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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

レイトン「母と子(さくらんぼ)

主題のない絵。芸術のための芸術。これもまた、そんな絵なのだそうです。フレデリック・レイトン「母と子(さくらんぼ)」。ただただ美しい、母娘の語らいです。Mother and Child(Cherries) 1864-65Frederic Leighton優美な絨毯やはちきれんばかりに咲く百合の花、そして鶴が描かれた日本の屏風などこの部屋は美しい装飾で満ちあふれています。一方、母娘の衣装は至極シンプルで白とピンクの色合いが実にやわらかな印象を与えま...
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酒井抱一「月梅図」

しんと静まりかえった夜のさなかでしのびやかに香る白梅と紅梅。その向こうにはふうわりと満月が浮かびます。酒井抱一「月梅図」。この光景は、夢かうつつか……。Moon and Plum BlossomsSakai Hoitsu今日は仕事の合間に皇居で梅を見てきました。早咲きの梅はすでに満開で、これから中咲きの品種が見頃を迎えるようです。2月も終わりに近づいて心地よい陽気になってきましたが皇居の敷地内にはまだ雪が残っていて春浅く、鮮やかな梅...
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ムンク「接吻」と「光に向って」

国立西洋美術館で開催中の「モネ、風景をみる眼」という展覧会では印象派の光と色彩を存分に味わえるのですが、常設では一転、モノクロームの世界が広がります。画家の名はエドヴァルド・ムンク。生誕150周年を記念した版画展です。The Kiss(1895)Edvard Munchこちらはムンク「接吻」。同様のモチーフの作品をムンクは数多く残していますが、そのなかでもこの版画は凄艶で、刹那的で、じっと見ていると胸が苦しくなってくるほど...
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鈴木其一「朝顔図」

同じ色の朝顔の花群は人間の連のようにも見えて、どこでどう繋がっているのか、渦巻きながらそこここで蔓の先が躍動している。にぎやかで明るく、ゆったりとして優しく、それでいて痛さを覚えるのは傷口に沁みるような色彩のせいであろう。溢れ出る言葉は其一を喜ばせて、顔をあげると彼の目も笑っていた。(乙川優三郎「麗しき花実」より)Morning GloriesSuzuki Kiitsu輝くような金色は、朝の光でしょうか。そのなかに渦巻く群青...
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川合玉堂「猫」

2月22日はニャンニャンニャン、つまり猫の日。一日遅くなってしまいましたが、猫の絵をどうぞ。Cat(c.1951)Kawai Gyokudo川合玉堂「猫」。いたずらそうな表情がまた愛らしいですねぇ。あぁ、モフモフしたい……。亜麻いろと栗いろのその毛並から、甘やかな匂いが立って、或る晩なぞは、一度だけ、ただ一度だけ、撫っただけで僕までが移り香に匂ったほどだ。こ奴わが家の守り本尊、その支配下の一切を、批判し、差配し、感化する妖...
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正井和行「流水」

ひとつのながれあるごとし、いづくにか 空にかかりてかる、る、とながるらしき(八木重吉「ひとつの ながれ」)本日の一枚は、正井和行の「流水」という作品。この静かで清明な世界には八木重吉の詩が合うなぁと思いました。素朴な美しさのなかに、どこか物悲しさが漂っている。ひとつのながれは月の光をたよりに、果てることなくつづくのでしょう。ちょうどこの記事を書いている途中で、浅田真央がフリープログラムで素晴らしい...
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小野竹喬「冬日帖」

冬の日 しづかに泪をながしぬ泪をながせば山のかたちさへ冴え冴えと澄み空はさ青に小さき雲の流れたり音もなく人はみなたつきのかたにいそしむをわれが上にもよきいとなみのあれかしとかくは願ひわが泪ひとりぬぐはれぬ今は世におしなべていちじるしきものなく——(三好達治「冬の日」)今日も明日もがんばろう。  ...
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川端龍子「百子図」

か、か、かわいい (*´д`*)Children Playing with an Elephant(1949)Kawabata Ryushi川端龍子「百子図」。終戦後、「象を見たい」と東京の子どもたちがインドに手紙を送ったところ、昭和24年にインドから贈られてきたというインド象のインディラを描いた作品。やんちゃそうな象を取り囲む女の子たちが何ともいえず可愛いんですよねぇ。踊りをおどったりスケッチしたり、象の背中に乗ったり。こんな絵も描いていたのかと意外な気...
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歌川国芳「新板子供遊び之内 雪あそび」

先週に引き続き、ものすごい雪でした。歌川国芳「新板子供遊び之内 雪あそび」。江戸時代にも雪だるまはあったようで、当時はまさにダルマの形をしていたんですねぇ。ぼくも子どものころは雪だるまをつくったり雪合戦したり意味もなくテンションが上がってハッスルしてましたが、今はもう寒いのが苦手で。。今日はもう、ひたすら引きこもってました。来週は晴れてくれるといいなぁ。せっかく自転車を買ったので、遠出したいし。お...
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モネ「エトルタの夕焼け」

丘々は、胸に手を當て退けり。落陽は、慈愛の色の金のいろ。(中原中也「夕照」より)Sunset at Étretat(1885)Claude Monetクロード・モネ「エトルタの夕焼け」。国立西洋美術館の「モネ、風景をみる眼」という展覧会で一番印象に残ったモネの作品がこちらでした。オレンジ色の夕焼けと、青い海とが響き合い夜の前の許されたひとときを美しく染めていく。あるじのいない3艘の舟は打ち寄せる波に揺られ、潮騒にまじって船板がきし...
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シャヴァンヌ「貧しき漁夫」とピカソ「海辺の母子像」

国立西洋美術館の「モネ、風景をみる眼」を見てきました。ポーラ美術館との共同企画で、モネの作品35点を中心に、両館が誇る名品を展示するというもの。なので見たことのある作品がかなり多かったのですが、そこをどう見せるかが美術館側の腕の見せ所。たとえばこの並びには、思わずハッとさせられました。 ピュビス・ド・シャヴァンヌ「貧しき漁夫」とパブロ・ピカソ「海辺の母子像」。どちらも好きな作品だったんですが、これら...
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モロー「ヘロデの前で踊るサロメ」

手にした白い蓮は快楽、影のように伏せる黒豹は淫蕩のしるし。ヘロデ王の前で踊ったサロメは、褒美としてヨハネの首を所望します。ギュスターヴ・モロー「ヘロデの前で踊るサロメ」。新約聖書のエピソードに独自の解釈を加えた、悲劇の前の一幕です。Salome Dancing Before Herod(1876)Gustave Moreau平松洋の「名画 絶世の美女 魔性」という本を読んだんですが、書籍で紹介されていたルネッサンスから19世紀後半まで数多の有名...
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ウォーターハウス「魔法の庭 — ボッカッチョの物語より」

雪降り積もる真冬の庭に、色鮮やかな5月の花を。The Enchanted Garden(1916-17)John William Waterhouseウォーターハウス「魔法の庭 — ボッカッチョの物語より」。未完の遺作となったこの作品は、ボッカッチョの「デカメロン」を題材として描かれました。14世紀中頃、ペストの猛威から逃れるために邸宅にこもった男女10人が、1人10話ずつ、計100の物語を披露しあって退屈をしのぐというもの。ウォーターハウスが描いたのはその10...
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ロセッティ「愛の杯」

ラファエル前派の実質的な活動期間は、わずか5年程度。中心人物のミレイは体制側ともいえるアカデミーの会員となり、ハントは宗教画を研究するため中東へ。そしてロセッティは……「いま円卓全部が崩壊した」と騎士たちの終焉を妹への手紙に記し、新たな道を模索しはじめます。The Loving Cup(1867)Dante Gabriel Rossettiダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「愛の杯」。ハートをあしらった杯は、恋人同士で酌み交わすラヴィング・...
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ロセッティ「プロセルピナ」

右を見ても左を見ても、ロセッティ。ロセッティ描く美女たちが、円形の部屋を囲むのです。彼の理想を、追憶を、夢を宿した女性たちに心を揺さぶられるひとときでした。Proserpine(1874)Dante Gabriel Rossettiダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「プロセルピナ」。森アーツセンターギャラリーの「ラファエル前派展」で、チラシや図録などのメインビジュアルとして使用されている作品です。プロセルピナはギリシャ神話におけるペル...
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ジョン・ブレット「ローゼンラウイ氷河」

森アーツセンターギャラリーの「ラファエル前派展」、見どころがたくさんあって困ってしまうくらいだったんですが作品の善し悪しは別として、特に興味深かったのは「風景」のコーナーでした。そうか、ラファエル前派も風景画を描いていたんだなぁと。なかでもこの作品の存在感は際立っていました。Glacier of Rosenlaui(1856)John Brettジョン・ブレット「ローゼンラウイ氷河」。氷河の描き方はあまりいいと感じなかったのですが...
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