足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

高村智恵子「くだものかご」

彼女はそれを訪問した私に見せるのが何よりもうれしさうであつた。私がそれを見てゐる間、彼女は如何にも幸福さうに微笑したり、お辞儀したりしてゐた。(高村光太郎「智恵子の半生」より)Fruit Basket(1937-38)Takamura Chieko自殺は未遂に終わったものの、智恵子の心は壊れていきました。今でいう統合失調症で、その治療のためにはじめたのが切り絵でした。はじめは色紙で千羽鶴を折るところから始まり、いつしか彼女自身の意...
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高村光太郎「白文鳥」

つがいの文鳥でしょうか。一羽は瞳を大きく見開き遠くを見つめ、もう一羽は目を細めて、そんな連れ合いを愛おしそうに見つめています。高村光太郎「白文鳥」。朴訥とした、命のあたたかみを感じさせる小品です。Japanese Rice Bird(c.1930)Takamura Kotaro1918年を境にブロンズ彫刻の制作をストップした光太郎は、1924年ごろから自身のルーツでもある木彫制作をはじめます。「モデル費にあてる為」とあり、貧困のさなかで比較的...
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高村光太郎「手」

今日は千葉市美術館へ、「生誕130年 彫刻家・高村光太郎展」を見てきました。Hand(1918)Takamura Kotaro高村光太郎の彫刻といえば、やはり「手」でしょう。仏教の「施無畏の印相」をあらわしており、大仏様などで見られる形をしています。指の一本一本が異なる曲がり具合で何かを訴えかけてくるような緊張感をはらんでいます。ブロンズ彫刻のつけね、手首の部分は木彫と接合されており、父・高村光雲ゆずりの木彫技術がここに顔...
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ギーガー「エイリアン」

いま、修羅場です。AlienH.R.Gigerついにホイホイの罠にGがかかったのですが、そのホイホイをどうするかってところで懊悩してます。窓の部分から、半分くらい体が出ちゃっててね。カサカサカサカサ言ってるわけです……。へたに動かしたら逃げ出しちゃいそうだしそもそも近寄りたくもないし……。かといって、放置しておいたら怖くて眠れない。5つ仕掛けたホイホイのうち、よりにもよってベッド近くのやつにかかってしまったので。。ば...
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酒井抱一「白蓮図」

花弁を大きく広げ、今しも散り落ちそうな蓮の花。その白さはどこか浮世離れしており重力のない世界でたゆたっているようにも感じられます。酒井抱一「白蓮図」。鎮魂にも似た、静かなる一枚です。White LotusSakai Hoitsuちょっと前に読んだ宮本輝の「海岸列車」という小説のなかに、蓮の花について興味深いことが書かれていました。他の花は、散ってから実が成るのに、蓮だけは花と実が同時に成長する。原因と結果とが同時に存在...
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ドガ「手袋をした歌手」

出てこいやーっSinger with a Glove(c.1878)Edgar Degasホイホイを5箇所に増設したもののいまだ姿を見せず、です。そんな状況で料理をする気にもなれないのでしばらく外食が続きそうです。昨晩は怖い夢ばかり見ましたが多分やつのせいです。ほんとどうにかならんもんかな。。ドガさん、こんな扱いでごめんなさい。あと、こんなネタが続いちゃってごめんなさい。今日も明日もがんばろう。  ...
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ソロモン「苦悶する魂」

こんな気分です。Torturous SoulSimeon Solomon昨晩、やつがあらわれました。黒いあいつです。今のマンションに引っ越して2年、割と上のほうの階に住んでいるのでまず出ることはないだろうとたかをくくってたんですが。。こういうこともあろうかとホイホイを買っておいたのです。3つ仕掛けました。書斎に1個、リビングに1個、それからキッチンに1個。自分の性格上、物理的な行動には出られないのでまず待つしかないわけです。結果...
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シャセリオー「バルコニーにいるアルジェのユダヤ女性」

今日はずいぶん過ごしやすいお天気でした。掃除洗濯お昼ご飯をすませて、颯爽と上野まで。昨日からはじまった東京都美術館の「ルーブル美術館展」、お目当てはフランス・ロマン主義の画家、シャセリオーです。Jewish Women at the Balcony(1849)Théodore Chassériauテオドール・シャセリオー「バルコニーにいるアルジェのユダヤ女性」。太陽と海を思わせる鮮やかな衣装をまとい、バルコニーの手すりにひじをついて語り合う女性た...
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笠松紫浪「夏の夜」

前回がちょっとさびしいひまわりだったので、今日は夜空をいろどる大輪の花を紹介しましょう。笠松紫浪の「夏の夜」という作品です。Summer NightKasamatsu Shiro笠松紫浪「夏の夜」。浅草に生まれ、鏑木清方に学んだ画家の作品です。同門の先輩には伊東深水や川瀬巴水がおり、彼らと同じように師のすすめによって渡辺版画店から木版画を発表。以来モダンな東京の風景を多く描き、新版画の興隆に一役買った人物といえます。昨晩は...
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シーレ「ひまわり」

夏の熱波に身を焼かれたような痛々しいまでの姿。この画家の手にかかると、太陽の花でさえも死の影をまといます。エゴン・シーレ「ひまわり」。その闇は果てしなく、目玉のようにこちらを見据えています。Sunflower(1909-10)Egon Schieleシーレというと、代表作「死と乙女」のように歪んだ人体描写が思い浮かびます。ときに関節が軋みをあげそうなほどに彼が描く人物はこわれている。けれどこの「ひまわり」は、死をにおわせなが...
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シャヴァンヌ「貧しき漁夫」

そういえば。来年1月より、Bunkamuraでシャヴァンヌ展が予定されているのでした。印象派やアカデミズムとは一線を画し、19世紀最大の壁画家と呼ばれたピュヴィス・ド・シャヴァンヌ。穏やかな色彩と詩情をたたえた作風は同時代のフランスの画家、ドニやルドン、スーラなどに支持されました。シャヴァンヌの作品というと、印象深いのはやはりこちらでしょうか。オルセー美術館所蔵、「貧しき漁夫」という作品です。The Poor Fisherm...
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シャヴァンヌ「眠れるパリを見守る聖ジュヌヴィエーヴ」

シャヴァンヌ「眠れるパリを見守る聖ジュヌヴィエーヴ」。月明かりの下にたたずむパリの守護聖人を描いた作品です。光は街をつつみ、誰もそれには気付かず眠りについている。それにしても……向こうに広がるのは海でしょうか。パリから海は見えないと思うけれどおとぎ話の夜だから、そんな幻想も許されるのでしょう。おぼれるような明るさに家並は黙ししじまが広がってまいります。St. Genevieve Watches Over the Sleeping City of ...
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グルスキー「バンコク VI」

3連休最終日、さすがにゴロゴロするわけにはいくまいと六本木方面へ。いま話題の「アンドレアス・グルスキー展」を見に国立新美術館まで行ってまいりました。Bangkok VI(2011)Andreas Gurskyこちらは「バンコク VI」。バンコクの川面を写し取った連作のひとつで、ゴミが浮かび澱んだ川の表情をとらえた示唆的な作品。日経のアートレビューによるとこのシリーズはモネの連作「睡蓮」にたとえられることもあるそうですが、実物を見...
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ピカソ「扇子を持つ女」(プーシキン展より)

やはりピカソはすごい。横浜美術館の「プーシキン美術館展」ではピカソの作品が3点並べて展示されていましたが、旧態を跡形もなく壊しては新たな世界を切り開いていく彼の画風の変転と、尋常ならざるエネルギーに圧倒されるばかりでした。Woman with a Fan(1909)Pablo Picassoこちらはパブロ・ピカソ「扇子を持つ女」。前述の3点のうちのひとつです。制作年は1909年。あの「アヴィニョンの娘たち」から2年後、キュビスムの時代の...
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フロマンタン「ナイルの渡し船を待ちながら」(プーシキン展より)

ナイルに夕陽が沈んでいきます。もうじき夜がやってきて大地は寒さにおののくだろか。早く向こうに渡らねばならぬとけれど旅人はなすすべもなく渡し船を見つめるばかり。ウジェーヌ・フロマンタン「ナイルの渡し船を待ちながら」。どうもぼくは、こういう作品に弱いみたいです。Waiting for the Ferryboat across the Nile(1872)Eugène Fromentin茫洋、茫洋。中原中也の口癖が「茫洋」であったとか。覚えているはずもない1歳時...
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ブーシェ「ユピテルとカリスト」(プーシキン展より)

花盛りのフランス・サロン文化その雅びな一時代を軽やかに描いたロココ時代の画家フランソワ・ブーシェの作品が、横浜美術館の「プーシキン美術館展」で来日しています。作品名は「ユピテルとカリスト」。かのルノワールをも魅了した代表作「水浴のディアナ」に負けず劣らず見事な脚線美に目を奪われ、そしてただならぬ女性同士の語らいに思わずドキドキしてしまうわけですが……右側の女性、男です。うわーJupiter and Callisto(17...
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ルノワール「ジャンヌ・サマリーの肖像」(プーシキン展より)

やっと会えました。笑顔の似合う、愛しのあの子。2年越しの想いがようやく現実に。ルノワール「ジャンヌ・サマリーの肖像」です。Portrait of Jeanne Samary(1877)Pierre-Auguste Renoir2年前に開催することが決まっていながら、震災の影響で延期になってしまった「プーシキン美術館展」。「復活」が決まったのは去年の秋、それ以来ずっと心待ちにしていたのです。先に愛知県美で開催だなんてズルイ! みたいな(笑)作品数は66...
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曾我蕭白「大黒天の餅つき図」

いま、こんな気分です。曾我蕭白「大黒天の餅つき図」。飛び上がっちゃうくらいうれしい。Daikoku Pounding MochiSoga Shohaku土日がっつり仕事をしたので、明日は代休なのでございます。プーシキン展行って、グルスキー展行って、谷文晁も見て、宮永愛子も見て、妖怪展も見て、ついでに墨田水族館も行きたい。あと錦糸町の江戸切子の喫茶店でゆっくりコーヒー飲んで読書したい。そんでそんで、昼間っからビール飲みたい!ぜったい...
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伊東深水「銀河祭り」

伊東深水「銀河祭り」。たらいの水に星を映し、そのうえで針に糸をとおすことで裁縫の上達を願うという、七夕の風習を描いたものです。右上には笹飾りが見えますね。上島鬼貫の「七草や露の盛りを星の花」という句が書かれているそうです。Milky Way Festival(1946)Ito Shinsui日中、突然の雨でどうなるかと思いましたがそのあとにはキレイな虹が出て、見事に晴れてくれました。七夕の夜は天気が悪いことが多いのですが、今も夜...
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エドモン・クロス「黄金の島」

新印象派の点描はどちらかというと苦手な作品のほうが多いんですが、この作品はひとめ見た瞬間、大好きになりました。The Golden Isles(1891-92)Henri-Edmond Crossアンリ・エドモン=クロス「黄金の島」。空、海、砂浜が層状にかさなる至極シンプルな構図にかかわらず、色彩の巧みさゆえか、どれだけ見ても飽きが来ません。昨年のドビュッシー展(ブリヂストン美術館)で見たこの作品、その前にもどこかで見たような気がしてた...
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ザオ・ウーキー「風景 2004」

ブリヂストン美術館で開催中の「色を見る、色を楽しむ。」。色彩をテーマに館蔵のコレクションを紹介するというもので、赤や青といった色ごとに作品が分類されているのかな、と思いきや画家自ら、あるいは工房で絵の具が作られたレンブラントの時代からチューブ入りの絵の具を屋外へ持ち歩けるようになった印象派の時代へとまずは色の歴史をたどるかたちで作品が展示されていました。そこからモノクロームを自在に操りやがて色彩に...
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山口蓬春「夏の印象」

あさがおのトンネルの向こうには砂浜があり、海があり、いくつもの貝がらがこぼれ落ちています。白いテーブルのうえには、置き忘られたあじさいのような帽子。山口蓬春「夏の印象」。さわやかな作品だけど、なんだか少しさびしくなりました。……もう7月、夏なんですよね。Impression of SummerYamaguchi Hoshun私の耳は貝のから海の響きをなつかしむ(ジャン・コクトー「耳」)今日も明日もがんばろう。  ...
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酒井抱一「月に秋草図屏風」(夏目漱石展より)

下に萩、桔梗、芒、葛、女郎花を隙間なく描いた上に、真丸な月を銀で出して、其横の空いたところへ、野路や空月の中なる女郎花、其一と題してある。宗助は膝を突いて銀の色の黒く焦げた辺から、葛の葉の風に裏を返してゐる色の乾いた様から、大福程な大きな丸い朱の輪廓の中に、抱一と行書で書いた落款をつくづくと見て、父の行きてゐる当時を憶ひ起さずにはゐられなかつた。(夏目漱石「門」より)Autumn Grasses under the Moon...
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正岡子規「あづま菊」と最後の手紙

東京藝術大学大学美術館へ行くときは、いつも千代田線の根津駅から歩いていきます。このあたりはお寺が多いせいかあちこちに花屋があり、街並ものどかで足の運びがふわりと軽くなるんですよね。吹く風がここちよく、額にうっすら汗がにじんできたころに目的地に到着。「夏目漱石の美術世界」展、2度目の鑑賞です。目当ては後期から展示の琳派のあの作品だったんですが……そのお話はまたの機会にするとして、今日は一番印象に残った...
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