
幻想(大原美術館特集 2)
大原美術館特集、第2回はピュヴィ・ド・シャヴァンヌ。縦2.6m、横1.4mの装飾画「幻想」です。La Fantaisie(1866)Pierre Puvis de Chavannesまるで大理石のような質感の、ペガサスと裸体。手前の男性は花を摘んで冠を作っており、女性は植物のつるでペガサスを捕らえようとしています。そしてそれに抗うかのように前足を上げ、首をひねっていななかんとするペガサス。まさに幻想的な一幕です。背景にも注目です。先日twitterにて...

和服を着たベルギーの少女(大原美術館特集 1)
木曜に大阪出張だったので、思い切って金曜はお休みをいただいて東京→大阪→倉敷→山口というぶらり一人旅に行ってまいりました。大阪はたびたび訪れてるので早々に切り上げて、木曜のうちに倉敷に移動。翌朝まず向かったのが、大原美術館です。この旅の主目的のひとつで、一度は行ってみたかったんです!ちょうど創設80周年を記念して「大原美術館名作選」というのをやっていて、見たかったものから全然知らなかったものまで、素敵...

デューラー「メレンコリア1」
藝大美術館のあと、上野公園を通り抜けて国立西洋美術館へ。「アルブレヒト・デューラー版画・素描展」を見てきました。デューラーの作品だけで157点、なんて贅沢な!藝大美術館で展示されてた黙示録もよかったけど、トータルバランスで言ったらやっぱりこっちは圧倒的でした。人が少ないのが不思議なくらい。Melencolia ?(1514)Albrecht Dürer※クリックすると、画像を拡大してご覧いただけます。こちらは1514年の銅版画「...

…これを千年のあひだつなぎおき
今日は上野の藝大美術館→国立西洋美術館とはしごしてきました。まずは根津駅で下車して、お寺が連なる谷中の街路をテクテク歩き、藝大美術館の「黙示録 デューラー/ルドン」へ。新約聖書の最期を飾る預言書、「黙示録」を軸に置いた企画展でなんといっても目玉はアルブレヒト・デューラーの版画なんですが、個人的に印象深かったのは、オディロン・ルドンの作品でした。…et le lia pour mille ans;(1899)Odilon Redon※クリック...

皇后エリザベータ・アレクセーエヴナ
井上靖の「おろしや国酔夢譚」を読みました。江戸末期、ロシアに漂流した大黒屋光太夫らの数奇な運命を描いた小説です。当初アムチトカ島という土民の島に流れ着いた光太夫たちは、その地に留まっていたロシア人たちと協力して船をつくり、自力でカムチャツカへ、そしてロシア内を転々とし、ついにはロシアの最高権力者、女帝エカチェリーナ2世をも動かし日本への帰国という約10年越しの宿願を実現させます。さて、このエカチェリ...

緑、黒、黄褐色のコンポジション
ペンキを垂らす。垂らす垂らす垂らす。床に置いたカンバスに、くわえタバコでペンキを垂らす。これでアートとして成立してしまうから面白いですよね。Composition on Green, Black and Tan(1951)Jackson Pollock※画像をクリックすると、拡大してご覧いただけます。こちらは川村美術館所蔵の、ジャクソン・ポロック「緑、黒、黄褐色のコンポジション」。ポロックの作品はシンプルだけど分かりにくい。でも好きか嫌いかで言ったら...

ゴヤ「理性の眠りは怪物を生む」
お客さんと飲んでました。とても有意義な時間だったんですが、帰りの電車で見事に寝過ごしてしまい……。お酒飲むと眠くなる体質をどうにか改善したい。el sueño de la razón produce monstruos(1799)Francisco de Goya※画像をクリックすると、拡大してご覧いただけます。こちらはフランシスコ・デ・ゴヤの「理性の眠りは怪物を生む」。本日のネタとしてフュースリの「夢魔」とどっちにしようか迷ったんですが、向こうは...

円山応挙「氷図屏風」
現代アート? 抽象画?いやいや、これが描かれたのは、今から230年も昔。しかも日本画家の手による屏風絵というから驚きです。Cracked Ice(c.1780)Maruyama Okyo円山応挙、「氷図屏風」。応挙といえば、空間の画家。現在三井記念美術館で開かれている企画展、「円山応挙 空間の創造」でもその魅力の一端に触れることができますが、大英博物館蔵の「氷図屏風」はとにかく異質というか奇想というか。直線だけで構成されているのに...

クロード・モネ「サンタドレスのテラス」
11月14日はクロード・モネの誕生日。ということで、本日はモネの作品を。初期の傑作「サンタドレスのテラス」です。Terrasse a Sainte-Adresse(1867)Claude Monet※画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。「ひなげし」なんかもそうなんですが、モネの作品の赤ってすごく好きなんです。思わずはっとさせられる。陽光にきらめく花々、幸福な家族の一瞬。このとき、モネはまだ27歳。印象派の画風を確立する前の、みずみずし...

ウィンズロー・ホーマー「落日の炎」
落日。オレンジ色に染まる海。感傷を引きずりながら、波間を進む船。Sunset Fires(1880)Winslow Homerこちらはウィンズロー・ホーマーの「落日の炎」。この作品にぴったりの詩を一編。 ハインリヒ・ハイネ「船出」(部分) ぼくはマストにもたれていた あとからあとから来ては去る波を数えた 「さらば なつかしの祖国よ ぼくの船の 船脚は速い」 いつしか恋人の家の前に船はかかり 窓ガラスが光っている ぼくは眼がと...

ベラスケス「ラス・メニーナス」
スペインの至宝、宮廷画家ディエゴ・ベラスケスの代表作「ラス・メニーナス」。絵画のオリジナル・タイトルは「王の家族」なのに、王と王妃は鏡の中。318×276cmの大画面に描かれた集団肖像画の中央にちんまりとおさまるのは、皇女マルガリータの愛らしい姿なのです。その理由とは……?Las Meninas(1656-57)Diego Velázquez※画像をクリックすると、拡大してご覧いただけます。当時、スペイン宮廷では後継者問題が悩みの種だっ...

和田英作「渡頭の夕暮れ」
夕焼けが好きです。今日もがんばったなぁという気持ちになる。明日もがんばろうという気持ちになる。いやおうなしに、感謝の気持ちがわき起こる。Sunset at the Ferry(1897)Eisaku Wada和田英作「渡頭の夕暮れ」。落日に染まる多摩川の水面を、じっと見つめる農民の姿。「渡頭」とは、渡し場のこと。対岸には小舟が描かれており、彼らが川を渡るために、小舟を待っていることがわかります。一日の労働を終え、疲れた体で目にする...

テオドール・ルソー「夕暮れのバルビゾン村」
今日は朝から日曜美術館の「ミレー傑作10選」を見て、頭の中はバルビゾン派一色の状態で府中市美術館へ。「バルビゾンからの贈り物 ~至高なる風景の輝き」を見てきました。Village de Barbizon au Soleil Couchant(c.1864)Théodore Rousseauこちらはテオドール・ルソーの「夕暮れのバルビゾン村」。実物はもっと赤が強くて、それこそ地平の向こうから、木々の間から夕焼けの赤が迫ってくるような印象でした。大地を染める...

ゴッホ「レストランの内部」
炎の画家、ゴッホ。力強く激しいイメージが強いけど、実は繊細な作品も多いんですよね。Interior of a Restaurant(1887)Van Gogh※画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。こちらは「レストランの内部」。新印象派のジョルジュ・スーラやポール・シニャックを思わせる、精緻な点描技法で描かれた作品です。ゴッホがこの作品を描いたのは、1887年。この前年に第8回印象派展が開かれており、そこで次世代の旗手として注目を...

ドービニー「ボニエール近郊の村」
やっぱり印象派にくらべると、バルビゾン派はちょっと地味。でも地味だからこそ、見ていて落ち着くんでしょうね。強く記憶には残らないけど、残らないからこそ、何度見ても新たな感動があるわけで。Village near Bonnières(1861)Charles-François Daubignyシャルル=フランソワ・ドービニー「ボニエール近郊の村」。ブリヂストン美術館の「セーヌの流れに沿って」で見たドービニーの絵は、どれも崇高なくらいの静けさ...

岡田三郎助「セーヌ河上流の景」
ブリヂストン美術館の「セーヌの流れに沿って」では、印象派の作品はもちろん、セーヌ川を描いた日本人画家たちの作品も見所のひとつ。日本にも印象派の洗礼を受けて、本場フランスで創作活動をした画家がたくさんいたんですね。こちらは岡田三郎助の「セーヌ河上流の景」(1899年)。こうして見るといかにもなバルビゾン派風の作品ですが、実際に見ると照明のせいなのか、もっと緑が明るくて、キラキラ輝いて見えるんですよ。コロ...

アンリ・ルソー「サン=ニコラ河岸から見たサン=ルイ島」
アンリ・ルソーの世界観はどこか作り物めいているんだけど、どこか懐かしさを感じてしまうのです。なんなんでしょう、この感じ。ホッとしてしまう。View of Saint-Louis Island Taken from Saint-Nicolas Port, in Evening(about 1888)Henri Rousseau※画像をクリックすると、拡大してご覧いただけます。こちらは「サン=ニコラ河岸から見たサン=ルイ島」。どことなく、ブリューゲルの作品に似ているような気もします。ブリュー...

モネ「セーヌ河の朝」
結局モネかよ、と突っ込まれてしまいそうですが、ブリヂストン美術館の企画展「セーヌの流れに沿って」で、一番印象に残った作品はクロード・モネなのでした。Morning on the Seine(1897)Claude Monet※画像をクリックすると、拡大してご覧いただけます。「セーヌ河の朝(ジヴェルニーのセーヌ河支流」。近くで見た時はふうん、なるほどねーという感じで通り過ぎてしまったんですが、遠ざかって振り返って見たとき、思わず心をわ...

メアリー・カサット「オペラ座にて」
昨日に引き続き、オペラにまつわる絵画を。メアリー・カサットの「オペラ座にて」。ルノワールの作品とは対照的な、黒一色の衣装で観劇に没頭する女性の姿。At the Opera(1878)Mary Cassatt※画像をクリックすると、拡大してご覧いただけます。服装といい閉じた扇子といい、やっぱりルノワール作品に見られる華やかさは皆無ですね。一方画面左上には、観劇そっちのけで手前の女性を見つめる男性の姿。男ってやつは……と何ともいえ...
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