窓辺のイダ」
なんの予備知識もなしで、誰の作品か分かったら結構すごいと思います。マルク・シャガール1924年の作品、「窓辺のイダ」。唯一現存する、シャガールの娘イダの肖像画です。Ida at the Window(1924)Marc Chagallただただ柔らかく、ただただ優しく、疑問を差し挟む余地のないほどのシンプルな構図。父性というフィルターを通したからなのか、シャガールの夢想的なイメージは影を潜め、限りない情愛がにじみ出ています。パリに移住し...

シャガール「イカルスの墜落」
東京藝術大学大学美術館の企画展、「シャガール ロシア・アヴァンギャルドとの出会い」に行ってきました。この美術館は駅から遠いのが少々難ですが、汗をかきかきたどり着いてみれば、一気に汗が引いていくのはやっぱりロシア芸術の特質なのでしょうか。さて、今回のお目当てはマルク・シャガールの晩年の傑作、「イカルスの墜落」です。La chute d'Icare(1974/77)Marc Chagall後年のシャガールの作品にしては比較的分かりやすい...
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