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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

クノップフ「沈黙」

前回に引き続き、フェルナン・クノップフの作品を。1890年、最愛の妹が嫁いだ年に描かれた「沈黙」です。モデルは妹のマルグリット。口元に指をあて、沈黙をうながすしぐさは何を意味するのでしょう。 Silence(1890) Fernand Khnopff確かにマルグリットは、彼の求める女性の理想像にかなっていた。それはミューズであり、天使であり、霊感を与える者であり、性的なものの対極にある存在であった。——図録の解説にはこんなふうに...
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クノップフ「フォセにて——樅の木の下で」

ベルギー象徴派の画家、フェルナン・クノップフ。幼時を過ごしたブリュージュの町を描いた「見捨てられた町」があまりにも有名ですがこの作品もまた、深い静けさをたたえた傑作です。 At Fosset. Under the Fir Trees(1894) Fernand Khnopff「フォセにて——樅の木の下で」。クノップフは幼少のころ、夏の間だけブリュージュを離れてベルギー南東部アルデンヌのフォセという村で過ごしていました。目にうつるのは緑灰色の幹ばか...
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クノップフ「シューマンを聴きながら」

ひとり椅子にもたれ、物思いにふける女性。ピアノを弾く人は見当たらず、音楽は彼女の心のなかで奏でられているのでしょうか。フェルナン・クノップフ「シューマンを聴きながら」。彼女はいま、何を想っているのだろう。Listening to Schumann(1883)Fernand Khnopff今夜も月がきれいです。1ヶ月前の、月がきれいだった晩。どんな気持ちで電話をくれたのか、今更にして気づきました。真夜中の2時過ぎに、どれだけ勇気がいっただろ...
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クノップフ「見捨てられた町」

閉じられた扉、閉じられた窓。重い霧に飲み込まれたような空。音もなく、人の気配もないさびれた町を少しずつ少しずつ、波が浸食していきます。フェルナン・クノップフ「見捨てられた町」。ベルギー象徴主義の画家が描いたのは、みずからが幼少期を過ごしたブリュージュの町でした。 Ville Abandonnée(1904) Fernand Khnopff永井荷風は「海洋の旅」という作品のなかで、この町のことを「廃市」と表現しています。本作の発...
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クノップフ「煙草」

「たかが100円程度の値上がりで禁煙してんじゃないわよ」こんな声が聞こえてきそうな。。。La Cigarette(c.1912)Fernand Khnopffフェルナン・クノップフ「煙草」です。挑発的なタバコのくわえ方といい、わずかにあごを持ち上げた蟲惑的な表情といい、悪女を絵に描いたような作品。どことなくエロティックで、どことなくかっこいい。まぁ、今のご時世ではタバコがかっこいいなんて言ったら総スカンを喰らいそうですが……。ちなみに...
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クノップフ「エドモン・クノップフの肖像」

一昨日行った「アントワープ王立美術館コレクション展」、個人的な一番のお目当てはフェルナン・クノップフでした。展示作品は1つだけだったけど、なるほどなるほどと感心しきりの作品でした。Portrait of Edmond Khnopff(1881)Fernand Khnopff1881年ごろの作品、「エドモン・クノップフの肖像」。画家本人の自画像と思われていたものの、現在ではクノップフの父親を描いたものとされているそうです。椅子の背もたれに体を預け...
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