足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

青木繁「輪転」

太陽の下で踊る裸婦たち。同じ群舞でも、マティスの「ダンス」とは実に対照的です。金と青がまじり合い、濁り、心地よい混沌を生み出していく。青木繁「輪転」、祭祀的な雰囲気の一枚です。Metempsychosis(1903)Aoki Shigeru先日の福岡出張、初日は移動だけだったので福岡空港から久留米へ向かい、石橋美術館に行ってきました。ここはおなじみ東京・ブリヂストン美術館の姉妹館。福岡出身の画家の作品が多く収蔵されており、その...
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デルタ ドルチェビータ・ミニ(文房具のお話)

そこにはデルタというブランドの、目にも鮮やかなオレンジ色のボディを擁したシリーズが並んでいた。ドルチェビータ……私はその中のドルチェビータ・ミニという、いかにも可愛らしい万年筆を見下ろして、ため息をついた。オレンジ色がとにかく映えていて、小さいのに存在感があった。黒のキャップにはスターリングシルバーの飾りがアンティーク調に輪を描いていて、貫禄めいた味もかもし出している。DELTA デルタ ドルチェビータ ミ...
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エヴァレット・ミレイ「めざめ」

こんな時間に更新。朝5時に目が覚めてしまったもので……。ってことで、ジョン・エヴァレット・ミレイの「めざめ」です。3年ほど前に横須賀美術館のラファエル前派展で見た作品。少しおどろおどろしい印象ですが楽しい夢から突然覚めてしまった戸惑いのようなものが幼い表情に見え隠れして、さすがだなぁと思うのです。ミレイといえば「オフィーリア」なわけですが、西洋美術館の「あひるの子」などなど子どもを描いた作品も多いんで...
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ドローネー「一斉に開いた窓」とGotyeのPV

抽象絵画の先駆者、ロベール・ドローネー。彼のスタイルは「オルフィスム」とも呼ばれ、ピカソやブラックのキュビスムをさらに抽象的にし、音楽のように色彩が響き合います。カンディンスキーとも交流のあった人で、ぼくの大好きなアウグスト・マッケもドローネーから影響を受けてます。Windows Open Simultaneously (First Part, Third Motif) (1912)Robert Delaunayどうして突然ドローネーかというと、先日グラミー賞最多受賞...
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ルノワール「金髪の浴女」(クラーク・コレクションより)

実にふくよかというか豊満というか健康的で美しい女性像でして男性諸氏はこういう作品を前にするとやはりドキッとしてしまうのでございます。ピエール・オーギュスト=ルノワール「金髪の浴女」。この作品はポスターでも使われていて、街中で何度もドキッとしました(笑) Blonde Bather(1881) Pierre-Auguste Renoirモデルはアリーヌ・シャリゴといわれており、彼女は後にルノワールの妻となる女性です。好きな女性を描いたか...
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ジョヴァンニ・ボルディーニ「道を渡る」(クラーク・コレクションより)

全体を褐色が占めているのに、描かれた人物がてんでばらばらの方向を向いているのに、なぜか幸せそうだなぁと感じてしまった作品です。ジョヴァンニ・ボルディーニ「道を渡る」。三菱一号館美術館の「奇跡のクラーク・コレクション」より。 Crossing the Street(1873-75) Giovanni Boldiniまず第一に、色彩の配置が巧みだなぁと思ったのです。作品のなかで際立って明るいピンクの花束や、光を受けて唯一つやめいているグリーン...
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モネ「エトルタの断崖」(クラーク・コレクションより)

これはもう、実にモネらしい一枚です。そそり立つエギーユ島の先端は陽を受けて輝き、アーチ状のアヴァル門は揺らめく影のよう。海面では光の粒がきらきらとさざめき、その中央にボートらしき黒いシルエットが浮かんでいます。クロード・モネ「エトルタの断崖」。これぞ印象派、すばらしい! ……でも、なんか変なんです。 The Cliffs at Étretat(1885) Claude Monetこの絵の前に立ったとき、最初に左側のエギーユ島とアヴァル...
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ジェローム「蛇使いの少年」(クラーク・コレクションより)

ブルートパーズのようにあやしく輝くタイル装飾。少年が体に巻き付けた蛇もまた、青くぬめった鱗光を発しています。ジャン=レオン・ジェローム「蛇使い」。フランス・アカデミズムの画家が作り上げた妖艶な異世界がここに。 The Snake Charmer(c.1879) Jean-Léon Gérômeジェロームはブグローなどと同時代に活躍した画家。宝石商の息子として生まれ、ドラローシュのもとで学び、1847年に「闘鶏」でサロン初入選を果たします。...
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ファンタン=ラトゥール「鉢と皿に生けたバラ」(クラーク・コレクションより)

バラを描いたらファンタン=ラトゥールにかなう者はいない。バラ——フォルムも輪郭も色も凝っていて実に見事。繊細で丸く、うねったりカールしたり襞をつけたり、さながら手の込んだファッショナブルな帽子飾り。ときにボタンや女性の胸のよう——ファンタンこそ誰よりもバラを理解した画家だ。(画家・評論家 ジャック=エミール・ブランシュ) Roses in a Bowl and Dish(1885) Henri Fantin-Latour三菱一号館美術館の「奇跡のク...
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ルノワール「劇場の桟敷席(音楽会にて)」(クラーク・コレクションより)

ワイン色のカーテンを背に、劇場の桟敷席でくつろぐ2人の女性。一人はきらびやかな黒のイブニングドレスをまとい、頬杖をついてこちらに微笑みを投げかけています。もう一人は白い控えめの衣装で横顔を見せ、視線の先にはバラの花束が。ルノワール「劇場の桟敷席(音楽会にて)」。米国クラーク美術館所蔵の名品です。 A Box at the Theater(At the Concert)(1880) Pierre-Augustê Renoir2人の関係が気になるところですが、...
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マックスフィールド・パリッシュ「樫の木に覆われて(居心地のいい場所)」

前回に引き続き、マックスフィールド・パリッシュについて。20世紀初頭のアメリカン・イラストレーション黄金時代を代表する画家として地位と名誉を手に入れたパリッシュでしたが、1931年、彼はそれまでのスタイルを捨てて新たな道を歩み始めます。 Sheltering Oaks(A Nice Place to Be)(1956) Maxfield Parrishパリッシュ「樫の木に覆われて(居心地のいい場所)」。鏡面のように世界を映し出す湖、白い雲をしたがえた青い...
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マックスフィールド・パリッシュ「幕あい(リュート奏者たち)」

現在世界で最も人気のある画家は、ゴッホ、セザンヌ、そしてパリッシュである。(1936年、タイム誌) Interlude(The Lute Players) (1922) Maxfield Parrishマックスフィールド・パリッシュ「幕あい(リュート奏者たち)」。鮮やかな空の下、リュートを抱えてくつろぐ女性たち。黄金色の陽だまりはどこか神秘的で、左下の岩石の模様は羽のようにも見えてきます。まるで天上に憩う天使たちのよう。奏楽の合間のリラックスし...
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土田麦僊「金魚図」

月はいきするたびごとにあのやはらかな、なつかしい月のひかりを吐くのです。花はいきするたびごとにあのきよらかな、かぐはしい花のにほひをはくのです。金魚はいきするたびごとにあのお噺の継子(まゝこ)のやうにきれいな寶玉(たま)をはくのです。(金子みすゞ「金魚」) Goldfish(1925) Tsuchida Bakusenなんとなく、土田麦僊「金魚図」。ふわりふわりと泳ぐのです。月の光をあびながら、花の匂いをかぎながら。きれいな...
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モーリス・ドニ「純潔の春」

暦のうえではもう春ですね。数日前からぽかぽか暖かくなってきて、梅の花もほころびはじめました。春風は氷を解かし、山ではうぐいすが鳴き、冬ごもりの虫たちが目覚め、氷の割れ目から魚が顔をのぞかせます。そうして寒くなったり暖かくなったりを繰り返しながら、桜の季節がやってくるんですね。 Virginal Spring(1899) Maurice Denisモーリス・ドニ「純潔の春」。春というと、ドニの作品を連想します。薄日に照らし出された...
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ゴヤ「砂に埋もれた犬」

フランシスコ・デ・ゴヤ「砂に埋もれた犬」。生き埋めにされた犬の表情は困惑に満ちており、自分の状況を飲み込めていないのか抗うそぶりも見えません。砂は……砂と呼ぶには湿り気を帯びて黒ずんでおり、犬の不安と痛みがひしひしと伝わってきます。この作品は、ゴヤが晩年の一時期を過ごした「聾者の家」に飾られていた「黒い絵」と呼ばれる連作のなかのひとつ。反射的に恐怖にとらわれる「我が子を食らうサトゥルヌス」と対照的に...
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静嘉堂文庫美術館の「曜変天目」

昨年あたりから茶道具にも少しずつ興味を持つようになり、となると一度は見ておかなければ……と思っていた碗があります。至高の名碗、「曜変天目」。世界に4点しかなく(3点ともいわれている)、そのすべてが日本に伝わっています。静嘉堂文庫、藤田美術館、大徳寺龍光院の所蔵がそれぞれ国宝で、加えてMIHO MUSEUMの所蔵品が重要文化財(こちらは油滴天目との意見も)。今回は東京世田谷区にある静嘉堂文庫美術館で見てまいりまし...
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マックスフィールド・パリッシュ「歓喜」

自宅でパソコンを前にしているとついあれこれ考えてしまうけど、クヨクヨするのは柄じゃないから元気を出していこうと思います。 Ecstasy(1929) Maxfield Parrishマックスフィールド・パリッシュ「歓喜」。日差しを全身にあびて、歓びに身を震わせる少女。雄々しい雲は後退し、彼女の眼前には青空だけが広がっているのでしょう。それは「パリッシュ・ブルー」と称された、画家を象徴する鮮やかな青。色使いといい構図といい、...
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アルフォンス・オスベール「夕暮れ時」

夕されば、火のつくごとくそんな気持ちで今日を過ごしておりました。今日だけじゃない、2年前からずっとだ。 At Sunset Alphonse Osbert君こそは遠音に響く入相(いりあひ)の鐘にありけれ幽かなる声を辿りてわれは行く盲目(めしひ)のごとし君ゆゑにわれは休まず君ゆゑにわれは仆(たふ)れず嗚呼われは君に引かれて暗き世をはつかに捜(さぐ)るたゞ知るは沈む春日の目にうつる天(そら)のひらめきなつかしき声するかたに花...
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