
モネ「ヴェトゥイユ近くの大解氷」
前回に引き続き、クロード・モネの作品を。「菊」を描いた翌年の1879年、モネは最愛の妻カミーユを病で失います。このときもモネは室内で絵筆を取り、カミーユの最期の姿を絵にします(「死の床のカミーユ・モネ」)。さらにこの年は天候が悪かったこともあり、モネは戸外ではなく、室内で制作することが多くなります。モネが再び屋外で制作するきっかけとなったのが、セーヌ川の大解氷でした。こちらは「ヴェトゥイユ近くの大解氷...

アンドリュー・ワイエス「クリスティーナの世界(習作)」
一昨日はジョン・レノン・ミュージアムの後、北浦和に移動して埼玉県立美術館へ。「アンドリュー・ワイエス展 オルソン・ハウスの物語」を見てきました。アンドリュー・ワイエスは、アメリカを代表する画家の一人。こちらは「クリスティーナの世界」の習作です。クリスティーナは、ワイエスの別荘の近くにあった「オルソン・ハウス」に住んでいた女性。彼女は幼いころから脚に障害があり、しかし不自由さをものともせず、数キロ先...

ブリューゲルの新作発見!「聖マルティン祭のワイン」
プラド美術館で、ブリューゲルの新作が発見されたそうです。タイトルは「聖マルティン祭のワイン」。100人もの酔っぱらいが描かれた、農民ブリューゲルここにあり、といった趣きの傑作とのこと。四半世紀どころか4世紀半もの時を超えた、まさに世紀の大発見。サイズも148cm×270.5cmで、ブリューゲル作品の中で最も大きい部類に入るそうです。聖マルティン祭は、ドイツに今も伝わるカトリックの祭日。11月11日に行われ、クリスマス...

レンブラント「額縁の中の少女」
今日は大雨のなか、八王子へ。東京富士美術館の「ポーランドの至宝」を見てきました。サブタイトルは「レンブラントと珠玉の王室コレクション」。目玉はこちら、レンブラント・ファン・レインの「額縁の中の少女」。Girl in a Picture Frame(1641)Rembrandt van Rijinこれ、いわゆるトリックアートなんですね。絵の中に額縁まで描き込んでいて、そこに少女の手を重ねることであたかも少女が絵の中から出てくるような錯覚を起こさ...

ルノワール「リュシアン・ドーデの肖像」
日曜は白金台の松岡美術館に行ってきました。「モネ・ルノワールと印象派・新印象派展」。モネやシスレー、ルノワールなどおなじみの作品がズラリで、特に印象深かったのがルノワールの「リュシアン・ドーデの肖像」でした。Portrait of Lucien Daudet(1875)Pierre-Auguste Renoirう~む、かわゆい。あどけないですね。ドーデ君が右手に持っているのはビスケット。ルノワールは子どもの肖像画を描くとき、無理にポーズをとらせた...

ドガ「浴盤(湯浴みする女)」(ドガ展より)
「ドガ展」で興味深かったのが、浴女を描いた作品群。「踊り子の画家」というイメージが強いけれど、実はこうした裸婦像も多く描いていて、第8回の印象派展では10点もの浴女を出品してるんですね。今回ご紹介するのは、そのうちの1点、「浴盤(湯浴みする女)」です。Le Tub(1886)Edgar Degasドガいわく、「裸婦というのは、常に観客の視線を意識したポーズで描かれるものであった」。観客の視線を意識したポーズというのは、ボ...

ドガ「エトワール」(ドガ展より)
横浜美術館の「ドガ展」に行ってきました。習作、写真、彫刻なども含めて全部で132点。右を向いても左を向いてもドガドガドガ。なんとも贅沢な展示でした。意外に混んでて行列が遅々として進まないので、習作とかは基本的にチラ見ですませて有名どころや気になった作品で足を止めることに。で、やっぱり足が止まったのはこちらの作品でした。Ballet dit aussi L'étoile(1876-77)Edgar Degasエドガー・ドガの代表作「エトワ...

デュルメル「サロメ」
前々回、ブグローの「ファーストキス」をご紹介しましたが今回は大人の男女の官能的なキスシーンを。でも、よく見ると……Salomé(1896)Lucien Lévy-Dhurmerリュシアン・レヴィ=デュルメルの「サロメ」。1896年発表のパステル画です。男性の頭を両腕でかき抱き、口づけをする女性。絵画全体を覆う赤色は、燃え立つような情念のあらわれなのか。さて、美術に詳しい方ならもうピーンと来ているかもしれません。タイトルに...

ブグロー「ファーストキス」
昨日に引き続き、天使の絵。ウィリアム・ブグローの「ファーストキス」です。いやはや何とも愛らしい。おませですね~。L'Amour et Psyche, enfants(1889)William Adolphe Bouguereau美術館のグッズ売り場とかでよく見かけますけど、たいてい上半身でトリミングしちゃってるんですよね。まぁ気持ちは分からんでもないけれど。何はともあれかわいらしい一枚です。ぽちっとお願いします! ウィリアム・ブグローの生涯(2001/05)...

フィオレンティーノ「リュートを弾く天使」
昨年からずっと保育園関係の仕事をしているんですが、やっぱり子どもってかわいいですね。自分にもあんな時代があったんだなぁと思うと不思議な気持ちに。会社で園児たちの写真を見てると、ついニコニコしてしまいます。まるで天使みたい。Angelo Musicante(1521)Rosso Fiorentinoということで、今回は天使に関する作品をご紹介。ロッソ・フィオレンティーノの「リュートを弾く天使」です。小さな体で、アンニュイな表情でリュー...

ルノワール「テラスにて」
生涯を通じて、数多くの女性像を描き続けたオーギュスト・ルノワール。彼の絵を見ると、無条件で幸せな気持ちになります。Sur La Terrasse(1881)Pierre-Augustê Renoirこちらは親子の幸せなひとときを描いた「テラスにて」。1880年の作品です。母親らしき女性のモデルは、舞台女優のダーロウ。頭にかぶった赤い帽子に目がいきますが、今回注目したいのは、その白い肌です。前回もご紹介した「修復家だけが知る名画の真実」...

藤田嗣治「カフェにて」
吉村絵美留の「修復家だけが知る名画の真実」を読みました。筆者はピカソの作品だけで50点も手掛けたという修復家。ギャラリーフェイクみたいな派手さはないものの、美術ファンならよだれが出そうなエピソードがずらり。ひさびさに、タイトルに嘘偽りのない作品に出会えた気分です。今回はそのなかから、藤田嗣治の絵の秘密をご紹介します。Cafe(1918)Tsuguharu Foujita藤田嗣治「カフェにて」。陶器のような乳白色の肌が印象的...

ウィンズロー・ホーマー「夏の夜」
土日は伊東まで旅行に行ってました。会社の同僚と7人で、踊り子号に乗って。今年は夏らしいことを何もしてなかったんで、ギリギリセーフ(9月だけど)で海を見られて大満足です。Nuit d'été(1890)Winslow Homerということで、海にまつわる絵画をご紹介。ウィンズロー・ホーマーの「夏の夜」です。1890年発表、オルセー美術館所蔵の逸品。月明かりに優しく照らし出された浜辺、そこで踊る女性たちの姿。2人の影が水...

シャセリオー「エステルの化粧」とボードレール、アングル
少年時代、アングルに「絵のナポレオンになるだろう」と言わしめ、アングルの新古典主義とドラクロワのロマン主義を融合させた19世紀フランスの画家、テオドール・シャセリオー。ギュスターヴ・モローを指導したことでも知られており、モロー好きの自分としてはいつか紹介しなくちゃ、と思っていたわけです。The Toilet of Esther(1841)Théodore Chassériauこちらは1841年発表の「エステルの化粧」。この美しさを形容...

スピリアールト「めまい」
先日、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムのグッズ売り場で偶然見つけたレオン・スピリアールトの画集。輸入ものの洋書でしたが、迷わず買ってしまいました。あとでオランダ語であることに気づいて愕然としましたが、文章は置いておいて、作品をしみじみ眺められるだけで幸せです。Vertige(1908)Léon Spilliaertということで、今回ご紹介するのはレオン・スピリアールトの代表作「めまい」。砂漠にあらわれた螺旋状の階段の...

サデレール「ある暗い日の黄昏時」
以前紹介した、ヴァレリウス・ド・サデレール。東京オペラシティアートギャラリーの「アントワープ王立美術館コレクション展」ではじめて彼の作品を見て、その後ずっと気になってたんですが……。渋谷Bunkamura ザ・ミュージアムの「フランダースの光」で、なんと8点も出展されてました。今回はそのうちの一つ、「ある暗い日の黄昏時」をご紹介します。End of a Gloomy Day(1907)Valerius De Saedeleer階層状にたなびく雲、どこと...

レオン・ド・スメット「室内あるいは恋人たち」
もう1枚、レオン・ド・スメットの作品を。どれにしようか迷ったけど、やっぱりこれ。「室内あるいは恋人たち」です。美術展「フランダースの光」より。Interior or The Lovers(1911)Leon De Smet点描技法を用いながら、絵の舞台となるのはブルジョワジーな室内風景。天井が高く、広い室内の片隅、乳白色の室内で右下だけが暗く影を帯びていて、そのなかに隠れるかのように、ソファに座り抱擁する男女の姿……。2人とも真っ黒な衣装...

レオン・ド・スメット「桃色のハーモニー」
昨日に引き続き、「フランダースの光」より。表向きは昨日のエミール・クラウスが良かったと言ってますが、実際に一番しげしげ見入ってしまったのはこちらの作品でした。Rose Harmony(1912)Leon De Smetレオン・ド・スメットの「桃色のハーモニー」。なんともいえないエロティシズムを感じさせますが、これ、実物はこんなもんじゃないです。点描技法ゆえの朦朧とした、幻想的な雰囲気で絵に対する距離によって様々な表情が見えて...

エミール・クラウス「刈草干し」
今日は渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムの「フランダースの光 ~ベルギーの美しき村を描いて~」を見てきました。特に有名画家の作品があるわけでもないので、なんとなく足を運んでみたのですが……。これ、すごく良かったです。もう1回行きたいくらい。ここの企画展はホントはずれなしというか、毎回カタログを買わされてしまっています(笑)。Haymaker(1896)Emile Claus今回ご紹介するのは、エミール・クラウスの「刈草干し」。...

ベックリン「聖なる森」
先日、ベックリン展のカタログを古本屋で手に入れました。1987年に国立西洋美術館で開催されたもので、タイトルは「バーゼル美術館所蔵作品によるアルノルト・ベックリーン展」。「死の島」「ケンタウロスの闘い」「キリストの死を嘆くマグダラのマリア」「憩う牧神パーンのいる森の風景」「戯れる人魚たち」など、思わずよだれのたれそうなベックリン作品がずらり。その中でも、特に印象的だったのが「聖なる森」という作品でした...

ルソーとデュシャンとアンデパンダン展
美術館っていうと、真っ白な壁、真っ白な室内、そしてある程度間隔をあけて展示された絵画を連想する人も多いかもしれません。中には作品に合わせて壁を真っ赤にしたりっていうのもあるけど、まぁ展示方法は似たり寄ったりですよね。無菌室みたいなものすごくきれいな環境で展示するこの方法を「ホワイトキューブ」といって、賛否両論なんです。個人的には、すいてるホワイトキューブは好きだけど混んでるホワイトキューブは大嫌い...

マネ「エミール・ゾラの肖像」
前回ご紹介した、ディエゴ・ベラスケスの「バッカスの勝利」。この作品を画中画として使用したのが、印象派の先駆者、エドゥアール・マネ。1867年ごろの作品、「エミール・ゾラの肖像」において、彼の芸術理念、印象派による新しい芸術を表現するための小道具として用いられています。Portrait d'Emile Zola(1867-1868)Edouard Manet「オランピア」「草上の昼食」でスキャンダルの渦中にあったマネにとって、ゾラは強力な擁護者...

ベラスケス「バッカスの勝利」
飲んできました。今日が金曜日だったらよかったのに。明日も仕事か・・・。Triunfo de Baco(about 1628)Diego Velázquez本日の一枚は、ディエゴ・ベラスケスの「バッカスの勝利」。酔っぱらいといえば、この一枚。カラヴァッジョの影響を受けているとよく言われますが、なるほど中央の酒神バッカスにはカラヴァッジョ風の中性的な色気を感じます。1628年頃の作品で、プラド美術館所蔵です。そういえば、当ブログでベラスケ...
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