
ルドン「アポロンの戦車」(ルドン展より)
紅蓮の炎を思わせる、壮烈な一枚。熱波で溶け出されたような青空を4頭の馬にひかれた太陽神が駆け上がっていきます。オディロン・ルドン「アポロンの戦車」。はっと息をのむほどの、凄まじい作品です。 Apollo's Chariot(1909) Odilon Redonアポロンの戦車はルドンが晩年に多く手がけた主題であり、本作とよく似た構図の作品が愛媛県美術館に所蔵されています。損保ジャパン東郷青児美術館のルドン展では今回ご紹介したボルド...

ルドン「花」(ルドン展より)
1890年代。モノクロームの時代を終えて、ルドンが手にしたのはきらめく色彩でした。次男アリの誕生、そして故郷の喪失。これらの悲喜こもごもはルドンの作風に多大な影響を及ぼし以来、あれほどまでに執着した「黒」は鳴りをひそめ色彩がカンヴァスで踊るようになります。 Bouquet of Flowers(1905-10) Odilon Redonそして10年後、1900年。このころからルドンは花を描くようになります。画家にとって花は格好の題材であり花に...

ルドン「蜘蛛」(ルドン展より)
まっくろくろすけ出ておいでー出ないと目玉をつっつくぞー Spider(1887) Odilon Redon……?まっくろくろすけと蟹を合体させたような10本足の奇妙な生物です。これはオディロン・ルドンの「蜘蛛」という作品。幻想世界の異形の蟲は現実に足をひっかけて笑みを浮かべています。ルドンの画業前半は、こうした奇怪な黒に覆われていました。版画家ブレスダンとの出会いによって開眼したのでしょう、眼球、生首、翼、胞子といった形態...

ルドン「ロンスヴォーのローラン」(ルドン展より)
フランス最古の叙事詩「ローランの歌」。これを題材にオディロン・ルドンが描いたのが「ロンスヴォーのローラン」という作品です。 Roland at Roncevaux(1862) Odilon Redon馬上で背後を振り返る騎士ローラン。手綱をひいたものの立ち止まることを拒んだのか、馬は後脚で立ち上がり、ローランの赤いマントがひるがえります。初期の“黒”とも後期の“色彩”とも異なる、ロマン主義風の荒々しく躍動的な描写。制作年は1862年、この...

ルドン「薔薇色の岩」
オディロン・ルドン「薔薇色の岩」。これもまた、ルドン展で知った意外な一面でした。Le Rocher Rose(1880)Odilon Redonグロテスクな版画作品を手掛けた黒の時代に、ルドンはこういった小さな風景画を油彩で制作しており、「作者のためのエチュード」と呼んで大切に手元に置いていたそうです。海辺に放り出されたような薔薇色の岩。孤独な背中を見ているようで、なんだか切ない気持ちになります。こういう風景を描くことで、何か...

ルドン「ポール・ゴビヤールの肖像」
昨日行ってきた三菱一号館美術館の「ルドンとその周辺ー夢見る世紀末」、いい意味で期待を裏切られた作品も多々ありました。そのひとつがこちら。オディロン・ルドン「ポール・ゴビヤールの肖像」です。Portrait de Paule Gobillard(1900)Odilon Redonルドンって、こんな作品も描いてたんですね。幻想的で夢の中にさまよいこんだような色使いも、現世との境界線がなくなってしまったような独特の世界感もなく、ここに描かれてい...

ルドン「グラン・ブーケ」
248.3×162.9cm。とにかく大きいので、最初はスクリーンに投影されてるのか思いました(笑)。オディロン・ルドン「グラン・ブーケ」。三菱一号館美術館「ルドンとその周辺ー夢見る世紀末」より。Grand Bouquet(1901)Odilon Redonこの「グラン・ブーケ」、もともとはフランスのドムシー城というお城の食堂に飾られていたそうです。ルドンは城主のドムシー男爵のために計18点の装飾画を制作したそうで、そのうち存在が確認されて...

ルドン「ヴィオレット・ハイマンの肖像」
どこか浮世離れした、幻想的な花々。モデルの女性の内面を映し出したような、浮遊感の漂う不思議な肖像画です。オディロン・ルドン「ヴィオレット・ハイマンの肖像」。ハイネの詩と合わせてご覧あれ。Portrait of Violet Heymann(1910)Odilon Redon※画像をクリックすると、拡大してご覧いただけます。わが涙より咲き出ずるかずかずの美しき花。わが嘆きより響き出ずるうぐいすの諸声の歌。君われを愛したまわば花すべて君に贈ら...

…これを千年のあひだつなぎおき
今日は上野の藝大美術館→国立西洋美術館とはしごしてきました。まずは根津駅で下車して、お寺が連なる谷中の街路をテクテク歩き、藝大美術館の「黙示録 デューラー/ルドン」へ。新約聖書の最期を飾る預言書、「黙示録」を軸に置いた企画展でなんといっても目玉はアルブレヒト・デューラーの版画なんですが、個人的に印象深かったのは、オディロン・ルドンの作品でした。…et le lia pour mille ans;(1899)Odilon Redon※クリック...

ルドン「日本風の花瓶」(ポーラ美術館コレクション展より)
今年は印象派関連の美術展が多くて、いいかげんそろそろ食傷気味でもあるわけですがそれでも新しい展示をやってればついつい足を運んでしまいますしなんだかんだで素晴らしい絵画に出会って感動してしまうわけです。Flowers in a Japanese Vase(1908)Odilon Redon今回紹介するのは、オディロン・ルドンの「日本風の花瓶」。先週行った横浜美術館の「ポーラ美術館コレクション展 印象派とエコール・ド・パリ」で出会いました。鮮...

オディロン・ルドン「目を閉じて」(オルセー美術館展その5)
オディロン・ルドン。彼ほど劇的な変貌を遂げた画家もいないんじゃないでしょうか。オルセー美術館展で展示された彼の代表作「目を閉じて」は、1890年発表、ルドンが50歳のときの作品。水平線の向こうに女性の胸部が描かれる、なんとも幻想的な一枚です。Les yeux clos(1890)Odilon Redon本作を発表するまで、ルドンは「モノクロームのパステル」と称して木炭とリトグラフによる、奇怪な作品を多数発表していました。色彩のない...
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