
海北友松「浜松図屏風」
海北友松。何と読むのか毎度迷いますが、「うみきた ともまつ」ではなく、「かいほう ゆうしょう」が正解。武士として生まれ、父の戦死をきっかけに禅門に入り、やがて狩野永徳に学んだとされています。ちなみに山本兼一の小説「花鳥の夢」でも永徳の弟子として登場しますが、こちらでは「ともまつ」となっていました。個人的にも「ともまつ」のほうがいいなぁ、なんて思ったり。 Hamamatsu Byobu(1605)Kaiho Yushoこの海北...

ドニ「彼女は夢よりも美しかった」
ようやく仕事が落ち着いてきて、日中時間があいてしまったので三菱一号館美術館へ。所蔵品展ということでそれほど期待はしていなかったんですが、思いもよらぬ出会いがありました。大好きなモーリス・ドニの作品です。She was More Beautiful Than Dreams(1898)Maurice Denisモーリス・ドニの連作「アムール」より、「彼女は夢よりも美しかった」。朝靄につつまれたような淡い色彩は夢から覚めたばかりの世界を思わせます。そこ...

国宝・志野茶碗「卯花墻」
昨日(日曜)も結局仕事だったんですが、さすがにそろそろリフレッシュしないとまずいなーと思い午前中、えいやっと美術館に行ってきました。約20日ぶりの鑑賞ということで、選んだのは三井記念美術館。お目当ては国宝「卯花墻」です。画像だとなんだか渋くて朴訥とした印象ですが、実物は全然ちがうのですよ。志野焼ならではの白い肌は光を受けてしっとりと輝き、火照ったような発色がなんとも艶かしくて。歪な造型もまた、快楽に...

マティス「コリウールのフランス窓」
昨日ご紹介した、マティスの「コリウールの開かれた窓」。この9年後に、マティスはよく似た題名の作品を発表しています。窓は同じように開いているけど、その先に広がるものは……。French Window at Collioure (1914)Henri Matisseアンリ・マティス「コリウールのフランス窓」。マティスらしからぬ静寂と寂寥感をたたえた、垂直の色面のみで構成された抽象絵画のような作品です。窓の向こうに広がるのは青く澄んだ地中海ではなく...

マティス「コリウールの開かれた窓」
ちょっと手を休めて、窓の外の美しさを眺めよう。そこに世界がある。——楽しもう。今夜外へ出て、星空を眺めよう。それは大自然の驚異だ。(デール・カーネギー)Open Window Collioure(1905)Henri Matisseこちらはアンリ・マティスの「コリウールの開かれた窓」。地中海に面したフランスの町で、マティスは窓をモチーフにした作品をいくつか残しています。窓辺に悲しくもたれたムンクとは違って、マティスが描く窓は光にあふれ、...

ムンク「サン・クルーのセーヌ川」
この速度でいいのかと自問することもあるけれど、いつか教えてもらったとおりときどき立ち止まりながらゆっくり歩いています。The Seine at St. Cloud(1890)Edvard Munchつれない世路を僕は歩いていました、痛々しいほど不安な気持で。親切なあなたの手が、道しるべになってくれました。青ざめてほんのりと遠い地平に夜あけの希望がほの見えていました。あなたのまなざしが朝でした。自分の高鳴る足音以外旅人を鼓舞するものとて...

竹田春信「達磨遊女異装図」
達磨さんと遊女が着物を取り替えっこ。プライスコレクション展に出ていた、竹田春信の「達磨遊女異装図」という作品です。達磨は壁に向かって9年間座禅をしたというけど、遊女が一人前になるには10年かかるんだよ、というのをユーモラスに表現しているんだそうで。Daruma and Courtesan Trade Robes(18th century)Takeda Harunobu気がつけば自分も、今の会社に入社して9年になりました。十年一剣を磨くってことで、あと1年がんば...

ルソー「ジェニエ爺さんの馬車」
The Carriage of Père Junier(1908)Henri Rousseauここのところ馬車馬のように働いておりまして、ブログの更新が滞っております。竹内栖鳳展とか、興福寺仏頭展とか、早く紹介しなきゃと思いつつ…。今月はしばらくバタバタしそうでございます。美術館行きたいな。。今日も明日もがんばろう。 ...
バーネット・ニューマン「アンナの光」
それはただの赤い壁面なのに、両脇に白い帯を配しただけなのに、作品の前に立った時、えも言われぬ幸福感に包まれたのでした。はじめて見たのは去年の5月、ツツジの咲く季節。初夏の陽ざしが室内に差し込み、そのなかで見たバーネット・ニューマンの「アンナの光」は神々しいほどに輝いて見えました。この作品の素晴らしさは、あの空間に身を置いた者にしか分からないはずです。もう見ることがかなわないのが、残念で仕方ありませ...

仙がい「指月布袋画賛」
それは布袋が天を指差し、子供が嬉しそうにその指を見つめている様子が、ポンチ絵のような単純な線で描かれたものだった。(中略)『指月布袋画賛』と呼ばれる絵は、後に仙がいの代表作として世に知られることになる。禅宗の教えでは「月」とは悟りのことで、それを示す「指」は経典である。そのころの鐵造はそんなものは知らなかったが、その絵に魅了され、晩年にいたるまで仙がいを追い求めることになる。(百田尚樹「海賊とよば...
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