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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

円山応挙「狗児図」(かわいい江戸絵画より)

円山派の祖であり、写生を重視した画風によって日本絵画史に革新をもたらした画家、円山応挙。彼の最大の偉業といえば……やはり仔犬でしょう! Puppy(1784) Maruyama Okyo円山応挙「狗児図」(部分)。ああ、もう…。このおむすび型のたれ目といったら!情けない表情なのに愛らしくてキュンキュンしてしまいます。まんまるの体に見事な短足、申し訳程度にくっついた小さな尻尾。真ん中のワンコは手前の白いワンコに覆いかぶさっ...
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ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」

深淵を覗きこむとき、深淵もまたこちらを覗いているのだ。            (ニーチェ) Saturn Devouring His Son(1820-23) Francisco de Goyaフランシス・ベーコンの作品を見たとき、反射的に思い浮かんだのはゴヤの作品でした。「我が子を喰らうサトゥルヌス」。ゴヤが晩年を過ごした「聾者の家」に描かれた14枚の壁画、通称「黒い絵」の一枚です。軋みを上げそうなほどに歪んだ肉体、画面におさまりきらぬ手足、そ...
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ベーコン「人物像習作 2」

正気の沙汰とは思えない作品の数々。これを正気で描いていたのだとしたら、それこそ狂気ではないか。フランシス・ベーコン「人物像習作 2」。東京国立近代美術館の「フランシス・ベーコン展」より。 Figure Study 2(1945-46) Francis Bacon老婆のように腰を曲げ、ヤシの木と傘のような造型物に顔を挟まれた人物。目は見当たらない。鼻も見当たらない。ただ口だけが、ぽっかりと異様に開いています。いったい何を意味しているの...
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杉山寧「生」

戦後日本を代表する日本画家のひとり、杉山寧。没後20年の回顧展が日本橋高島屋で開かれていま……と思ったら、明日(3月25日)まででした。。もっと早くに紹介しておくべきだった。。 Life(1971) Sugiyama Yasushiこちらは1971年の作品「生」。二頭の馬を背にした裸婦が描かれています。ある意味奔放な情景ですが、気品が高く美しい。落日を思わせるオレンジの背景が、絵に荘厳さを与えているのかもしれません。杉山寧は東山魁...
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アーウィン・ブルーメンフェルド:美の秘密

恵比寿の山種美術館に行くと、「次はどこに行こうか」と毎回迷ってしまいます。徒歩圏内に根津美術館、岡本太郎記念館、サントリー美術館、国立新美術館、森美術館、太田記念美術館、Bunkamuraなどなど……自転車があるとはかどるのになぁ、なんて思いながら、前回は恵比寿駅の反対側、東京都写真美術館に行ってきました。アーウィン・ブルーメンフェルドの写真展「美の秘密」を見に。 Do your part for the Red Cross(1945) Erw...
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羽石光志「吉野山の西行」

東京では例年よりも10日ほど早く桜が開花し、土日には早くも見ごろを迎えるそうです。ということで、今回も山種美術館の「琳派から日本画へ」の作品を。桜にちなんで、羽石光志の「吉野山の西行」です。 Priest Saigyo on Mt. Yoshino(1987) Haneishi Koji画家いわく「吉野山を訪れ、彩色された仏殿の柱を背に山桜の一枝を献ずる姿」。桜を愛し、花の下で死ぬことを願った西行。どこか寂しげなその表情には死を前にした画家の...
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伝・藤原公任「石山切(伊勢集)」(琳派から日本画へ より)

平安時代の料紙装飾の名品「石山切」。1112年に行われた白河法皇の六十賀に際して製作されたものの一部だそうで、20名の能書家によって36人分の歌集が書写されており、書の優美さに加えて当時の最高峰の装飾技法でつくられたのだとか。自分は書にかんしてはど素人なんで難しいことは分かりませんが、これはもう一目で釘付けになってしまいました。これぞ日本古来の美意識だなぁと。 “Ishiyama-gire” Fragment of the Iseshu Poetr...
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酒井抱一「秋草鶉図」(琳派から日本画へ より)

山種美術館で琳派ときたら、これは見に行くしかないでしょう。ということで「琳派から日本画へ —和歌のこころ・絵のこころ—」、前期と後期それぞれ見に行ってまいりました。まずは前期のみ展示の作品、酒井抱一の「秋草鶉図」を。 Autumn Plants and Quail(19th Century) Sakai Hoitsu酒井抱一といえば、京都の俵屋宗達・尾形光琳らによる琳派芸術を半世紀の時を経て江戸で花開かせた稀代の絵師。琳派の作風を継承するだけでな...
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シニャック「漁船」

それまで苦手だったり嫌いだったりしたものが、何かのきっかけで急に輝いて見えてくることがあります。自分の成長や環境の変化、あるいは対象が見せる意外な一面などによって。ポール・シニャックの「漁船」という水彩も、まさにそんな一枚でした。 Fishing Boat Paul Signac国立西洋美術館の常設のほうで、「風景—国立西洋美術館素描コレクションより」という展示をやっています。ラファエロ展のついでに見てきたんですが、これ...
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ラファエロ「エゼキエルの幻視」(ラファエロ展より)

ラファエロが描いたこの作品、サイズはどのくらいでしょう。高さ1m? いやいや、もっとありそうだ。だってこの構図、下から見上げるにふさわしいじゃないですか。少なくとも高さ2mはありそうですよね。 Vision of Ezechiel(c.1510) Raffaello Santi……正解は、40.7×29.5cm。A3用紙よりもやや小さいサイズに、大作の威風が備わっているのです。今日の一枚はラファエロの「エゼキエルの幻視」。神の所業か悪魔の技か、人智の及ば...
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ラファエロ「聖家族と仔羊」(ラファエロ展より)

レオナルド・ダ・ヴィンチ 1452〜1519ミケランジェロ・ブオナローティ 1475〜1564ラファエロ・サンティオ 1483〜1520このようにルネッサンス3大巨匠のなかでもラファエロは年若で、21歳でフィレンツェに向かったときには既にレオナルドとミケランジェロが名声をほしいままにしていました。ラファエロは彼らの作品を熱心に研究し、その技術を吸収していきます。実際にアトリエにまで押しかけ、レオナルドからは最初に作品を見せ...
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ラファエロ「大公の聖母」(ラファエロ展より)

2013年、ルネッサンスの巨匠の作品群が立て続けに来日します。その第一弾として3月2日よりスタートしたのが国立西洋美術館の「ラファエロ展」。ラファエロの大規模な回顧展はヨーロッパ以外で開催されたことがなく、日本での開催は奇跡といっても過言ではないほど。ラファエロ1点だけでも大騒ぎだというのに、なんと20点以上もの作品が集まっているのです。 Madonna col Bambino detta Madonna del Granduca Raffaello Santiこち...
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ミュシャ「スラヴ叙事詩 第9番〈クジージュキの集会〉」の下半分の下絵(ミュシャ展より)

森アーツセンターギャラリーの「ミュシャ展」では、世界初公開となる作品が2点展示されていました。そのうちのひとつがこちらの作品。個人的にはミュシャ展最大の見どころだと思っています。 Study for ‘The Slav Epic’ cycle No.9(1916) Alphonse Mucha 「スラヴ叙事詩 第9番〈クジージュキの集会〉」の下半分の下絵。たかが下絵と侮るなかれ、高さ約3mのチョーク画には、ナショナリスト・ミュシャの知られざる姿が秘められて...
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ミュシャ「百合の聖母」(ミュシャ展より)

元々はエルサレムの教会壁画として構想された作品。そのため247×182cmの大作であり、「スラヴ叙事詩」を構想していた時期だけに宗教と民族的な要素が色濃くあらわれています。アルフォンス・ミュシャ「百合の聖母」。森アーツセンターギャラリーの「ミュシャ展」より。 Madonna of the Lilies(1905) Alphonse Mucha画面の上半分を覆いつくす白百合と、その芳香のなかで静かに佇む聖母。白百合は聖母の純潔をあらわすアイテムで...
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ミュシャ「四芸術」(ミュシャ展より)

野に咲く花がもっとも美しいとするならばそも芸術とは何であるかと。その起こりは自然への感謝を表さんとするものであったなら——。風と踊り、花を見つめ、星を歌い、夜に耳を傾ける。ミュシャの「四芸術」という作品には、こんな形で芸術というものの有り様が提示されています。筆をとることも楽器を奏でることもなく自然と相対したときに心の奥から湧き出ずるものこそ芸術の本質であると勝手にそんなことを考えている次第です。 ...
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ヴァン・ダイク「悔悛のマグダラのマリア」

Bunkamuraの「ルーベンス展」では、ルーベンスの工房で腕を振るった画家たちの作品も展示されています。その筆頭は、やはりヴァン・ダイクでしょう。工房のもっとも有能な助手として活躍し、その後イギリスにわたって宮廷画家となった肖像画の巨匠。彼の作品こそ「ルーベンス展」後半のハイライトであると思います。 St. Mary Magdalene Repentant(c.1618-20) Anthony Van Dyckヴァン・ダイク「悔悛のマグダラのマリア」。復活...
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ルーベンス「聖母子と聖エリサベツ、幼い巡礼者ヨハネ」(ルーベンス展より)

双子をあやすお母さんとおばあさん……ではなくて、これは宗教的主題にのっとった聖母子像。女性が身にまとった赤と青の衣装がその証です。ルーベンス(工房)による傑作「聖母子と聖エリサベツ、幼い巡礼者ヨハネ」。Bunkamura ザ・ミュージアムの「ルーベンス展」より。 The Virgin and the Child with St. Elizabeth and the Infant St. John the Baptist(c.1615-18) Workshop of Peter Paul Rubensマリアに抱かれてあどけな...
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ルーベンス「ロムルスとレムスの発見」(ルーベンス展より)

ようやく仕事が一段落して、土日はゆっくり休めることに。ということで早速、今日から始まったBunkamura ザ・ミュージアムの「ルーベンス展」を見てきました。 The Finding of Romulus and Remus(c.1612-13) Peter Paul Rubensこちらはルーベンス「ロムルスとレムスの発見」。雌狼のかたわらで無邪気に遊ぶ2人の幼子は前王の娘レア・シルウェアと軍神マルスの間に生まれた双子でしたが時の王アムリウスの謀略によって川辺に捨...
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エヴァレット・ミレイ「眠り」

ジョン・エヴァレット・ミレイ「眠り」。前にご紹介した「めざめ」と対になる作品です。こんなふうに……ベッドで寝たい。。。 Sleeping John Everett Millais月曜から泊まり込みでして、もうしばらく続きそうなのでいったんシャワー浴びて着替えるために帰宅しました。つかの間の休息、10分でブログ更新です(笑)さて、会社戻るかな。行ってまいります。今日も明日もがんばろう。  ...
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二眼レフカメラ「ローライコード」

めずらしくカメラの話など。といっても自分、カメラについては全くの素人で撮影も不得手で、知識もございません。昔から撮られるのも苦手だったんで、青春時代の写真なんてまったくないわけで(笑)そもそも撮ってくれる相手が……涙。ええと、最近仕事でカメラを使う機会が増えてきたのでちょこっと興味を持つようになりまして。そんななか、「東京シャッターガール」という漫画でローライコードという二眼レフのカメラが出て来たの...
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高島野十郎「月」と「蝋燭」

昨年、DIC川村記念美術館の「フラワースケープ」で作品を見て以来ずっと気になっていた大正・昭和の画家がいます。久留米出身の写実画家、高島野十郎。終生家族を持つことなく、画壇と交わることもなくやがてそのまなざしは光へと向けられ、闇へと収斂していきます。 Moon(after 1961) Takashima Yajuro高島野十郎「月」。福岡県立美術館の「光をさがして」というコレクション展でこの作品と出会いました。樹々の向こうにぽっ...
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長谷川等伯「竹林猿猴図屏風」

中でも親子の団欒を描いた猿猴図は、猿がふすまから飛び出してくるようだと話題になり、噂を聞いた秀吉が下絵を送れと催促してきたほどだった。これで完成だと言っても異論をさしはさむ者はいないはずだが、等伯は正面の左方、雪山に松の絵がどうも気に入らなかった。霧がたちこめる湖のほとりに、雪におおわれた松林がある。松は手前を色濃く描き、遠ざかるにつれて薄くして遠近感をもたせながら、はるか遠くにそびえる雪山へつづ...
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俵屋宗達「蔦の細道図屏風」

琳派は粋で、かっこいい。俵屋宗達の「蔦の細道図屏風」を見て、つくづくそう思いました。現代の作品と言われても納得してしまいそうなデザイン性はこれはもう奇跡的としか言いようがありません。   Ivy-Bound Lane(17 Century)Tawaraya Sotatsu金箔の背景と、緑一色の野原。その境にはこれも緑の蔦の葉が散らされ、金地に溶けていきます。伊勢物語の「東下り」で主人公の一行が駿河国の宇津山を越える場面を描いたものですが...
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