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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

本阿弥光悦・俵屋宗達「花卉摺絵古今集和歌巻」

前回に引き続き、出光美術館「琳派芸術」より。前期展示で一番印象に残ったのが、実はこちらの作品。「花卉摺絵古今集和歌巻」(部分)です。Poems from Kokin Waka-shu over Design of FlowersCalligraphy: Hon'ami KoetsuDesign: Tawaraya Sotatsu書は本阿弥光悦、版下絵は俵屋宗達。金泥による装飾的な下絵は柳、桜、蔦、雌日芝、忍草。そして「古今和歌集(秋歌下)」から散らし書きされた10首の和歌。やっぱり編集者としては...
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伝・尾形光琳「紅白梅図屏風」

思わずくらくら目眩がしそうな、めくるめく金世界。出光美術館の「琳派芸術」、予想以上の見応えでした。Red and White Plum Blossoms(18th Century)Attributed to Ogata Korinこちらは伝・尾形光琳「紅白梅図屏風」(左隻)。う~ん、すごい。意志を持ってうねるような枝々と、今まさにポンっとはじけたかのような、生命力にあふれた紅白の花弁。眼前に迫ってくるかと思いきや、手を伸ばすとふっと遠ざかっていきそうで、見れば...
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酒井抱一「四季花木図屏風」

今日は出光美術館「琳派芸術(前期)」を見て、そのあと畠山記念館「酒井抱一 琳派の華」に行ってきました。抱一生誕250年を2連発ということで、なんとも贅沢な一日。最後に時間があまったので、もう一回日比谷に戻って三菱一号館美術館の「カンディンスキーと青騎士」(2回目)も。ということで、まずは畠山記念館の逸品をご紹介します。Flowers and Trees of the Four SeasonsSakai Hoitsu酒井抱一「四季花木図屏風」。四季彩々...
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マティス「イカロス」

青、黄色、黒、赤。こんなにシンプルなのに、イメージは果てしなく膨らんでいきます。アンリ・マティス「イカロス」。晩年の切り紙絵の作品をもとに発行した挿絵本「ジャズ」より。Icarus(1947)Henri Matisse詩人ボードレールは、太陽を目指して飛ぼうとしたイカロスの動機を「美に、あこがるる心ゆえ」とうたっています。身を焼かれてもなお、高みを目指す。それが芸術家というものなのかもしれません。十二指腸癌によって体力...
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東山魁夷「冬華」

昨日行った病院の待合室に、ドイツのシュヴァルツヴァルト(樹氷)のポスターが貼ってありまして。樹木の枝々を霧氷が覆ってできた、まさに自然の芸術。で、そのポスターを見て思い出したのが東山魁夷のこの作品。Winter Flower(1964)Kaii Higashiyama国立近代美術館所蔵、東山魁夷「冬華」。霧氷をまとった、まるで珊瑚のような樹木。毛細血管のように張り巡らされた白い枝々は、天上で燦然と輝く太陽に向かって急速に膨らんで...
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セガンティーニ「悪しき母たち」

新印象派風の明るいタッチで、アルプスのきらめく風景を描いたジョヴァンニ・セガンティーニ。しかしその一方で、彼はこんな作品も描いています。The Evil Mothers(1894)Giovanni Segantini※画像をクリックすると、拡大してご覧いただけます。セガンティーニ「悪しき母たち」。前回ご紹介した「アルプスの真昼」の2年後、1894年の作品です。凍てついた雪原で、枯れ枝に搦めとられた女性たち。画面右側の女性の胸元に目をこらすと...
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セガンティーニ「アルプスの真昼」

4月末から、損保ジャパン東郷青児美術館でジョヴァンニ・セガンティーニの企画展をやるみたいですね。タイトルは「アルプスの画家 セガンティーニ」。どんな作品が集まるのか、楽しみです。Highnoon in the Alps(1892)Giovanni Segantini昨年大原美術館に行ったときにセガンティーニの作品を見てきたんですが、それがこちらの「アルプスの真昼」です。雲ひとつない青空、太陽の光に輝く牧草。奇妙に折れ曲がった木の幹に体を預...
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フリードリヒ「海辺の修道僧」

風が立ち、浪が騒ぎ、無限のまへに腕を振る。 (中原中也「盲目の秋」より)Monk by the Sea(1809)Caspar David Friedrich前回ちらっとドイツロマン主義の画家、カスパー・ダーフィト・フリードリヒの作品に触れたので今回も彼の作品をご紹介します。1809年の「海辺の修道僧」です。何もない空、何もない海。果てしなく広がる「無限」の前で、一人立ちすくむ修道僧の姿。その胸に宿るのは絶望なのか希望なのか、見る人によって1...
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フーゴー・ヘップナー「光への祈り」

すっかり体調を崩してしまい、今日は一日引きこもってました。さすがに一歩も外に出ないのはキツイですね。やっぱりお日様に当たらないと、精神衛生上よろしくない。Lichtgebet(1894)Hugo Höppenerということで、この一枚。フーゴー・ヘップナー「光への祈り」です。岩壁に立ち、全身で光を受け止めようとする少年。あらん限りに体を大きく開いた一糸まとわぬ姿には、ある種の神々しさが漂います。ヘップナー(通称フィード...
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長谷川等伯「松林図屏風」

本日(1月22日)から、日経朝刊にて連載小説「等伯」が始まりました。作者は安部龍太郎、挿絵は西のぼる。長谷川等伯の生涯を描いた小説ということで、しばらくチェックしていきたいと思ってます。連載小説ってまともに読んだことがないので、毎朝の楽しみが増えるかも♪Pine Woods(1593~95)Hasegawa Tohakuということで、今回は長谷川等伯の代表作「松林図屏風」。東京国立博物館の至宝であり、日本の水墨画の最高峰とも言われ...
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ココシュカ「風の花嫁」

前回に引き続き、オスカー・ココシュカの「風の花嫁」について。この絵は現在バーゼル美術館に所蔵されてるんですが、これまで一度も外に出たことがない、門外不出の作品なのだとか。なぜでしょうか……?Bride of the Wind(1913)Oskar Kokoschkaモデルを務めたアルマ・マーラーとココシュカは恋愛関係にあり、その頂点で描かれた本作はもっと明るい色彩でした。しかし2人の関係は悪化していき、その不安からかココシュカは何度も...
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ココシュカ「アルマ・マーラーの肖像」

昨日のウィーンの音楽にちなんで、今回はウィーン出身の画家を紹介します。クリムトに見出され、クリムトに見放された画家。その名はオスカー・ココシュカ。Alma Mahler(1912)Oskar Kokoschkaこちらは国立近代美術館所蔵のココシュカ「アルマ・マーラーの肖像」です。筆遣いは荒々しいけど、色調は淡くやわらかく恋の激しさと優しさを同時にキャンバスに封じ込めた傑作だと思います。アルマ・マーラーは、ウィーンの作曲家グスタ...
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ルノワール「アルフォンス・ドーデ夫人の肖像」

今日はウィンナー・ワルツ・オーケストラの宮殿祝賀コンサートを聞きに行ってきました。場所は横浜のみなとみらいホール。開場前から大行列、中に入ったらものすごい壮麗な雰囲気でした。そして1曲目はジョルジュ・ビゼーの「アルルの女」より、「ファランドール」。アルフォンス・ドーデの戯曲を上演するにあたってビゼーが作曲したものだそうですが、ドーデといえば……前に拙ブログでも登場してますね。Portrait of Madame Alphon...
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ルドン「ヴィオレット・ハイマンの肖像」

どこか浮世離れした、幻想的な花々。モデルの女性の内面を映し出したような、浮遊感の漂う不思議な肖像画です。オディロン・ルドン「ヴィオレット・ハイマンの肖像」。ハイネの詩と合わせてご覧あれ。Portrait of Violet Heymann(1910)Odilon Redon※画像をクリックすると、拡大してご覧いただけます。わが涙より咲き出ずるかずかずの美しき花。わが嘆きより響き出ずるうぐいすの諸声の歌。君われを愛したまわば花すべて君に贈ら...
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アンリ・ルソー「第22回アンデパンダン展への参加を芸術家に呼びかける自由の女神」

アンリ・ルソーの人生を語るうえでよく引き合いに出される作品ですが、国内にあるとは思いませんでした。まさかの出会いに感激です。「第22回アンデパンダン展への参加を芸術家に呼びかける自由の女神」。東京国立近代美術館所蔵で、現在コレクション展示で見ることができます。La Liberté invitant les artistes à prendre part à la 22e exposition des Indépendants(1906)Henri Rousseau有名・無名を問わ...
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靉光「眼のある風景」

重力に押しつぶされたかのような、不穏な塊。何かを訴えかけるような瞳。混沌のなかで、この瞳にだけ意志が宿り、強く見開かれています。Landscape with an Eye(1938)Ai-Mitsu靉光の「眼のある風景」。じっと見ていると焼けただれた肉やら熱せられた岩肌やら色んなものに見えてきて、そんな鑑賞者の動揺を見透かすように、絵の中央から鋭い眼光が放たれるわけですね。国立近代美術館の「日本画の前衛」には、靉光の作品が多数展...
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船田玉樹「花の夕」

順番が前後してしまいましたが、日曜は皇居の三の丸尚蔵館のあと、国立近代美術館へ。「日本画の前衛」を見てきました。1938~49年の歴程美術協会の作品ということでまったく不案内というか実はそれほど期待せずに行ったんですが……これは素晴らしい!!因習から解放された、革新的で自由な日本画の世界を堪能できます。来月くらいにもう1回行ってこよう♪Flowers(Image of Evening)(1938)Funada Gyokujuということで、今回ご紹...
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尾形光琳「風神雷神図屏風」

東京国立博物館に行ってきました。本館リニューアルということで胸を躍らせて行ったんですが、目もくらむような文化財の数々に……ホントに気持ち悪くなってしまい、あえなく途中退出。文化酔い(知恵熱?)というやつですね。。。Fujin RaijinOgata Korinということでイマイチ細かいところは覚えていないんですが、こちらはしっかり見てきました。緒方光琳「風神雷神図屏風」。来月から始まる出光美術館の「琳派芸術」(後期展示)...
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山本芳翠「唐家屯月下之歩哨」

2010年最初の美術館詣で。どこに行こうか迷って国立近代美術館に決めたものの、結局途中で予定を変更。皇居内にある三の丸尚蔵館の「近代の洋画家、創作の眼差し」を見てきました。こちらは山本芳翠の「唐家屯月下之歩哨」。山本は日清戦争に従軍画家として赴いており、そこで見た光景を描いたものだそうです。バルビゾン派風のいぶし銀の樹木の合間から山頂の右上に輝くのは、落日ではなく満月。月明かりが中央の小川にゆらめき、...
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小磯良平「練習場の踊り子達」

レニングラード国立バレエの「白鳥の湖」を見てきました。オディールの32回転も圧巻でしたが、一番印象的だったのは湖のほとりで一人たたずむジークフリートの後ろを、白鳥たちが駆け抜けるシーン。このへんからぐいぐい引き込まれて釘付けになってしまいました。さて、バレエといえば踊り子の画家ドガ……と言いたいところですが、前にそのパターンで作品を紹介したことがあるので今回は別の画家で。Dancers in the Studio(1938)R...
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ギヨマン「ヴァリュベール広場」

年末ジャンボ宝くじ、3万円分(100枚)購入してたんですが、みごと「年忘れラッキー賞」の3万円が当たりました♪当たったのが判明した瞬間は、心臓がバクバク高鳴ってしまいました。1億円とか当たってしまったら、一体どうなってしまうのだろうか。ということで、今回は宝くじと縁の深い画家を紹介します。印象派の画家、アルマン・ギヨマンです。La Place Valhubert(1875)Jean-Baptiste Armand Guillaumin※画像をクリックすると...
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モロー「旅する天使」

今年もいろんなところに旅行に行きたいと思っています。国内だったら京都、金沢、四国あたりがいい。思いきって海外にも行きたいな。パスポートとっくに切れてるから申請しに行かないと。。。The Migrant Angel Gustave Moreauこちらはギュスターヴ・モローの「旅する天使」。寺院の上で羽を休める天使の姿が描かれています。天使の足元を見ると、壁に溶け込んでしまっているようでもありどこか寂しげで、無力感や虚無感が漂う不思...
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デューラー「野兎」

2011年の干支はウサギ。ウサギ、ウサギ、ウサギといったら……やっぱりこの1枚でしょうか。A Young Hare(1502)Albrecht Dürer※画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。アルブレヒト・デューラー「野兎」。昨年「美の巨人たち」で取り上げられていたのでご存知の方も多いのではないでしょうか。部分部分で毛の質感を変え、瞳に映るアトリエの窓枠まで描き込む徹底ぶり。これぞ神の手と驚嘆させられる一枚です。自分も...
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ルノワール「読書するカミーユ・モネ」

今回は、読書のお話。まずは読書関連の作品紹介から。ルノワール「読書するカミーユ・モネ」です。カミーユは、印象派を代表する画家、クロード・モネの奥さん。後ろの壁には、彼らが傾倒していた日本文化を思わせる団扇が飾られています。それにしても……狭い部屋で生活している自分にとって、こんな風にソファに体を預けて足を伸ばして読書だなんて……うらやましいことこの上ない。あこがれです。ホントに。Camille Monet reading...
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ブログタイトルについて

今回は絵画作品の紹介ではなく、当ブログのタイトルについて。今の住まいに引っ越したのが5年前くらいなんですが、近くによさげな美術館はないものかと検索したところ足立区には絵画中心の美術館がなくてガッカリしたんですね。で、同じような経験をしたことがある人って意外に多いと思うんです。この場合、「地元にはないのかぁ」とガッカリしたまま終わってしまうわけです。そんなことがあって、ブログを始めるにあたってせめて...
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2011年に行った美術展

2011年に行った美術展で、既に展示が終了したものの一覧です。「関連記事」から、該当ブログ記事をご覧いただけます。近代の洋画家、創作の眼差し [場  所]宮内庁三の丸尚蔵館 (東京・丸の内) [会  期]2010年10月30日~2011年1月10日 [関連記事]山本芳翠「唐家屯月下之歩哨」モネとジヴェルニーの画家たち [場  所]Bunkamuraザ・ミュージアム (東京・渋谷) [開  期]2010年12月7日~2011年2月17日 [...
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モネ「印象、日の出」

みなさま、あけましておめでとうございます。今年もすばらしい年になるように……そんな思いを込めて、新年1回目はこの作品。Impression, Soleil Levant(1873)Claude Monet※画像をクリックすると、拡大してご覧いただけます。クロード・モネ「印象、日の出」。印象派の名前の由来ともなった作品で、1874年、第1回印象派展に出品された記念すべき1枚です。灰色にけぶるル・アーブルの港と、空をオレンジに染めながら昇りゆく太陽。...
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