
ジョアン・ミロ「無垢の笑い」
大阪出張、後編。国立国際美術館といえばこの壁画、ジョアン・ミロ「無垢の笑い」です。Innocent Laughter(1969)Joan MIRÓ国立国際美術館は大阪万博の際に世界各国の美術品を展示する目的で建設されたそうで、もともとは万博の敷地内にあったのだとか。その後も吹田の万博記念公園で企画展を開催していましたが、老朽化などに伴い、2004年に現在の中之島に移転したそうです。で、ミロの「無垢の笑い」。この作品もまた、大...

草間彌生「チューリップに愛をこめて、祈る」
昨日は大阪で打ち合わせがございまして、ちょっと早めに現地入りして国立国際美術館に行ってきました。「草間彌生 永遠の永遠の永遠」、もうじき埼玉近美に巡回しますが一足お先に見て参りました。ということで、この作品。草間彌生「チューリップに愛をこめて、祈る」です。実はぼく、草間さんの作品はちんぷんかんぷんなんですが立体になると、なんかワクワクするのが不思議です。基本的に会場内は撮影禁止なんですが、このチュ...

竹内栖鳳「ベニスの月」
霧につつまれた水の都。なんて幻想的ではかない風景なんでしょう。ターナーの水彩画をセピア色にしたような、孤高の美しさです。竹内栖鳳「ベニスの月」。やっぱりこの人は、日本画壇でも特異な存在だったんだろうなぁ。The Moon in VeniceTakeuchi Seiho(1904)霧に包まれているからこそ、確かな手応えがないからこそ、信じられることもあると思うんだけれど。それは信じるよりほかに方法がないっていうだけなんだろうか。いずれ...

コロー「羊飼いの星」
湖のほとり、遠ざかる羊たちの群れ。右手をかざして、夜空を見上げる人。親指と人差し指のあいだから、星をのぞいているのでしょうか。カミーユ・コロー「羊飼いの星」。抒情あふれる、美しい一枚です。The Evening Star(1864)Camille Corot今夜はこんなふうに、西の空を見上げた人がたくさんいたのでしょうね。金星と三日月と木星が縦につらなる、奇跡のような一夜。会社からだと首都高のあかりが邪魔して見づらかったので、急...

山下清「かたつむり」
わたしの せなかの からの なかには、かなしみが いっぱい つまって いるではないか。 (新見南吉「でんでんむしのかなしみ」より)昨晩、テレビで新美南吉の「でんでんむしのかなしみ」が流れていて、冒頭のフレーズが忘れられなくて。そんなわけで、山下清の「かたつむり」です。サインペンで描かれた、愛らしいかたつむりの親子。放浪の画家、山下清というと貼絵のイメージが強いけど、こんな作品も残しているんですねぇ...

難波田史男「終着駅は宇宙ステーション」
不条理だだがぼくらはこの世界にしか生きられないのだぼくはもはや孤独とかさびしいとか言はないぼくはこの世界を賛美して死にたい。それは色彩による、ただ色彩のみが美しい。(難波田史男)Terminus, Space Station(1963)Nambata Fumioこちらは難波田史男「終着駅は宇宙ステーション」。どことなく、パウル・クレーを思わせる世界観でいたるところに五線譜やピアノの鍵盤、音符のようなものが見てとれます。こうした音楽的な要...

ユベール・ロベール「ユピテル神殿、ナポリ近郊ポッツオーリ」
朽ち果てた古代神殿。風雨にさらされてところどころ崩れ落ち、蔓草がむやみに生い茂り……右手前の、一本だけ孤立した石柱が時間というものの果てしなさを思わせます。ユベール・ロベール「ユピテル神殿、ナポリ近郊ポッツオーリ」。廃墟の画家の真骨頂です。A View of a Classical Temple, Possibly That of Jupiter Serapis at Pozzuoli near Naples(1761)Hubert Robert廃墟、石柱、建築というと、ある詩人の名前が思い浮かびま...

ユベール・ロベール「アルカディアの牧人たち」
あいにくの雨。どこか出かけなきゃと思いながら、向かったのは国立西洋美術館の「ユベール・ロベール展」でした。薄い雨霧にけぶる町を歩いているといかにも「これから廃墟を見に行くんだ」という気持ちが高まってきまして。天気がよかったら、きっとこうはいかなかっただろうな。The Shepherds of Arcadia(1789)Hubert Robertこちらはユベール・ロベール「アルカディアの牧人たち」。アルカディアはギリシャのペロポンネソス半...

藤島武二「みだれ髪」(装丁)
この書の体裁は悉く藤島武二先生の意匠に成れり表紙画みだれ髪の輪廓は恋愛の矢のハートを射たるにて矢の根より吹き出でたる花は詩を意味せるなり与謝野晶子の処女歌集「みだれ髪」。恋愛というものを大胆に奔放に歌い上げた傑作ですが、その装丁と挿画を担当したのが洋画家の藤島武二でした。冒頭で紹介した文章は、「みだれ髪」の序文として書かれているもの。目次を見ると与謝野晶子の名前よりも先に藤島武二の名前が出てくるの...

ミュシャ「スラヴ叙事詩展」
日本国内でミュシャの作品を見るなら……大阪の堺市立文化館アルフォンス・ミュシャ館ですね。ミュシャの作品だけで500点近くを所蔵しており、初期から晩年までカバーしてる素敵な美術館。日曜にはじめて行ってきたんですが、このときはチェコ時代、晩年の作品を展示していました。Exhibition of the Slav Epic(1928)Alphonse Muchaパリから祖国チェコに戻り、ミュシャが手がけたのが18年がかりの大作「スラヴ叙事詩」。その完成を...

和田三造「壁画画稿」
「南風」のマッチョで凛々しいイメージが強かったので、こんな作品も描いてたんだとびっくりしました。和田三造「壁画画稿」。滋賀県立近代美術館の「近代の洋画、響き合う美」より。 Draft for Mural Painting(c.1926)Wada Sanzo色彩も何も、おもいっきりモーリス・ドニなんですよね。ドニ好きの自分としては、思いもかけぬ展開でニヤニヤしちゃいました。空の色も、山並みの色も、人物の雰囲気も、見れば見るほどドニっぽくて...

長谷川等伯「月夜松林図」
金沢行ってまいりました。時間に追われて観光はできなかったけど、前々からやろうと思っていたことが実現できてそれはすごく嬉しかったです。嬉しいぶんだけ寂しくもなるけど、それはまぁいつものことだ。Pine Trees in MoonlightHasegawa Tohakuさて、石川県といえば長谷川等伯。こちらは「月夜松林図」(左隻)です。有名な「松林図屏風」の月夜バージョンで、一昨年の没後400年特別展(東博)で展示されてましたね。裏面に墨を...

ゴッホ「曇り空の下の積み藁」
一昨年のゴッホ展で見た作品です。ゴッホ「曇り空の下の積み藁」。ということで、とうぶん曇り空が続きそうなんだなぁ。Wheat Stack under a Cloudy Sky(1890)Vincent van Gogh前回の続きですが、いろいろ考えて、後輩ともちゃんと話をして、やっぱり辞めるのが自分にとって最善だと判断したわけですが。思いっきり説得されてしまい、いったん保留になりました……。会社の事情は分かっていて、そのうえで言ってるんだけどな。まぁ...

マックスフィールド・パリッシュ「朝」
前回があんな作品だったので、今回はなるべくさわやかに。マックスフィールド・パリッシュ「朝」。あぁ、癒される。Morning(1922)Maxfield Parrish今日も変わらず会社のことばかり考えていて、結局どこにも出かけませんでした。答えはもう出てるんですけどね。あとは後輩の考えを聞いて、2つのうちどっちの答えを選ぶか決めるだけなんだけれど。晴れて自由になったら、こういう景色のきれいなところに行きたいな。今週末に関西旅...

ルドルフ・シュリヒター「盲目の力」
破壊の衝動に取り憑かれた男は、体をむさぼる怪物たちの存在にも気づかないのでしょうか。鉄仮面で視界は覆われ、一歩先には断崖が……。ルドルフ・シュリヒター「盲目の力」。昨日はこんな気分でした。Blind Power(1937)Rudolf Schlichter会社でものすごく嫌なことがあって、いまだにモヤモヤしてます。思い出すたびにイライラと。過去に何度か経験していることだけど、今回が一番ショックだった。月曜には、自分も何らかの決断を...

モーリス・ドニ「春景色(神聖なる木立)」
昨日はあんなに寒くて雪が降りしきっていたのに、今日はコートがいらないくらいの暖かさでした。もう3月なんだもんなぁ。Figures in a Spring Landscape, Sacred Grove(1897)Maurice Denisモーリス・ドニ「春景色」。春のやわらかな温度をそのまま色彩であらわしたような、幸福感に満ち満ちた一枚です。左側の白い衣装をまとった女性は、木の幹に画家のモノグラムを刻んでいます。残る2人もものすごくきれいで魅力的で、しかも裸...

川瀬巴水「松島双子島」
東京国立近代美術館の所蔵品展、前回ご紹介した清宮質文の版画とあわせて、ぜひ見ておきたいのが川瀬巴水の版画作品。震災から1年という節目を見据えての企画なのでしょう、東北にちなんだ版画が計10点展示されていました。そのなかより、「松島双子島」を。Moonrise at Futago Island, Matsushima(1933)Kawase Hasui日本三景のひとつ、松島。そのなかでも、巴水が好んだのが波間に浮かぶ双子島だったそうです。雲の間からは満月...
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