足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

マティス「女と金魚」

夏といえば夏祭り。夏祭りといえば金魚すくい。そして金魚といえばアンリ・マティスなのです。Woman Before a Fish Bowl(1921)Henri Matisseこちらはマティスの「女と金魚」。マティスといえばフォービスム(野獣派)を代表する画家ですが、実際にフォービスムとして活動したのは1905年からの3年程度。以降、彼はフォービスムと見なされることを嫌い、「人々を癒す肘掛け椅子のような絵」を描き続けます。「女と金魚」は1921年...
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マグリット「昼と夜」

タクシーで深夜3時すぎに帰宅、一眠りして8時には家を出る、と。こんな感じだったので昨日はブログ更新しませんでした。ただでさえ生活時間がめちゃくちゃなのに、こう忙しいと昼夜の区別がつかなくなります。Day and NightRene Magritteで、この作品。シュールレアリスムの巨匠、ルネ・マグリットの「昼と夜」です。白い雲が浮かぶ青空、けれど木々は暗く陰り、軒灯が建物の白い壁をぼんやりと照らし出します。昼と夜、光と闇が...
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アレグザンダー「イザベラとバジルの鉢」

夏なので、怖い話でも。薄暗がりのなかで鉢に頬を寄せる、妖艶な女性。思い出に浸るように目を閉じて、鉢の表面を指でなぞる姿がエロティックでもあり…。この鉢に植えられたのはバジルの種。そして鉢に埋められているのは……男性の生首なのです。Isabella and the Pot of Basil(1897)John White Alexanderジョン・ホワイト・アレグザンダーの「イザベラとバジルの鉢」。1897年に発表されたこの作品は、英国・ロマン派の詩人キーツ...
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カバネル「ヴィーナスの誕生」

昨日に続いて、涼しげな一枚。アレクサンドル・カバネルの「ヴィーナスの誕生」です。Naissance de Venus(1863)Alexander Cabanelアングルの「泉」を横に寝かせたような、美しいS字の裸身。波の上に横たわるヴィーナスが右手で顔を隠しているのは、日差しをよけるためか、それとも恥じらいからか。その隙間からは、目を細めた官能的な微笑みが見てとれます。穏やかな海と青い空、そして全身で歓喜を表現するキューピッドたち。ボ...
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アングル「泉」

暑い暑い暑い。こんな暑い日には、水浴びがしたくなります。そこでこの1枚。ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルの「泉」です。La source(1820-56)Jean-Auguste Dominique Ingres見るからに涼しげな、この1枚。全身で描くS字は、女性の美しさを追求した曲線美。アングルは1820年にこの作品の制作を開始し、完成したのはなんと1856年。新古典主義の画家が約40年にわたって追求した美が、この姿態に凝縮されているわけです...
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ルドン「日本風の花瓶」(ポーラ美術館コレクション展より)

今年は印象派関連の美術展が多くて、いいかげんそろそろ食傷気味でもあるわけですがそれでも新しい展示をやってればついつい足を運んでしまいますしなんだかんだで素晴らしい絵画に出会って感動してしまうわけです。Flowers in a Japanese Vase(1908)Odilon Redon今回紹介するのは、オディロン・ルドンの「日本風の花瓶」。先週行った横浜美術館の「ポーラ美術館コレクション展 印象派とエコール・ド・パリ」で出会いました。鮮...
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ブリューゲル「邪淫」(ブリューゲル版画の世界 その8)

ピーテル・ブリューゲルの「7つの罪源」シリーズより、最後にご紹介する7つ目の作品は「邪淫」です。Lust(1558)Pieter Bruegel the Elder下部の銘文は、「邪淫は活力を弱め、身体を軟弱にする」「邪淫には悪臭が漂い、汚らわしさでいっぱいである。 諸力を無力化して、四肢を弱める」。なんというか、どこまでを邪淫と呼ぶかにもよるんですがとりあえず我が身を振り返って反省しきりです。画面中央では、ヒキガエルの愛撫を受け...
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ブリューゲル「大食」(ブリューゲル版画の世界 その7)

友達と飲みに行ってました。ここんところ、暇さえあれば飲んでる感じです。仕事が暇なんで飲んでばっかです。そんな自分が紹介するのもアレなんですが今回はピーテル・ブリューゲルの「7つの罪源」シリーズより、6番目の作品、「大食」です。Gluttony(1558)Pieter Bruegel the Elder下部の銘文は、「暴飲と暴食は慎むべし」「酩酊と暴食するのをつつしめ。度を超すのは、神と自分自身を忘れさせるから」。中央下部では擬人像が、...
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ブリューゲル「嫉妬」(ブリューゲル版画の世界 その6)

ピーテル・ブリューゲルの「7つの罪源」シリーズのなかでは、この作品が一番難しいかもしれません。5番目に紹介するのは、「嫉妬」です。Envy(1558)Pieter Bruegel the Elder下部の銘文は、「嫉妬は恐るべき怪物であり、獰猛な疫病である」「死ぬことのない死とは嫉妬であり、残酷な疫病であり、誤った苦悩から自分自身を食らう獣である」。画面中央下部の人物は、右手で心臓を食べており、これが嫉妬を表す行為だとか。その右...
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ブリューゲル「怠惰」(ブリューゲル版画の世界 その5)

暑い日が続いていますが、だからといってダラダラ過ごしていると・・・悪魔に目をつけられてしまいます。Sloth(1558)Pieter Bruegel the Elderピーテル・ブリューゲルの「7つの罪源」シリーズより、4番目に紹介するのは「怠惰」。下部の銘文は「怠惰は堅固な精神を打ち砕き、長き閑暇は意志の力を挫く」「怠惰は人を無力にさせて神経を枯らし、人をまったく役立たずにする」。なんともはや、他人事ではないこのテーマ。ついさっ...
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ブリューゲル「激怒」(ブリューゲル版画の世界 その4)

曲がりなりにも平和な日本で曲がりなりにも平和な毎日を享受している僕らにとって、「7つの罪源」のなかでも実は一番この絵が怖いかもしれません。ピーテル・ブリューゲルの「激怒」です。Anger(1558)Pieter Bruegel the Elder下部の銘文は、「激怒は顔を膨れ上がらせ、血管は血でどす黒くなる」「激怒は口を腫れ上がらせ、感情を苛立たせ、精神を不調にし、血を黒く陰鬱にする」。中央下部には武装した人間の姿。その脇に従う熊...
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ブリューゲル「傲慢」(ブリューゲル版画の世界 その3)

ピーテル・ブリューゲルの「7つの罪源」シリーズ。2番目に紹介するのは「傲慢」です。Pride(1558)Pieter Bruegel the Elder下部の銘文は、「傲慢な者は神々を愛することがなく、神々によって愛されることもない」「傲慢は神が何にもまして憎むもの、同様に神もまた傲慢から無視される」。もともと「傲慢」は、7つの罪源の中でも最も罪深いとされていたとか。敬虔な宗教徒にとっては、神を恐れぬ態度こそ罪悪だったのです。下部中...
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ブリューゲル「貪欲」(ブリューゲル版画の世界 その2)

「ブリューゲル版画の世界」でぜひ見たいと思っていたのが、「7つの罪源」シリーズ。「貪欲」「傲慢」「激怒」「怠惰」「嫉妬」「大食」「邪淫」の7つからなり、前回紹介した「聖アントニウスの誘惑」と同様にヒエロニムス・ボス風の怪物たちが跳梁跋扈する幻想風景。今回から1つずつ、順に紹介していきたいと思います。Avarice(1558)Pieter Bruegel the Elderまずは「貪欲」。下部の銘文は、「飽きることなく貪欲な者に、どのよ...
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ブリューゲル「聖アントニウスの誘惑」(ブリューゲル版画の世界 その1)

本日7月17日より開催の、渋谷Bunkamura ザ・ミュージアム「ブリューゲル版画の世界」に行ってきました。奇妙奇天烈奇々怪々な、ヒエロニムス・ボス風の怪物たち。でもボスに比べるとどこか愛嬌があって、コミカルな印象でした。まずはこちらをご覧あれ。The Temptation of St. Anthony(1556)Pieter Bruegel the Elderピーテル・ブリューゲル「聖アントニウスの誘惑」。ボス風の様式で描いた作品のなかでは、こちらが最初期のもの...
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竹内栖鳳「班猫」

会社の同僚が最近猫を飼い出したそうで、今日はやたらと猫の話で盛り上がってました。ということで、僕の好きな猫の絵をご紹介。戦前の京都画壇を代表する画家、竹内栖鳳の「班猫」です。広尾の山種美術館に所蔵されており、今年2月から3月にかけての展示「大観と栖鳳 東西の日本画」でこの作品を見たときは、そのリアリティに思わずぶるっとしたもんです。こうして画像で見るとものすごく精緻な印象を受けるんだけど、実物は意外...
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アンニーバレ・カラッチ「リナルドとアルミーダ」(カポディモンテ美術館展 その3)

トルクァート・タッソによる叙事詩、「解放されたエルサレム」。この物語から生まれた絵画作品が、アンニーバレ・カラッチの「リナルドとアルミーダ」です。まずはこの、官能的な絵画作品をご覧あれ。Rinaldo e Armida(1601-02)Annibale Carracci草花が生い茂る宮殿で体を寄せ合う男女。右側の女性が魔女アルミーダ、そして彼女に身を任せている男性が、騎士リナルドです。元々は敵対し、リナルドを魔法で眠らせて殺害しようとし...
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アルテミジア「ユディトとホロフェルネス」(カポディモンテ美術館展 その2)

個人的に、カポディモンテ美術館展で一番見たかったのがアルテミジア・ジェンティレスキの「ユディトとホロフェルネス」。中野京子さんの「怖い絵」(1巻)でその存在を知ったんですが、実物は・・・やっぱり「怖い」の一言でした。Giuditta e Oloferne(1612-13)Artemisia Gentileschi怖い怖い痛い痛い遺体遺体。女性恐怖症に陥りそうな、目を背けたくなるような惨劇です。物語の主人公ユディトは、ユダヤ人の寡婦。彼女の住む...
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パルミジャニーノ「貴婦人の肖像(アンテア)」(カポディモンテ美術館展 その1)

今日は国立西洋美術館の、「カポディモンテ美術館展」に行ってきました。パルミジャニーノ、レーニ、エル・グレコなどを筆頭に15~17世紀の名だたる名画の数々。まさに至福のひとときでした。ということで、本展の目玉でもあるパルミジャニーノの「貴婦人の肖像(アンテア)」をご紹介します。Antea(1535-1537)Parmigianino1535年~37年、パルミジャニーノ晩年の作品であり、イタリア美術を代表する女性肖像画として名高い傑作。...
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ルノワール「ダンス3部作」

突然ですが、問題です。以下の3枚の中から結婚する友人に贈るとしたら、みなさんはどれを選びますか? La dance à la campagne, La dance à la ville, La dance à la Bougival(1883)Pierre-Augustê Renoirいずれもピエール=オーギュスト・ルノワールの、ダンス3部作と呼ばれる連作。左から「田舎のダンス」「都会のダンス」「ブージヴァルのダンス」。印象派の作風から古典主義へ移行しようとしていた頃...
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ゴヤ「バルコニーのマハたち」

思わずフラフラと吸い寄せられてしまいそうな、蟲惑的な笑みを浮かべる2人の女性。エドゥワール・マネはスペイン旅行中にこの絵を見て、「バルコニー」を制作したといいます。Les Majas au Balcon(1810)Francisco de Goya作者はスペインの宮廷画家、フランシスコ・デ・ゴヤ。19世紀初頭に発表された本作「バルコニーのマハたち」で描かれるのは、2人の娼婦とその斡旋人。通りを行き交う男性を値踏みして、女性同士でひそひそ会...
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マネ「バルコニー」

前々回の記事で引き合いに出したエドゥアール・マネの「バルコニー」。印象派の女性画家、ベルト・モリゾが初めてモデルとしてマネの作品に登場した記念すべき一枚です。Le Balcon(1868-1869)Edouard Manet中央よりやや左、一番手前で手すりにひじをかけているのがモリゾです。で、彼女が完成した作品をサロンで見たときの印象がこちら。 マネの作品は、いつものことですが、 熟していない硬い果実のような印象を醸し出してい...
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ドニ「カルヴァリオの丘」

なんなんだ、この絵は。主役は左上、十字架をかついだキリストのはずなのに圧倒的な存在感で目を引くのは黒衣の修道女たち。画面を浸食するかのような、黒、黒、黒。これを宗教画と呼んでいいものなのか。Montée au Calvaire(1889)Maurice Denisモーリス・ドニの「カルヴァリオの丘」。そこはゴルゴタの丘とも呼ばれ、イエス・キリストが磔にされた地。イエスは重い十字架をみずから背負い、丘を登ったとか。画面右遠景の影...
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ドニ「木の葉に埋もれたはしご」

あえなく売り切れで手に入らなかったモーリス・ドニの画集。結局あきらめきれず、仕事の合間に会社を抜け出して神保町の古書店街を探し歩いてみました。お目当ての画集は見つからなかったものの、2003年に府中美術館などで開かれた「モーリス・ドニ展」のカタログと、1987年に東京の伊勢丹美術館などで開かれた「ポン・タヴェン派とナビ派」のカタログを手に入れました。探してみるもんですね。L'échelle dans le feuillage(...
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シスレー「家のある風景」

Bunkamura ザ・ミュージアムの「語りかける風景~ストラスブール美術館所蔵~」に行ってきました。足を運ぶのは2回目ですが、やっぱりこの企画展、とてもいいです。有名な作品はあまりないけれど、なんだかほっこりのどかな気持ちになるんですね。Paysage avec maisons(1873)Alfred Sisleyこちらはアルフレッド・シスレーの「家のある風景」。穏やかな田園風景、下から伸びる小道を目で追って行くと、そこには親子らしき2人の...
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ベックリン「死の島」

夏の暑さも吹き飛びそうな、背筋がゾゾゾッとなる作品。第一次大戦後のドイツで一大ムーブを巻き起こした、ベックリンの「死の島」です。Die Toteninsel(1880)Arnold Böcklin「貴方は、暗い影の世界へと夢想して入り込む事ができるでしょう。 波立つ海のかすかな気配が感じ取れるほどに。 厳粛な静けさを声を荒げて乱すことを控えるほどに」ベックリンは「死の島」についてこのように評しています。そこにあるのは、まさに厳...
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