
クノップフ「フォセにて——樅の木の下で」
ベルギー象徴派の画家、フェルナン・クノップフ。幼時を過ごしたブリュージュの町を描いた「見捨てられた町」があまりにも有名ですがこの作品もまた、深い静けさをたたえた傑作です。 At Fosset. Under the Fir Trees(1894) Fernand Khnopff「フォセにて——樅の木の下で」。クノップフは幼少のころ、夏の間だけブリュージュを離れてベルギー南東部アルデンヌのフォセという村で過ごしていました。目にうつるのは緑灰色の幹ばか...

クノップフ「シューマンを聴きながら」
ひとり椅子にもたれ、物思いにふける女性。ピアノを弾く人は見当たらず、音楽は彼女の心のなかで奏でられているのでしょうか。フェルナン・クノップフ「シューマンを聴きながら」。彼女はいま、何を想っているのだろう。Listening to Schumann(1883)Fernand Khnopff今夜も月がきれいです。1ヶ月前の、月がきれいだった晩。どんな気持ちで電話をくれたのか、今更にして気づきました。真夜中の2時過ぎに、どれだけ勇気がいっただろ...

クノップフ「見捨てられた町」
閉じられた扉、閉じられた窓。重い霧に飲み込まれたような空。音もなく、人の気配もないさびれた町を少しずつ少しずつ、波が浸食していきます。フェルナン・クノップフ「見捨てられた町」。ベルギー象徴主義の画家が描いたのは、みずからが幼少期を過ごしたブリュージュの町でした。 Ville Abandonnée(1904) Fernand Khnopff永井荷風は「海洋の旅」という作品のなかで、この町のことを「廃市」と表現しています。本作の発...

クノップフ「エドモン・クノップフの肖像」
一昨日行った「アントワープ王立美術館コレクション展」、個人的な一番のお目当てはフェルナン・クノップフでした。展示作品は1つだけだったけど、なるほどなるほどと感心しきりの作品でした。Portrait of Edmond Khnopff(1881)Fernand Khnopff1881年ごろの作品、「エドモン・クノップフの肖像」。画家本人の自画像と思われていたものの、現在ではクノップフの父親を描いたものとされているそうです。椅子の背もたれに体を預け...
このカテゴリーに該当する記事はありません。