足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

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ブレイク「日の老いたる者」(英国水彩画展より)

紅蓮の球体から身を乗り出し、下方へと手を伸ばす男。隆々たる肉体、真横になびく白髪と顎髭、そして何より画面全体に充満する禍々しさは、明らかに男が人外のものであることを象徴しています。ウィリアム・ブレイク「日の老いたる者」。画家によればこの男の名はユリゼンといい、「人間の創造主! 天から遣わされ見間違われた悪魔」とのこと。 The Ancient of Days(1827 ?) William Blakeブレイクの「日の老いたる者」は、「...
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船田玉樹「雪」

今秋、練馬区立美術館で好評のうちに幕を閉じた「船田玉樹展」。来年1月より画家の生まれ故郷・広島へ巡回する予定ですが、間があくこともあって途中下車ということで小規模な展覧会が代官山で開かれています。場所はヒルサイドフォーラム、企画タイトルは「船田玉樹 創造の森へ」。多くのアートファンを「あっ!」と驚かせた作品群が、ここでしか見られない作品とともに展示されていました。   Snow(1981) Funada Gyokujuこ...
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大岩オスカール「Mr. Night」

ひたひたと夜が忍び寄ってくる。真っ黒な異様は水底のへどろが化けたものなのか、ビルの影が一人歩きしたものなのか。目だけをらんらんと光らせて、もしかしたらこれは人間の暗部が形をなしたものなのかもしれないなぁ。大岩オスカール「Mr. Night」。渋谷のヒカリエで出会った、ちょっとだけ怖い、童話のような絵世界です。 Mr.Night Oiwa Oscar今のように頻繁に美術館に通うようになったのは4、5年前からなんですが、ちょうど...
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竹内栖鳳「絵になる最初」(竹内栖鳳展より)

山種美術館の「没後70年 竹内栖鳳 ――京都画壇の画家たち」、とうとう終わってしまいましたね。前期と後期の両方見にいきましたが、次の回顧展はいつだろうと考えるともう1回くらい行っておきたかったなぁと。でもでも、今まで知らなかった栖鳳の一面も見られて非常に得るものの大きい展覧会だったのです。たとえばこれ、「絵になる最初」という作品。栖鳳の人物画を見るのははじめてでした。 Posing for the First Time(1913)...
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竹内栖鳳「百騒一睡」(竹内栖鳳展より)

今日は小雨の降るなか、山種美術館へ。「竹内栖鳳展」の後期展示を見てきました。会期が日曜までということもあって、なかなかの混み具合。相変わらずの盛況ぶりでした。        Sleeping Dog with Puppies Amidst a Flight of Sparrows Chirping(1895) Takeuchi Seihoこちらは竹内栖鳳「百騒一睡」。右隻には洋犬の親子と4羽の雀が描かれており、目を閉じてまどろむ親犬のそばで無邪気に遊ぶ3匹の仔犬がコロコロのモフ...
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トマス・ガーティン「ピーターバラ大聖堂の西正面」(英国水彩画展より)

小学生の頃に図工の授業でよく水彩画を描いたものですが、絵を描いたり絵の具を混ぜ合わせたりするのはもちろん、筆を洗うときに色彩がバケツの水に溶けて行くのをぼーっと眺めているのが何より好きでした。今でも万年筆のペン先を洗うときなんかになんともいえぬ幸福に浸るわけですが、要するに水と絵の具(インク)が戯れる姿が好きなんでしょうね。残念ながらそれを紙の上で表現する才能には恵まれませんでしたが、美術館で水彩...
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ターナー「アップナー城、ケント」(英国水彩画展より)

夜の訪れのまえにわずかばかり許された時間落日は神々しい光で空を海を、金色に染めていきます。J.M.W.ターナー「アップナー城、ケント」。ロマン主義の巨匠が描いた、奇跡のような水彩風景画です。 Upnor Castle, Kent(1831-32) J.M.W.Turner今日という一日に感謝して、沈みゆく太陽の光に目を細める人。夜がやってくるまえに仕事を片付けようと手を早める人。長く伸びた影に家路を思い、頭を垂れる人。それぞれの人生がいま...
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ファンタン=ラトゥール「皿の上のバラ」

バラの画家、アンリ・ファンタン=ラトゥール。彼が描いた白、黄、ピンクの美しいバラを捧げましょう。 Roses in a Dish Henri Jean Théodore Fantin- Latour今日は友人たちの結婚式でした。ちょうど同日に2件重なってしまったんですが、運よく昼と夕方で時間が離れていたので両方にしっかり顔を出すことができました。昼からの結婚式は、花嫁がバイト時代の友人でぼくより2つ年下なんですが、ついに先を越されてしまいました。...
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柴田是真「月薄鈴虫蒔絵額」(ZESHINより)

秋の夜。崖の向こうに顔をのぞかせた銀の月。夜露が月光をうけとめて、そこかしこで煌めいています。目をこらせば、光のなかと闇のなかにそれぞれ鈴虫の姿が見えますね。柴田是真「月薄鈴虫蒔絵額」。根津美術館の「ZESHIN」で展示されていた作品です。 Crickets on Pampas Grass under the Moon(1877) Shibata Zeshin黒蝋色塗のうえに銀蒔絵の満月を配し、薄と鈴虫は黒蒔絵で表現。露も銀蒔絵であらわし、冷たく澄んだ夜の世...
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速水御舟「紅梅・白梅」

季節外れもいいとこですが、今回はこの作品。速水御舟の「紅梅・白梅」です。ぴいんと張りつめた夜の空気、梅の香りまでも描いたような傑作ですが、今日は花ではなく、月が主役なのです。 Red and White Plum Blossoms(1929)  Hayami Gyoshu夕暮れ方に内堀通りを歩いていたんですがお堀の向こう、皇居の森の樹々のはざまに細い細いお月様が浮かんでいました。これから暮色を濃くするであろう薄青の空に、そこだけ色が乗り切ら...
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菱田春草「落葉」

眼前に広がるのは枯色の木立。杉やトチノキ、クヌギなどの樹々がぽつりぽつりと佇み、散り敷いた落ち葉のうえで小鳥らが遊んでいます。今回の一点は、菱田春草の「落葉」という屏風絵です。     Autumn Leaves(1909) Hishida Shunso色彩の加減や幹の描き込み具合で木立の遠近感をあらわし、リズミカルに樹々を配置しているもののそこには深い深い静けさがあり、朽ち葉の湿り気や量感といったリアリティの一方で、光とも霧...
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鏑木清方「秋の夜」

最近覚えたきれいな言葉。「秋波」と書いて「しゅうは」と読みます。美人の涼しい目元や、媚びを含んだ目つき、流し目のことなんですって。乙川優三郎の「後瀬の花」っていう短編小説に出てきたんですが、そこでも色っぽい視線といった意味合いで使われていました。現代では最初の「美人の〜」の部分が抜け落ちて、あまりよくない意味合いで使われることが多いみたいですが……。政治の駆け引きとかね。こういうきれいな言葉はきれい...
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楽長次郎「赤楽茶碗 銘 早船」(利休と織部より)

こないだの日曜日、久々に畠山記念館に行ってまいりました。白金台の閑静な住宅街を抜けていった先に佇む、樹々生い茂る隠れ家のような空間です。秋の時雨がそぼ降るなか、赤く色づきはじめた苑内へ。入り口で上を見上げると鴉が羽根をやすめていて、それもまた風流なのでした。 "Hayafune" tea bowl(16th Century) Chojiro現在は「利休と織部 —茶人たちの好みと見立てー」と題して、茶聖・千利休とその門弟でもあった古田織...
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酒井抱一「十二ヶ月花鳥図貼付屏風」(琳派芸術2より)

琳派お得意の画題、草花図。特に酒井抱一などの江戸琳派は対象への眼差しがとてもやさしく繊細で、見ていてほっこりと楽しい気持ちになります。     Birds and Flowers of Twelve Months(19th Century) Sakai Hoitsuこちらは酒井抱一「十二ヶ月花鳥図貼付屏風」。出光美術館の「琳派芸術2」に出ていた作品です。花鳥図といっても、描かれているのは鳥だけでなく蝶やトンボ、カマキリ、松虫などの姿もありより身近で小さな...
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酒井抱一「紅白梅図屏風」(琳派芸術2より)

昨年、出光美術館で開催された「琳派芸術」。第1部は「煌めく金の世界」と題して宗達、光琳らが描いた金屏風などを中心に展開し、続く第2部では「転生する美の世界」というタイトルで抱一、其一など江戸琳派の作品を紹介するという試みでした。酒井抱一の生誕250周年という記念すべき年でもあり、多くのアートファンが絶賛した展覧会だったのですが……第2部が始まって間もなく、大震災の影響で中断を余儀なくされてしまったのです。...
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宮永愛子「untitled -butterfly-」(なかそら より)

それはまるで氷の結晶のように触れたら消えてしまいそうでその不確かな存在が心をぎゅっと締め付けるのでした。美しく儚い、白の世界。宮永愛子の個展「なかそら —空中空—」が国立国際美術館で開かれています。 untitled - butterfly - Miyanaga Aiko宮永愛子「untitled -butterfly-」。薄暗い部屋に正方形の硝子のパネルが並び、そこには氷晶の蝶が閉じ込められていました。ナフタレンで作られた半透明の翅は時間とともに少しず...
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エル・グレコ「白貂の毛皮をまとう貴婦人」(エル・グレコ展より)

黒い瞳と黒い眉、額のふくらみ、鼻から唇までの狭さ、そしてそれらを包む細面の顔かたちにはあきらかに東方からの血脈があらわれている。ムーア人という説があるからにはアラブの血脈も当然混入しているのだろうが、アラブの中にあっても、この婦人の表貌はさらに東方へ向かっている気がしてならない。 (伊集院静「美の旅人 スペイン編 1」より) A Lady in a Fur Wrap(1577-90) El Grecoエル・グレコ作「白貂の毛皮をまと...
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エル・グレコ「無原罪のお宿り」(エル・グレコ展より)

ひさびさの大阪出張。打ち合わせ場所が中之島だったので、早めに現地入りして国立国際美術館に行ってきました。待望の「エル・グレコ展」です♪ The Immaculate Conception(1607-13) El Grecoこちらはエル・グレコ「無原罪のお宿り」。西洋絵画ではおなじみの主題で、最近ではゴヤ展で同主題作品が出てましたっけ。原罪を取り除く者であるキリストに対して、生まれたときから(母アンナの胎内に宿ったときから)原罪を免れてい...
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イヴ・タンギー「聾者の耳」

先日Bunkamuraに行った際、めずらしくアンケートに記入してみました。「見てみたい展覧会」みたいな項目があって、たくさんありすぎて困ってしまったわけですが一番企画してほしいのは……やっぱりこの人の回顧展かなぁ。 The Ears of a Deaf(1938) Yves Tanguy「もっとも純粋なシュルレアリスト」、イヴ・タンギー。当ブログでも何度かご紹介していますね。パリに生まれ、20代のときにキリコの作品を見て絵画に目覚め、正規の美...
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柴田是真「烏鷺蒔絵菓子器」(ZESHINより)

幕末から明治にかけて活躍した蒔絵師、柴田是真。下絵から蒔絵までの全工程をみずから手がけることにより、従来の蒔絵師の枠にとらわれない、自由で洒脱な作品を数多く残しています。そんな世界的にも評価の高い是真の作品を紹介する展覧会が、根津美術館で開催されています。その名も「ZESHIN」。タイトルからしてかっこいい! Tiered Cake Box with Crow and Egret Design Shibata Zeshinこちらは柴田是真「烏鷺蒔絵菓子器」。...
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下村観山「木の間の秋」(美術にぶるっ! より)

秋らしい一枚を。二曲一双の金屏風に秋日の林を描いた、下村観山「木の間の秋」です。 Autumn among Trees(1907) Shimomura Kanzan右隻と左隻で奥行きの表現が違うのにお気づきでしょうか。右隻はどこまでも木立が続き、林の奥深くを表しているようです。一方、左隻はすぐ向こうに金地の光が見えますね。図録の解説では左隻は林の入り口を描いたものとありましたが、どちらかというと出口なんじゃないかなぁ。屏風絵は右から左...
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デルヴォー「夜の使者」(デルヴォー展より)

これもまた、いかにもデルヴォーな作品。足を踏み入れたのは、互いに干渉することのない夢の世界です。地面に置かれたランプを無表情の女性たちが囲み、その向こうで音もなく汽車が走って行きます。遠景にはたくさんの建物が見えるけれど、生活感はまったくなく、どこか寒々しい気さえしてきます。 Messenger at Night(1980) Paul Delvaux府中市美術館の「ポール・デルヴォー展」で展示されていた作品で、タイトルは「夜の使者...
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デルヴォー「トンネル」(デルヴォー展より)

夢のなかにも既視感というものがあるらしく、あぁ、ここは前にも行ったことがあるなぁあぁ、前にも同じ行動をしたなぁなどと現実とはまた違う世界で奇妙な感覚にとらわれることがたびたびあります。目が覚めたら、その記憶には靄がかかってしまいうまく思い出すことができない。でもその感覚だけがくっきりと残っている。夢って不思議だなぁと、そのたびに思うわけです。 Tunnel(1978) Paul Delvauxこちらはポール・デルヴォー...
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川村清雄「鸚鵡」(もうひとつの川村清雄展より)

もうひとつ、川村清雄の作品を。縦長の朱漆塗の板に描かれた「鸚鵡(おうむ)」という作品です。突然飛び立った蝶におどろいて、羽を振り上げる白い鸚鵡。ギョッとした表情がなんとも愛らしいですね。ツルツルとした朱漆とは対照的な、油絵の具という質感の妙。相性の悪そうな2つの材質を組み合わせ定着させるのも、さまざまな支持体を駆使して作品を描いた清雄ならではの技術なのでしょう。白と赤、油絵の具と朱漆という鮮烈な対...
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