
レイトン「母と子(さくらんぼ)
主題のない絵。芸術のための芸術。これもまた、そんな絵なのだそうです。フレデリック・レイトン「母と子(さくらんぼ)」。ただただ美しい、母娘の語らいです。Mother and Child(Cherries) 1864-65Frederic Leighton優美な絨毯やはちきれんばかりに咲く百合の花、そして鶴が描かれた日本の屏風などこの部屋は美しい装飾で満ちあふれています。一方、母娘の衣装は至極シンプルで白とピンクの色合いが実にやわらかな印象を与えま...

ムンク「接吻」と「光に向って」
国立西洋美術館で開催中の「モネ、風景をみる眼」という展覧会では印象派の光と色彩を存分に味わえるのですが、常設では一転、モノクロームの世界が広がります。画家の名はエドヴァルド・ムンク。生誕150周年を記念した版画展です。The Kiss(1895)Edvard Munchこちらはムンク「接吻」。同様のモチーフの作品をムンクは数多く残していますが、そのなかでもこの版画は凄艶で、刹那的で、じっと見ていると胸が苦しくなってくるほど...

歌川国芳「新板子供遊び之内 雪あそび」
先週に引き続き、ものすごい雪でした。歌川国芳「新板子供遊び之内 雪あそび」。江戸時代にも雪だるまはあったようで、当時はまさにダルマの形をしていたんですねぇ。ぼくも子どものころは雪だるまをつくったり雪合戦したり意味もなくテンションが上がってハッスルしてましたが、今はもう寒いのが苦手で。。今日はもう、ひたすら引きこもってました。来週は晴れてくれるといいなぁ。せっかく自転車を買ったので、遠出したいし。お...

モネ「エトルタの夕焼け」
丘々は、胸に手を當て退けり。落陽は、慈愛の色の金のいろ。(中原中也「夕照」より)Sunset at Étretat(1885)Claude Monetクロード・モネ「エトルタの夕焼け」。国立西洋美術館の「モネ、風景をみる眼」という展覧会で一番印象に残ったモネの作品がこちらでした。オレンジ色の夕焼けと、青い海とが響き合い夜の前の許されたひとときを美しく染めていく。あるじのいない3艘の舟は打ち寄せる波に揺られ、潮騒にまじって船板がきし...

シャヴァンヌ「貧しき漁夫」とピカソ「海辺の母子像」
国立西洋美術館の「モネ、風景をみる眼」を見てきました。ポーラ美術館との共同企画で、モネの作品35点を中心に、両館が誇る名品を展示するというもの。なので見たことのある作品がかなり多かったのですが、そこをどう見せるかが美術館側の腕の見せ所。たとえばこの並びには、思わずハッとさせられました。 ピュビス・ド・シャヴァンヌ「貧しき漁夫」とパブロ・ピカソ「海辺の母子像」。どちらも好きな作品だったんですが、これら...

モロー「ヘロデの前で踊るサロメ」
手にした白い蓮は快楽、影のように伏せる黒豹は淫蕩のしるし。ヘロデ王の前で踊ったサロメは、褒美としてヨハネの首を所望します。ギュスターヴ・モロー「ヘロデの前で踊るサロメ」。新約聖書のエピソードに独自の解釈を加えた、悲劇の前の一幕です。Salome Dancing Before Herod(1876)Gustave Moreau平松洋の「名画 絶世の美女 魔性」という本を読んだんですが、書籍で紹介されていたルネッサンスから19世紀後半まで数多の有名...

ウォーターハウス「魔法の庭 — ボッカッチョの物語より」
雪降り積もる真冬の庭に、色鮮やかな5月の花を。The Enchanted Garden(1916-17)John William Waterhouseウォーターハウス「魔法の庭 — ボッカッチョの物語より」。未完の遺作となったこの作品は、ボッカッチョの「デカメロン」を題材として描かれました。14世紀中頃、ペストの猛威から逃れるために邸宅にこもった男女10人が、1人10話ずつ、計100の物語を披露しあって退屈をしのぐというもの。ウォーターハウスが描いたのはその10...

ロセッティ「愛の杯」
ラファエル前派の実質的な活動期間は、わずか5年程度。中心人物のミレイは体制側ともいえるアカデミーの会員となり、ハントは宗教画を研究するため中東へ。そしてロセッティは……「いま円卓全部が崩壊した」と騎士たちの終焉を妹への手紙に記し、新たな道を模索しはじめます。The Loving Cup(1867)Dante Gabriel Rossettiダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「愛の杯」。ハートをあしらった杯は、恋人同士で酌み交わすラヴィング・...

ロセッティ「プロセルピナ」
右を見ても左を見ても、ロセッティ。ロセッティ描く美女たちが、円形の部屋を囲むのです。彼の理想を、追憶を、夢を宿した女性たちに心を揺さぶられるひとときでした。Proserpine(1874)Dante Gabriel Rossettiダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「プロセルピナ」。森アーツセンターギャラリーの「ラファエル前派展」で、チラシや図録などのメインビジュアルとして使用されている作品です。プロセルピナはギリシャ神話におけるペル...

ジョン・ブレット「ローゼンラウイ氷河」
森アーツセンターギャラリーの「ラファエル前派展」、見どころがたくさんあって困ってしまうくらいだったんですが作品の善し悪しは別として、特に興味深かったのは「風景」のコーナーでした。そうか、ラファエル前派も風景画を描いていたんだなぁと。なかでもこの作品の存在感は際立っていました。Glacier of Rosenlaui(1856)John Brettジョン・ブレット「ローゼンラウイ氷河」。氷河の描き方はあまりいいと感じなかったのですが...
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