足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

川村清雄「形見の直垂(虫干)」(川村清雄展より)

どことなく、不思議な雰囲気の作品です。白の直垂をまとった少女は左手を伸ばし、その先には、男性の胸像が。その下方に見えるのは菊の花でしょうか……?何やらいわくありげなこの作品、川村清雄が生涯手放さなかったという傑作「形見の直垂(虫干)」です。明治洋画の先駆者の一人、川村清雄。維新からまもない明治4年に渡米し、その後フランス、イタリアで油絵を学びますが、帰国後は大蔵省印刷局に勤務するも人間関係で苦労し、1...
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川村清雄「建国」(川村清雄展より)

「和魂洋才」という言葉があります。日本古来の精神を失わずに、西洋の優れた技術を取り入れ、両者を調和・発展させていくというもの。この言葉を体現し、油絵で日本の風物を描いたのが川村清雄という画家です。明治維新間もない時期に渡欧し油絵を本格的に学んだ最初期の画家であり、勝海舟が我が子のように愛した人物。海外の油絵を学びながら、それを日本の伝統と結びつけた作風は独自性が強すぎたのか、やがて画壇から存在を忘...
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ヴァン・ダイク「マリア・デ・タシスの肖像」(リヒテンシュタイン展より)

国立新美術館の「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」、これまで5回にわたってご紹介してきましたが、最後は肖像画の名手にご登場いただきましょう。アンソニー・ヴァン・ダイク「マリア・デ・タシスの肖像」。豪奢な衣装をまとった19歳くらいの女性を描いたものです。 Portrait of Maria de Tassis(1629-30]  Anthonis van Dyckどこか中性的にも感じられるのは若さゆえでしょうか。この時代の19歳は若くはないかな……?...
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ラウフミラー「豪華なジョッキ」(リヒテンシュタイン展より)

「豪華なジョッキ」と題された象牙彫刻。ドイツ出身のラウフミラーという彫刻家・画家の作品で、高さ35cmの円筒に、驚くほど細かな群像が彫り込まれています。題材となったのは古代ローマ史の「サビニの女たちの略奪」。その劇的な造型に、思わず目を奪われます。 Resplendent Tankard(1676) Matthias Rauchmiller建国初期のローマは女性の人口が少なく、子孫を残すためにはどこかから未婚女性を連れてくる必要がありました。...
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フランチェスコ・アイエツ「復讐の誓い」(リヒテンシュタイン展より)

ヴェネツィアの水路を背景に、何やら不穏な雰囲気を漂わせる2人の女性。黒い仮面をかぶった怪しげな女性に対し、もう一人は美しい顔をあらわにし、相手から眼を背けているかのようです。フランチェスコ・アイエツ「復讐の誓い」。まるで映画の一幕のような、ドラマチックな一枚です。 Board of revenge(1851) Francesco Hayez衣装からして、2人には明らかな身分の差があるのでしょう。右側の女性の手元をよく見ると手紙を持っ...
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ルーベンス「キリスト哀悼」(リヒテンシュタイン展より)

青く変色したキリストの遺骸。痛めつけられた肉体は容赦なくリアルに描かれ、我が子のまぶたをそっと閉じようとする聖母マリアの顔もまた、深い哀しみで青く染まっています。ペーテル・パウル・ルーベンス「キリスト哀悼」。国立新美術館の「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」より。 The Lamentation(c.1612) Peter Paul Rubens構図も強烈ですね。キリストの体は対角線上に置かれ、手前(下部中央)に投げ出された右...
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アントニオ・ベルッチ「絵画の寓意」「音楽の寓意」(リヒテンシュタイン展より)

国立新美術館の「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」、何がすごいって天井がすごいのです。日本の展覧会ではなかなかお目にかかれない、天井画の再現。あんまり珍しいので、気付かずに素通りしてしまう人もいるのだとか…。展示されているのはヴェネツィア生まれの画家、アントニオ・ベルッチの作品4点。それぞれ占星術、彫刻、絵画、音楽をあらわした、楕円形の寓意画です。 Allegory of Painting / Allegory of Music(c...
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アメリング「マリー・フランツィスカ・リヒテンシュタイン侯女 2歳の肖像」(リヒテンシュタイン展より)

まぁ、なんて愛くるしい寝顔なんでしょう!栗色の巻き毛にりんごのようなほっぺた。ちょこんと上向きの小さな鼻も可愛らしい。お人形を小脇にかかえて、どんな夢を見ているんでしょうね。 Portrait of Princess Marie Franziska von Liechtenstein at the Age of Two(1836) Friedrich von Amerlingこちらの作品はフリードリヒ・フォン・アメリングの「マリー・フランツィスカ・リヒテンシュタイン侯女 2歳の肖像」。タイトルか...
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竹内栖鳳「象図」(竹内栖鳳展より)

金地の屏風に象の巨体。どことなく哀しげな眼に感じられるのは、野生ではなく飼われて芸をする身だからでしょうか。竹内栖鳳「象図」。山種美術館の回顧展より。        Elephants(1904) Takeuchi Seiho金地に水墨の動物作品といえば栖鳳の場合は獅子や虎が思い浮かびますが、こんな作品も描いていたんですね。これも1900年の渡欧経験の賜物なのでしょう。日本画の系譜とは一線を画す動物描写。と思いきや、左隻の象の...
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竹内栖鳳「春雪」(竹内栖鳳展より)

小舟の舳先で羽を休める、一羽の鴉。漂うように舞い落ちる春の雪に対して、鴉の黒い体躯は寂しさや哀しさなど突き放した、孤高の強さを感じさせます。もうじき80歳になろうかという画家がさらなる高みを目指して描いた一枚。竹内栖鳳「春雪」という作品です。 Spring Snow(1942) Takeuchi Seihoこの作品は京都国立近代美術館の所蔵作品で、山種美術館で開催中の竹内栖鳳の回顧展で展示されていました。「没後70年 竹内栖鳳 —京...
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竹内栖鳳「和暖」(描き継ぐ日本美より)

皇居のなかにある、宮内庁三の丸肖蔵館。会社のすぐ近くで、しかも無料で観覧できるのでお昼のついでに時々ぶらっと立ち寄ったりします。20日からは「描き継ぐ日本美—円山派の伝統と発展」の後期展示がはじまりますね。ということで、ちょっと前に見に行った前期展示より竹内栖鳳の「和暖」という作品(右隻)を。 Young Deer Gathering(1924) Takeuchi Seihoぽかぽかと穏やかな春の情景なのでしょう。寄り添いたわむれる3頭の...
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ゴッホ「糸杉」(メトロポリタン美術館展より)

東京都美術館の「メトロポリタン美術館展」、この作品を紹介するのをうっかり忘れてました。ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ「糸杉」。死の前年、南仏サン=レミの療養所に入院した直後に描かれた作品です。 Cypresses(1889) Vincent van Goghまるで黒い炎のように、うねり狂いながら天を突く糸杉。大地も空も奇妙に歪み、細くたわんだ三日月だけが静けさを保っています。昼か夜かも分からない、異様な風景ですね。実物を前にす...
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月岡芳年「月百姿 —玉兎 孫悟空」(月岡芳年展より)

月岡芳年、晩年の傑作「月百姿」。月にまつわる歴史上の人物・逸話を題材としたもので、その名の通り100種におよぶ大作です。美人画、歴史画、戯画、妖怪変化と描かれた図様はじつに幅広く、芳年の画業の集大成と呼ぶにふさわしい出来映え。そこで今回は、「月百姿」のうちの一点、「玉兎 孫悟空」をご紹介します。 100 Aspects of the Moon − Gyokuto - Songoku(1889) Tsukioka Yoshitoshi画面からはみ出すほどの巨大な月を...
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月岡芳年「幽霊之図 うぶめ」(月岡芳年展より)

背をあらわに、身につけているのは赤い腰巻きだけ。なまめかしい女性の後ろ姿……と思いきや、よく見ると足がない。右側には、小さな足がのぞいている。子どもを抱えた幽霊なんですね。月岡芳年「幽霊之図 うぶめ」。怖いけど、目を離せなくなる作品です。 Ubume(1878-84) Tsukioka Yoshitoshi白い背中を強調するためか、濡れたようにウェーブした黒髪は左肩の前に落ちています。そして腰巻きの赤は、血の色なんですね。「うぶ...
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長谷川等伯「竹虎図屏風」

前回もちょっとだけご紹介しましたが、IMF総会に合わせて、出光美術館で3つの屏風絵が展示されています。たった6日間のサプライズ展示、行かなきゃ損損。今回は3点のうちのひとつ、長谷川等伯「竹虎図屏風」を。 Tigers and Bamboo(Late 16th Century) Hasegawa Tohaku右隻には、上体を伏せて竹林にひそむ獲物の気配を窺う虎。左隻には、後ろ足で首元を掻く虎。どちらも愛嬌たっぷりで、虎というより猫みたい。背景に溶けてい...
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出光美術館の「東洋の白いやきもの」を見てきました

ここのところ会社のPCの調子が悪く、復旧作業のため今日は午後出社でした(昨日徹夜だったこともあり)。ということで、昼まで寝るっていうのももったいないのでここぞとばかりに出光美術館へ。「東洋の白いやきもの」という展示を見てまいりました。6世紀中頃に、中国で誕生した白磁。わずかな青みとなめらかな曲線がなんとも官能的で、土と炎からこんなに美しい白が生まれてくるのかと不思議で不思議で仕方なかったのです。展覧...
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ビアスタット「マーセド川、ヨセミテ渓谷」(メトロポリタン美術館展より)

19世紀後半、アメリカ西部の大自然を描いたハドソン・リバー派の画家、アルバート・ビアスタット。彼の作品を見てみたいとずっと思っていたのですが、ようやく東京都美術館の「メトロポリタン美術館展」で出会うことができました。 Merced River, Yosemite Valley(1866) Albert Bierstadtこちらはビアスタット「マーセド川、ヨセミテ渓谷」。荒々しい岩肌は水面に映ってやわらかく表情を変え、波ひとつない静かな川を小舟がす...
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フランソワ・ポンポン「シロクマ」(メトロポリタン美術館展より)

これは……!なんという愛らしさ!フランソワ・ポンポンの彫刻作品「シロクマ」、作者の名前もかわいいです(笑) Polar Bear(c.1923) François Pomponロダンのアトリエ助手を務めていたポンポンが独立したのは、ロダンの死後、60歳を過ぎてから。この「シロクマ」を制作したのも67歳のときというから驚きです。一見シンプルなようでいて、実に味わい深いフォルム。思わずなでなでしたくなっちゃいます^^大理石の肌触りが気持...
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レンブラント「フローラ」(メトロポリタン美術館展より)

東京都美術館の「メトロポリタン美術館展」、序盤のハイライトはなんといってもこちらでしょう。レンブラント「フローラ」。花の女神を描いた……にしては、少し寂しげな作品です。 Flora(c.1654) Rembrandt van Rijn第1章「理想化された自然」で展示されていたこの作品は、神話の女神に、亡き妻サスキアへの思いを託して描かれたのだとか。サスキアは21歳のときに5つ年上のレンブラントのもとに嫁ぎ、4人の子どもを産むものの、...
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クロード・ロラン「日の出」(メトロポリタン美術館展」より)

3連休初日だったわけですが、前日に朝まで飲んでしまったせいで目が覚めたら昼過ぎ。いろいろ予定を変更して、東京都美術館の「メトロポリタン美術館展」に行ってきました。メソポタミア文明の工芸品から近現代の作品まで、実に4000年にわたる芸術の粋にひたることができる展覧会で、「実物で見る百科事典」という表現にも納得でした。ということでまずはこちら、展覧会の冒頭を飾る、クロード・ロランの「日の出」です。 Sunrise...
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葛飾北斎「唐獅子図」

前回が葛飾応為だったので、今回は父親の葛飾北斎を。色とりどりの牡丹のなかで踊る唐獅子を描いた「唐獅子図」。実はこれ、親子の共作なのだそうです。中央の唐獅子は北斎が描いて、周囲の牡丹は娘の応為が描いたのだとか。前回ご紹介した杉浦日向子の漫画「百日紅」には、北斎のエピソードもたくさん出てきます。これがどれも奇天烈奇想天外なんですね。文化元年四月十三日、江戸音羽護国寺百二十畳の紙に大達磨を描く。つづいて...
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葛飾応為「吉原格子先の図」

格子の内には艶やかな遊女たちが座り、格子の外にはそれを覗き込む数多の影。まるで西洋絵画のような遠近法と明暗表現ですね。「吉原格子先の図」というこの作品を描いたのは稀代の絵師、葛飾北斎……ではなくて、その娘の葛飾応為なのです。葛飾応為は19世紀江戸時代後期の浮世絵師。北斎の三女で、本名を栄(えい)といいます。北斎が「オーイ、オーイ」と呼んだことから応為と名乗るようになった、なんて説もあるようで。また、器...
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奥村土牛「聖牛」

土牛、石田を耕す。石ころの多い荒れ地を根気よく耕し、やがては美田に変えるように、たゆまず精進せよ——画家・奥村土牛の雅号には、そんな意味が込められているそうです。前回の記事にちなんで、今回の一枚は奥村土牛の「聖牛」。真っ白な2頭の牛は、どことなく厳かで、おだやかで、美しい。昨晩の台風、だいじょうぶだったでしょうか?こちらでは強い風が吹くたびにマンションが揺れるようで、いつ停電になってもおかしくないく...
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奥村土牛記念美術館に行ってきました

友人のご家族が長野に別荘を持っており、土日をつかって遊びに行ってまいりました。別荘といってもロッジみたいな建物ではなくて、いかにも古民家といった風情の建物。「田舎に泊まろう」的なノリでした。佐久という場所で、近くには奥村土牛記念美術館があるのです。奥村土牛(とぎゅう)は山種美術館所蔵の「醍醐」や「鳴門」で知られる日本画家。第二次世界大戦中から戦後にかけての4年間、土牛は佐久に疎開していたことがあり...
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