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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

ハンマースホイ「ライアの風景」

19世紀末デンマークの画家、ヴィルヘルム・ハンマースホイ。彼が多く描いたのは物憂い女性の背中なわけですが、実はこんな作品ものこしています。View of Lejre(1905)Vilhelm Hammershøiハンマースホイ「ライアの風景」。なだらかな丘の向こうに樹木がのぞき、そのうえに爽やかな青空が広がっています。雲はリズミカルに連なり、思わず口笛でも吹きたくなるような。2008年に国立西洋美術館で開かれたハンマースホイ展の図録を見...
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葛飾北斎「富嶽三十六景 御厩川岸より両国橋夕陽見」

暮れゆく空、逆光によって浮かび上がる群青色のシルエット。船上の人々は両国橋の向こうにそびえる富士に見惚れているのでしょうか。葛飾北斎の「富嶽三十六景」より、「御厩川岸より両国橋夕陽見」という作品です。Watching Sunset over Ryogoku Bridge from Onmayagashi,from the series Thirty-six Views of Mt. Fuji(c.1830)Katsushika Hokusaiよく見るとこの浮世絵、実によく練られた構図であることに気付きます。まず両国...
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デューラー「百合の習作」とノヴァーリス「青い花」

Study of a Lily(1526)Albrecht Durer君は広大な世界の心情を深く洞察せんとする 気高い願いをぼくに呼び覚ました。 どんな嵐をついても安全に導かれる 信頼が君の手からひしと伝えられた。君は予感を与えて子供を育み、 おとぎの園へといざなった。 また心やさしい女性の原像となり、 若者の胸をこよなくふるわせた。ぼくをこの世の煩わしさに縛るものは何だろう、 この心も生命も君のものではないか、 君の愛が地上で...
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速水御舟「昆虫二題」

八方に網を広げる蜘蛛と、光に群がる蛾の群れ。ともに円形を中心に置きながらも、放射と収斂という真逆の動きを象徴的に描いたのが速水御舟の「昆虫二題」という作品です。「葉陰魔手」と「粧蛾舞戯」の対作品になっており、題名からして妖しげな…。「昆虫二題 葉陰魔手」「昆虫二題 粧蛾舞戯」この「昆虫二題」は、山種美術館の「再興院展100年記念 速水御舟」という展覧会に出品されていました。これまで何度か見ている作品で...
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アンディ・ウォーホル「200個のキャンベル・スープ缶」

1960年代に生まれた、米国の芸術運動ポップ・アート。大量生産・大量消費社会を主題とし、漫画や写真、雑誌広告などを取り込みつつメッセージ性の高い作品が特徴です。代表的な作家といえば……やはりこの人でしょう。200 Campbell’s Soup Cans(1962)Andy WARHOLアンディ・ウォーホル。アメリカン・ポップ・アートの旗手としてマルチに活躍した人物です。彼の代表作「200個のキャンベル・スープ缶」が、国立新美術館の「アメリカン...
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谷文晁「武蔵野水月図」

品よく伸びた芒の穂、可憐に咲く桔梗や女郎花。武蔵野をいろどる秋草の向こうには穏やかな流水が広がり、その川面にはうっすらと月の影が落ちています。谷文晁「武蔵野水月図」。これもまた、画家の多才さを窺い知ることができる作品です。Moon on the Creek of MusashinoTani Buncho琳派の雰囲気を漂わせたこの「武蔵野水月図」ですが、たらし込みのような技法は用いられず、あくまでも色彩と構図の妙で琳派風を装っています。谷...
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谷文晁「富士山図屏風」

富士山を多く描いた画家といえばやはり葛飾北斎が思い浮かびますが、同時期の画家にもうひとり、富士山で有名な人がいます。名前は谷文晁。北斎より3年あとに生を受けた、江戸南画(文人画)を代表する人物です。Mt. Fuji(1835)Tani Bunchoこちらは谷文晁「富士山図屏風」。白雲をまとった霊峰の姿は凛として、荘厳そのもの。向かって右側の稜線には群青が用いられ、モノクロームの仙境に清澄な趣を加えています。富士の山容も実...
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エドゥアール・ヴュイヤール「眠り」

Sleep(1892)Edouard Vuillard日曜にあっちこっち動き回りすぎたせいか、すっかり体調崩してしまって昨日は会社お休み、今日は午後出勤にさせていただきました。2日で30時間くらい寝てる気がするけど、まだまだいけそう。今日はさっさと寝ます。おやすみなさいませ。今日も明日もがんばろう。  ...
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ピカソ「女の顔」

ジャクリーヌ・ロック。ピカソが最後に愛した女性として知られており、その年齢差は44歳だったというから驚きです。Portrait of Jacqueline(1962)Pablo Picassoこちらはピカソの版画「女の顔」。モデルはジャクリーヌで、このとき既に2人は結婚しているんですが何だかあまり幸せそうには見えないんですよね。涙をこらえて顔を歪めているように見えてしまう。あるいは口をとがらして、画家を非難しているみたいです。キュビスムは...
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川瀬巴水「磯浜」

人は誰もただ一人 旅に出て人は誰もふるさとを 振り返るちょっぴりさみしくて振り返ってもそこにはただ風が 吹いているだけ(はしだのりひことシューベルツ「風」より)Isohama(1949)Kawase Hasuiあぁ、一人旅がしたい。川瀬巴水の作品を見ると、いつもそう思います。のんびり歩いてぼんやり物思いにふけって行き先はその場で決めて、必要なものもその場で買って。さみしくなるかもしれないけれど、それでもね。夏休みは秋休みに...
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ホガース「ジン横丁」と「ビール街」

ビールを飲めば神に祝福され、ジンを飲めば地獄行き(中野京子「怖い絵3」より)Gin Lane(1751)William HogarthBeer Street(1751)William Hogarth18世紀半ばのロンドンでは、ビールや林檎酒の値段が急騰したこともあって質の悪い安酒・ジンが大流行していました。安酒ゆえに健康を損なう人もいれば、酒ほしさに犯罪に走る人も。子どもの服を質に入れてでもジンを飲む――そんな母親もいたそうです。前後を忘れて酩酊する人々の姿...
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岡田三郎助「来信」

着替の最中に、折から届けられた手紙。帯を結ぶのももどかしく、無心に文面を追う女性の姿が描かれています。岡田三郎助「音信」。うつむいた横顔はどこか寂しげでうなだれたような左手の指がみょうに気にかかります。Letter(1928)Okada Saburosuke今年もまた、ペルセウス座流星群は見られませんでした。なぜかいつも薄曇りで、星のひとかけらも見えやしない。一昨年のあの日は自分でもよくわからぬままに思いわずらい、去年はど...
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藤城清治「小さな恋」

鬼怒川温泉への旅行、2日目は那須までドライブして、今年6月にオープンしたばかりの藤城清治美術館へ行ってきました。日本が誇る影絵作家の、光と夢の空間です。Little LoveFujishiro Seijiまずはお気に入りの作品「小さな恋」から。猫の立会人をあいだに挟んで、幼い2人は結婚式のまねごとをしているんでしょうか。スズランやチューリップ、パンジーなどがかわいらしく咲き、チョウチョやテントウムシが祝福するかのように舞い、...
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竹久夢二「灯籠流し」

土日は鬼怒川温泉へ家族旅行。行きはぼくだけ別行動だったので、宿へ行く前に日光竹久夢二美術館に寄ってみました。Ceremony in Which Paper Lanterns Are Floated down a RiverTakehisa Yumejiこちらは竹久夢二の「京都十二景」より、「灯籠流し」という作品。子どもを連れて立っている女性の後ろ姿に女の気持ちのすべてがあらわされていることに衝撃を受け、美術館の館長は夢二の作品を収集するようになったのだそうです。線が細...
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ギヨメ「サハラ砂漠」

もう、無理(;´Д`)Sahara(1867)Gustave Guillaumet暑いの苦手なんです。ギヨメの絵みたいに、ひからびて骨になりそう。暑い→ 汗かく→ 喉かわく→ ビール飲む→ 酔っぱらう→ バタンキューなわけで当分こんな生活が続くのかと思うとねぇ。汗かいたぶんだけビールが美味しいっていうのはありますけど。さて、そんななか明日から温泉旅行なのです。この暑いさなかに温泉ですよ(笑)両親と姉夫婦と、鬼怒川まで。おとなになってからこ...
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シモン・ヴーエ「富のアレゴリー」

左側のクピドが高々と掲げるのはきらびやかな宝石類。有翼の女性はどこか蔑むような表情でもうひとりの幼子を抱き寄せています。シモン・ヴーエ「富のアレゴリー」。お金じゃないのよ人生は、という作品なわけです。Allegory of Wealth(1630-35)Simon Vouetお金に対する執着が人一倍薄いせいか、これまで貯金とか投資とかほとんど意識したことがなくてお給料は本とお酒に消えていくわけです。さすがに30過ぎるといろいろ考えてし...
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川合玉堂「水声雨声」

川合玉堂の“雨”のとりこになったのは、この作品がきっかけでした。山種美術館所蔵、「水声雨声」。縦長の画面いっぱいに、水の音が響き渡る一枚です。The Sounds of Water and Rain(c.1951)Kawai Gyokudo降りしきる雨の向こうには樹木が影のように薄らぎその手前では雨水が筧を勢いよく走り、水車をまわしています。傘をさして歩く農婦が2人、その色彩が画面に花を添えています。篠突く雨が枝葉を揺らす音、ザーッと筧を走る音、...
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井上安治「東京真画名所図解 銀座通夜景」

最後の浮世絵師とも呼ばれ、明治の光と影を木版画に閉じ込めた小林清親。彼には井上安治という、若い弟子がいました。齢26で没した、夭逝の天才画家です。Night View of Ginza Dori(1882-87)Inoue Yasuji清親と安治の出会いは明治11年の雪の日。綾瀬川の土手でスケッチをしていた清親を安治は2時間あまりもじっと見続け、その熱心さに清親が声をかけたのが始まりでした。以来、安治は師風を学び、またたく間に頭角をあらわします...
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小林清親「御茶水蛍」

夜の神田川に浮かぶ無数の光。昔はお茶の水にも蛍がいたんですねぇ。屋形船のあかりもまた、詩情を誘います。小林清親「御茶水蛍」。身長2m近くの寡黙な男が描いたのは、杉浦日向子の表現を借りるなら「今にも泣き出しそうな東京の姿」でした。Fireflies at OchanomizuKobayashi Kiyochika気がつけばもう8月。蛍の季節はとうに過ぎてしまいました。まだ蛍を見たことがないと言っていたから、いつかこの果敢ない火群を見せてあげた...
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