
鏑木清方「朝涼」(上村松園と鏑木清方より)
ちょっと遠出して、神奈川県平塚まで。平塚市美術館の「上村松園と鏑木清方」を見てまいりました。西の松園、東の清方と称され、美人画の双璧をなす2人の展覧会は実に10年ぶりなのだとか。東西の名人が描いた美人画をこれでもかというくらい満喫してまいりました♪ Cool Morning(1925) Kaburaki Kiyokataこちらは鏑木清方「朝涼(あさすず)」。朝方、蓮池のほとりを歩く少女が描かれています。この作品はスケッチ2点と合わせて...

ラリック「テーブル・センターピース(三羽の孔雀)」(アール・デコ 光のエレガンスより)
今日はパナソニック汐留ミュージアムへ。前々から気になっていた、「アール・デコ 光のエレガンス」を見てきました。ラリックとドームの作品を中心に、ガラスの照明器具や陶器を集めた実にきらびやかな展覧会。そんななかでも、やっぱりラリックは素敵だったのです。 Table Centerpiece - three peafowl(1920) René Laliqueこちらはルネ・ラリック「テーブル・センターピース(三羽の孔雀)」。数年前、国立新美術館で開催され...

セレブリャコワ「身支度、自画像」
化粧台の前で髪をとかす若い女性。キャンバスは鏡に見立てられており、画面下部には香水などの小物が並びます。鏡のなかから女性の何気ないしぐさを覗き見したようななんともいえない不思議な気分になる一枚。ジナイーダ・セレブリャコワ「身支度、自画像」です。 At the Dressing-Table. Self-portrait(1909) Zinaida Serebriakova一昨年、日経新聞の文化面で連載していた「ロシアの女 十選」というコーナーでこの絵を知り、...

セレブリャコワ「食卓にて」
食卓を囲む、ロシアの子どもたち。右上の暗がりから伸びた手は彼らの母親でしょうか、スープを取り分けようとしているようです。色合い的に、このスープはやっぱりボルシチなのかな?ジナイーダ・セレブリャコワ「食卓にて」。子どもたちのつぶらな瞳が愛らしい、心あたたまる日常風景です。 Lunch Time(1914) Zinaida Serebriakova今日読み終えたのが沼野恭子の「ロシア文学の食卓」という本で、そのなかでこの「食卓にて」と...

ピーテル・デ・ホーホ「女に手紙を読む男」
京都を訪れたのはちょうど1年前の今日でした。夏のこの時期にしては比較的涼しく、鴨川沿いをのんびり散歩したり、美術館を巡ったり、お寺を見てまわったり、美味しいものをたくさん食べたり。あのときに知ったお漬け物、都内でも売っていて実はここ数日、ビールのおともにいただいております。 Man Reading a Letter to a Woman(1670-74) Pieter de Hoochこちらはピーテル・デ・ホーホ「女に手紙を読む男」。京都旅行の折、「...

福田平八郎「雨」(福田平八郎と日本画モダン)
これはなんと大胆な!瓦、瓦、ただただ瓦。モダンというかポップというか、実におもしろい作品です。描いたのは福田平八郎、タイトルは「雨」。ん……雨? Rain(1953) Fukuda Heihachiroよく見ると、瓦の表面にぽつぽつと雨のあとが。降り始めのその瞬間を描いているわけですね。そうやって見ていくと、瓦の質感もみごとに表現されています。雨降りの空気感や匂いまで感じられそうな。瓦の輪郭も単純なようでいて、微妙に墨の濃...

福田平八郎「筍」(福田平八郎と日本画モダン)
山種美術館の「福田平八郎と日本画モダン」を見てきました。平八郎作品はこれまでにも山種でたびたび見る機会があったんですが、こうしてまとめて見てみるとやっぱり圧巻。日本画モダンとは実に言い得て妙ですね。日本画×デザインの楽しさを堪能してまいりました。 Bamboo Shoots(1947) Fukuda Heihachiroこちらは福田平八郎「筍」。力強く伸びる、黒々とした2本の筍。いっぽう背景の笹の葉は白描できわめてシンプルに描かれて...

船田玉樹「ねむれない夜は」
練馬区立美術館の「船田玉樹展」、目に鮮やかな桜や紅梅、詩情漂う水墨画など多種多様な作品が並ぶなかで、ひときわ印象深かったのが河童の絵。こんな作風はまったくイメージしていなかっただけに、妙に愛らしくて思わず笑みがこぼれてしまいました。 insomniac nights Funada Gyokujuこちらは船田玉樹「ねむれない夜は」。もう、見事に肩の力の抜けた河童の背中です。どことなく寂しい、でもそれさえも楽しんでいるようで。展覧...

船田玉樹「暁のレモン園」
引き続き、練馬区立美術館の「船田玉樹展」より。暗い海にうかぶ夜光虫のように、闇のなかで点々と光るレモン。明け方の微かな光をうけて輝いているのでしょう。船田玉樹「暁のレモン園」。不思議と心が落ち着く一枚です。 Sunset at Lemon Farm(1949) Funada Gyokujuさて、前回の続き。孤高の画人生を貫き、めまぐるしく画風を変えていった船田玉樹ですが、1974年、62歳のときにくも膜下出血で倒れてしまいます。目も見えず、...

映画「夜のとばりの物語」
久々の映画館。ジブリ配給のフランス映画、「夜のとばりの物語」を観てきました。アートとしてもかなり優れた作品だと感じたので、今回ご紹介したいと思います。「夜のとばりの物語」は、美しい色彩の影絵で紡がれる愛をテーマにした6つの物語です。狼になったまま戻れなくなった王子と、彼を慕う女性を描いた「狼男」。迷い込んだ死の国で、命をかけた謎掛けに挑む「ティジャンと瓜ふたつ姫」。神への生贄として捧げられた女性を...

ルノワール「ピアノに向かうイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロール」(ドビュッシー展より)
引き続き、ブリヂストン美術館の「ドビュッシー、音楽と芸術」より。図録やチラシのメインビジュアルにも使われている、ルノワール「ピアノに向かうイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロール」。前回のドニの作品同様、モデルはアンリ・ルロールの娘さんです。 Yvonne and Christine Lerolle at the Piano(1897) Pierre-Auguste Renoirルノワールはピアノを主題とした作品をたびたび描いており、なかでも本作はプロのモデルを使わ...

モーリス・ドニ「イヴォンヌ・ルロールの3つの肖像」(ドビュッシー展より)
待ちに待った3連休ということでさっそく昨日、ブリヂストン美術館の「ドビュッシー、音楽と芸術」を見てきました。どっちかというと玄人好みの難しめな展示をイメージしてたんですが、いやいやとんでもない!オルセー美術館・オランジュリー美術館との共催だけあって、まさかの名品がざっくざくで。なかでも個人的にうれしかったのがモーリス・ドニ。彼の作品がなんと9点、夢のようなひとときでした。 Portrait of Yvonne Lerolle...

バクスト「『牧神』を踊るニジンスキーのための衣装デザイン」
いよいよブリヂストン美術館で、「ドビュッシー展」が始まりますね。フランスを代表する作曲家にちなんだ展覧会で、ホームページを調べてたら気になる単語がいくつか。牧神、ニジンスキー、バクスト……。むむむ、どうしてもこの作品を連想してしまうのだけれど。 Nizhinsky in balley 'Midday Faun's Rest' (1912) Leon Samoilovitch Bakstレオン・バクスト「『牧神』を踊るニジンスキーのための衣装デザイン」。いやもう何なん...

メレンデス「鮭、レモン、三つの器のある静物」
日本で鮭の絵といったら高橋由一なわけですが、スペイン・マドリードのこの画家も負けてません。ルイス・メレンデス「鮭、レモン、三つの器のある静物」。これは立派な切り身です♪ Still Life with Salmon,Lemon and three Vessels(1772) Luis Melendezメレンデスは18世紀スペイン最高の静物画家とされており、「スペインのシャルダン」とも呼ばれていたのだとか。先日読み終えた五木寛之の「戒厳令の夜」でこの画家の作品につ...

吉川霊華「清香妙音」(吉川霊華展より)
珍しく日中ヒマだったもので、今日は会社を抜け出して散歩がてら美術館へ。東京国立近代美術館の「吉川霊華展」を見てきました。副題は「近代にうまれた線の探求者」。聞いたことのない画家ですし、自分には難しいかと思いましたが……流麗な線に一目惚れ、みごと酔いしれてしまいました。 Exquisite Fragrance and Tone(1927) Kikkawa Reikaこちらは吉川霊華「清香妙音(せいこうみょうおん)」。筆を「使えた」最後の世代の最...

伊藤若冲「雪中雄鶏図」(「琳派・若冲と雅の世界」より)
昨日は横浜までお出かけして、そごう美術館へ。「京都 細見美術館展 Part 2 琳派・若冲と雅の世界」を見てきました。京都・岡崎にある細見美術館の名品を紹介する展覧会で、琳派に若冲とあっては足を運ばないわけにはいかないでしょう! Rooster in the Snow(18th century) Ito Jakuchuこちらは伊藤若冲「雪中雄鶏図」。やっぱり若冲といえば鶏ですね。このとき、若冲はまだ30代前半。弟に店を譲り渡して画業に専念するのが40...

太田聴雨「星を見る女性」
今日は七夕ですね。織姫と彦星が、年に一度だけ会える日。そこで今回は、こんな一枚。太田聴雨「星を見る女性」です。 Women Observing Stars(1936) Ota Chou作中で描かれている望遠鏡は、昭和6年に国立科学博物館に設置された口径20cmの屈折望遠鏡だそうです。それにしても和装のしとやかな女性達と望遠鏡、なんとも不思議な組み合わせで、一度見たら忘れられません。作品もかなり大きくて、高さ273cm。描かれている女性達は...

カレル・ファブリティウス「ごしきひわ」(マウリッツハイス美術館展より)
東京都美術館の「マウリッツハイス美術館展」で、ひときわ異彩を放っていた作品。カレル・ファブリティウス「ごしきひわ」。思わずまじまじと見入ってしまいました。 The Goldfinch(1654) Carel Fabritius一種のだまし絵で、止まり木で羽を休める小鳥が描かれています。「ごしきひわ」っていうのは、鳥の名前なんですね。羽の先の黄色がなんとも愛らしい♪よく見ると足を鎖でつながれていて、かわいそうな気持ちにもなってしま...

レンブラント「シメオンの賛歌」(マウリッツハイス美術館展より)
オランダの画家で「光」というキーワードなら……。フェルメールのほかに、この人を忘れてはいけません。レンブラント・ファン・レイン。言うまでもなくヨーロッパ美術史を代表する画家で、フェルメールよりも四半世紀ほど先に生まれ、比類なき明暗表現で一時代を築きました。フェルメールが静的な光なら、レンブラントは動的な光、そして影。実に対照的だと思います。 Simeon's Song of Praise(1631) Rembrandt van Rijnこちら...

ルーベンス「聖母被昇天(下絵)」(マウリッツハイス美術館展より)
「フランダースの犬」の主人公ネロが、足しげく通って見つめたというルーベンスの作品。天使達に囲まれて天に召される聖母マリアに、ネロは母親の面影を重ねていたのだとか。ルーベンス「聖母被昇天」。この作品の下絵が、東京都美術館の「マウリッツハイス美術館展」で展示されています。 ‘Modello’ for the Assumption of the Virgin(1622-1625) Peter Paul Rubens会場に入ってすぐ、展覧会恒例の挨拶文を見ていると、左手の...

フェルメール「ディアナとニンフたち」(マウリッツハイス美術館展より)
東京都美術館の「マウリッツハイス美術館展」。実は「真珠の耳飾りの少女」のほかに、もう1点フェルメール作品を見ることができます。神話を主題とした唯一の作品「ディアナとニンフたち」。2008年のフェルメール展でも来日していたので、実に4年ぶりの再会でした。 Diana and her Nymphs(1653-54) Johannes Vermeer初期の作品なだけあって、素人目にはフェルメールらしさが伝わりづらい作品だと思います。これが真作であるこ...

フェルメール「真珠の耳飾りの少女」(マウリッツハイス美術館展より)
ようやく愛しのあの子に会えました。前回の来日は2000年、大阪。それから12年を経て、ようやく東京にもやってきてくれました。ヨハネス・フェルメール「真珠の耳飾りの少女」。西洋絵画に興味を抱くようになってから、ずっと焦がれていた作品です。 The Girl with a Pearl Earring(c.1665) Johannes Vermeer会場はリニューアル直後の東京都美術館。待ちに待った「マウリッツハイス美術館展」。ここを訪れるのは、実は4年前のフ...
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