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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

ハンマースホイ「ピアノを弾く妻イーダのいる室内」

モノトーンを基調とした、静謐な空間。開け放たれた扉の向こうには、ピアノを弾く女性の後ろ姿。ヴィルヘルム・ハンマースホイ「ピアノを弾く妻イーダのいる室内」。国内のハンマースホイ作品は、国立西洋美術館所蔵のこの1枚のみなのだとか。嗚呼、この後ろ姿……。Interior with Ida Playing the Piano(1910)Vilhelm Hammershøi数年前に開かれた、国立西洋美術館のハンマースホイ展ですが、当時は「ハンマースホイ? なんじ...
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セガンティーニ「羊の剪毛」

いかにもセガンティーニな、羊の毛を刈るアルプスの一幕。国立西洋美術館所蔵、「羊の剪毛」。なんかこう、敬虔な気持ちにさせられます。ミレーの作品にも通じるものがありますね。 The Sheepshearing(1883-84) Giovanni Segantiniさて、明日から損保ジャパン東郷青児美術館で予定されてた33年ぶりの回顧展「アルプスの画家セガンティーニ」。一昨日の晩、中止になったことを知ってショックを隠しきれなかったんですが……本日、...
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高橋由一「鮭」

とても立派な鮭でした。脂の乗った、鮭でした。Salmon(c.1877)Takahashi Yuichi高橋由一「鮭」。明治の日本で油絵の普及に努めた画家が、40代後半のころに描いた作品。もともとは狩野派に学び、洋画家に転向したのは30代半ばといいますから、およそ10年でこの境地に達したということですね。まさに円熟、ふるう絵筆にも脂がのっていたことでしょう。重要文化財に指定されているのも納得です。先日行った東京藝術大学大学美術館に...
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小林古径「極楽井」

霊泉として知られる井戸を囲む、少女たち。香り立つのは背景に咲く、白木蓮の花?それとも……。 Elysian Well(1912) Kobayashi Kokei小林古径「極楽井」。東京藝術大学大学美術館の「香り かぐわしき名宝展」より。どうにもこの絵の前からは立ち去りがたく、香気にからめとられた獲物のようにただただジイッと見つめるしかないのでした。視線の先には、赤い着物の少女。彼女だけが顔をこちらに傾けており、切れ長の目と口元の...
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速水御舟「夜梅」

時こそ今は花は香炉に打薫じ、そこはかとないけはひです。 Japanese Apricot at Night(1930) Hayami Gyosyu速水御舟「夜梅」。国立近代美術館所蔵の作品で、現在は東京藝術大学大学美術館で行われている「香り かぐわしき名宝」という企画展で展示されています。朧なる宵闇の中から枝を伸ばし、銀泥の望月から零れる光を浴びんとする白梅。今しも香気が立ち上ってきそうな、馥郁たる一枚です。「芸術の上に常に欲しいと思ふの...
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竹久夢二「水竹居」

着崩した衿から覗く、白いうなじと背中。一言でいえば、なまめかしい。竹久夢二、晩年の作品「水竹居」。ベルリン滞在時に現地のモデルを起用したて制作したそうで、そのせいか肌の白さと線の細さが際立ちます。和装の外国人女性をモデルにした作品といえば前に児島虎次郎の「和服を着たベルギーの少女」をご紹介しましたが、虎次郎の作品がどこからどう見ても外国人なのに対し、夢二の作品は……なんというか、国籍とか人種をこえた...
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「現代のドガ」、ロバート・ハインデル

「現代のドガ」と呼ばれたアメリカの画家、ロバート・ハインデル。踊り子の画家ドガと同じようにダンサーに魅せられ、バレエやミュージカルを題材とした作品を多く発表しています。 Coloured Ribbons Robert Heindelこちらはロバート・ハインデル「Coloured Ribbons」。黒い衣装の踊り子の周りを、無数の鮮やかなリボンが円を描き舞い踊ります。踊り子の躍動感よりも、思わず息を呑んでしまう瞬間の美しさを描いているのもドガと...
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カイユボット「パリの通り、雨」

雨ですねぇ。 Paris Street; Rainy Day(1877) Gustave Caillebotteギュスターヴ・カイユボット「パリの通り、雨」。印象派の画家たちのなかではちょっと地味というか、知名度ではマネやモネ、ルノワールやドガには比ぶべくもないけれど……やっぱりこの人の絵はすごいですね。印象派として括られてしまったことで、かえって作品の素晴らしさが霞んでしまっているようにも思います。だって、ものすごく写実的なんだもの。そもそも...
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ルノワール「ブージヴァルのダンス」と椿姫

幸福を絵に描いたような、ダンスに興じる男女の姿。でもよく見ると女性は目を伏せて思わせぶりな表情で、恋の駆け引きを楽しんでいるようにも見えます。ルノワール「ブージヴァルのダンス」。セーヌ川沿いの行楽地での一幕を描いた作品で「都会のダンス」「田舎のダンス」と並ぶダンス3部作のひとつ。昨年、国立新美術館のルノワール展でも展示されてましたね。ところで、ブージヴァルを舞台にした悲恋の物語といえば……。Dance at ...
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レンブラント「机の前のティトゥス」

人を教え、育てることの意味は別れのその瞬間にこそ、気づかされるのだと思います。The Artists Son Titus at His Desk(1655)Rembrandt Harmensz. van Rijnレンブラント「机の前のティトゥス」。4人の子どものうち、唯一無事に育った画家の息子が机の前で物思いにふける様を描いた傑作です。前にもちらっと書きましたが、本日正式に、後輩が会社を辞めました。入社してから3年半、よくぞここまで頑張ってくれたという思いでいっ...
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跡見玉枝「桜花図屏風」

あいかわらず余震が続いており、シャツ一枚で平気なくらい暖かいかと思えば思い出したように寒さがぶり返したり不安定な日々が続いていますが……それでも桜は散って、あらたな季節がやってこようとしています。ぼくらの思いをよそに、季節は巡っていくんですね。 Screen of Cherry Blossoms(1934) Atomi Gyokushi跡見玉枝「桜花図屏風」(部分)。現在、国立近代美術館で展示されている一枚です。跡見玉枝は桜をモチーフにした...
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フリードリヒ「日の出を前にたたずむ女性」

厳かな夜明け。ためらいがちに両手を左右に広げ、全身で光を受け止めようとする女性の後ろ姿。カスパー・ダーフィト・フリードリヒ「日の出を前にたたずむ女性」。大自然に対峙する、孤高の背中を多く描いたロマン主義の画家の作品です。 Woman Before The Rising Sun(1818-20) Caspar David Friedrich今回この作品をご紹介したのは、ある動画と出会ったから。僕の大好きなKyteというバンドの「They Won't Sleep」という曲に、...
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岡本太郎「眼の立像」

眼。とっても美しいですね。とても美しい眼をしてます。 Statue of Eye(1981) Okamoto Taro岡本太郎「眼の立像」。国立近代美術館の「生誕100年 岡本太郎展」より。同展のハイライトが、眼にまつわる作品で壁を埋め尽くした「岡本太郎との対決」というコーナー。「坐ることを拒否する椅子」に座って眺める作品群は、どれもユーモラスでエネルギッシュでした。あっちこっちに眼があるけど監視されているという感じではなく、作...
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岡本太郎「森の掟」とスティッキー・フィンガーズ

来週(4月23日)の「美の巨人たち」が、岡本太郎の「森の掟」ということで。一足お先に、当ブログでご紹介してしまいます。まぁ詳しいお話は番組にお任せするとして、間違いなくかぶらないだろうと思われる方向で、とりとめもなく。 Law of the Jungle(1950) Okamoto Taro電撃のように森を引き裂く巨大な怪物。その口には、鋭い牙と獲物となった動物(人間?)の姿。背中には……チャック。チャック?よく見ると背中にゼンマイの...
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岡本太郎「夜」

国立近代美術館で開催中の「生誕100年 岡本太郎展」、前期展示の「重工業」と入れ替えで、4月5日から展示されているのが「夜」という作品です。 Night(1947) Okamoto Taro地を這い、怪しく枝を伸ばす大樹。闇の中に青白く仄光る枝々は、ところどころ電気を帯びていたりチロチロと燃えているようでもあり。手前に立つ少女は後ろ手にナイフを握りしめ、視線の先には……ドクロ。画面をじっと見ていると、2つの赤い炎はつり上がっ...
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岡本太郎「空間」

暗闇に浮かぶ一本の白い棒と、表は白、裏地は赤の、風にはためく布のような物体。棒は右側に引っ張られるようであり、一方布は左側になびいているようであり、こうした力のベクトルだけでなく、硬と軟、線と平面が反発し合い、緊張感漂う一枚です。 Space(1934/54) Okamoto Taro岡本太郎「空間」。1932年、ピカソの作品と出会い、これを乗り越えようとする中で描かれた作品です。色彩が炸裂するような後の作品に比べると、非常...
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ジャン・ブロック「ヒュアキントスの死」

ボボボボボ、ボーイズラブですかっ (* ´Д`*)Death of Hyacinth(1801)Jean Brocジャン・ブロック「ヒュアキントスの死」。パッと見は熱く抱擁をかわすカップルなんですが、どうしてもある一点が気になってしまいます。あらやだ、恥ずかしい……。右側の少年は太陽神アポロン。左側の少年は、スパルタ王の息子ヒュアキントス。愛し合っていた(キャッ)2人ですが、ある日アポロンが投げた円盤が跳ね返ってヒュアキントスの顔面を直撃...
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ゴヤ「戦争の惨禍」

今日はセルバンテス文化センターの「ゴヤが見た戦争:版画集『戦争の惨禍』と報道写真」を……見に行けませんでした(T_T)お昼ご飯食べてから行こうと思ってたら、日曜は14時までらしく……今日で最終日だし。ぐわぁ。悔しいので、あたかも見てきたかのようにご紹介。 Disasters of War Francisco Jose de Goyaゴヤ「戦争の惨禍」より。聴力を失い、宮廷を辞し、ナポレオン軍の侵攻とスペイン独立戦争で無惨に蹂躙された祖国を、ゴ...
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鳥居清長「当世遊里美人合 叉江涼」

昨日は山種美術館の「ボストン美術館浮世絵名品展」に行ってきました。来週で終了ということもあってか、まさかの入場規制+大混雑。美術館で、入場前から並ぶのってかなり久々でした。日曜美術館効果、おそるべし。 Enjoying the Cool Air at Nakazu Torii Kiyonagaこちらは鳥居清長「当世遊里美人合 叉江涼」。夕涼みをする、夏の一幕でしょうか。舞台は隅田川下流の埋め立て地、叉江(中洲)というところ。洪水の原因になる...
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クノップフ「見捨てられた町」

閉じられた扉、閉じられた窓。重い霧に飲み込まれたような空。音もなく、人の気配もないさびれた町を少しずつ少しずつ、波が浸食していきます。フェルナン・クノップフ「見捨てられた町」。ベルギー象徴主義の画家が描いたのは、みずからが幼少期を過ごしたブリュージュの町でした。 Ville Abandonnée(1904) Fernand Khnopff永井荷風は「海洋の旅」という作品のなかで、この町のことを「廃市」と表現しています。本作の発...
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クリムト「帽子を被りボアを着けた婦人」

前回ご紹介したルノワールの微笑みにくらべたら、まぁなんとも冷たい表情。「ジャンヌ・サマリーの肖像」が婉然ならこちらは圧倒的に傲然、でも美しい。 Lady with Hat and Feather Boa(1909) Gustav Klimtグスタフ・クリムト「帽子を被りボアを着けた婦人」。代表作「接吻(恋人たち)」で黄金時代の頂点に至ったクリムトは以後、黄金を離れて鮮やかな色彩が主体の作風に転じます。この作品は黒が多くを占めていますが、目に...
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ルノワール「ジャンヌ・サマリーの肖像」

この婉然とした微笑み。4月2日から出会えるはずだったんですけどね。。う~む、残念。 Jeanne Samary(1877) Pierre-Auguste Renoirルノワール「ジャンヌ・サマリーの肖像」。横浜美術館の「プーシキン美術館展」で来日するはずだったんですが、震災に伴うフランスの絵画輸出停止措置を受けて開催を見合わせることに。。。6月中をめどに開催の見通しを発表するとのことですが、こう美術展の中止が相次ぐと寂しいかぎりですね。...
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フェルメールの38番目の真作発見!

フェルメールの、38番目の真作が見つかったそうです。ロッテルダムのボイマンス美術館が買い上げたのだとか。タイトルは「エマオのキリスト」。「マリアとマルタの家のキリスト」のような、最初期の宗教画と思われます。まだ画風を確立する前の、初々しさを感じるのは僕だけでしょうか。 The Disciples at Emmaus Han van Meegerenはい、嘘です( ´ー`)4月1日なので……。エイプリルフールなので……。ごめんなさい。。。さて、フ...
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