足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

東山魁夷「秋翳」

夏が終わり、もうじき秋がやってきます。山並みは赤く染まり、青い時代はすぎていく。東山魁夷「秋翳」。紅葉は薄曇りの空をもほんのりと染上げます。青を得意とした画家による、静かに燃える世界です。Autumn Shade(1958)HIgashiyama Kaii今年もまた、宮本輝の「錦繍」を読みました。これまで何度も繰り返し、これからも何度も繰り返し読むのだと思います。「お前は優しい子やから、きっとしあわせになる」。そうであってほしい...
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ロバート・ヒューズ「ワルキューレの祈り」

ひさしぶりに、のんびりと静かな夜を過ごしております。The Valkyrie's Vigil(before 1915)Edward Robert Hughesこちらはロバート・ヒューズ「ワルキューレの祈り」。「ヴァルキリーの不寝番」とも呼ばれる作品です。月はしめやかに光をささげ、女神は眠ることなく世界を見下ろしている。誰かを待つように、さびしげな表情で。そして夜は青く、ただただ青く静かです。いつまでもこの時が続きそうな気がするし、いっそ朝が来なく...
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島成園「化粧」

ホテルニューオータニでは毎年この時期、アートコレクション展という展覧会を開催しています。今年は20回目の記念特別展、「日本の美を極める」というもの。四季、花鳥、風情の3コーナーに分けて近代絵画の名品を惜しみなく展示する素晴らしい内容でした。Make-up(1915)Shima Seien会場で一番ぐっときたのがこちら。島成園の「化粧」という作品です。京都の上村松園、東京の池田蕉園とならび、大阪の島成園もまた美人画を得意と...
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アルフォンス・オスベール「月光の夢」

恋しさは おなじ心に あらずとも 今宵の月を 君見ざらめやめがねをかけずに夜の街をぼんやり歩いていたら下弦の月がずいぶんにじんで見えました。前より眼がわるくなったのか、それとも月が遠ざかってしまったのか。そちらでは、月はどんなふうに見えているんだろう。元気でいてくれたらいいなぁと、ただただ思うばかりです。今日も明日もがんばろう。  ...
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鈴木春信「清水の舞台より飛ぶ美人」

空からおちてくる美少女というと「天空の城ラピュタ」のシータなんでしょうけど、今から250年も前に描かれたこの作品もすごいのです。見よ、この躍動感!鈴木春信「清水の舞台より飛ぶ美人」。傘を頼りにえいやっと、約13mの高台から飛び降りた美女の勇姿です。異色中の異色、奇想そのものではございませんか。春信お得意の少女らしさ・あどけなさを残しつつも、恋よ叶えと意を決し、危険と引き換えに大人の階段を上ろうとする健気...
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クラムスコイ「森の子どもたち」

夏の日は原っぱを駆け回り草いきれから逃げて逃げて気がつけば森の中。気分は探検隊で、木漏れ日はオアシスで。そんな一頃を思い出す作品です。ロシアの偉大なる画家、イワン・クラムスコイの「森の子どもたち」。こんな時代が確かにあったなぁ。Children in the forest(1887)Ivan Kramskoyネズミモチはスプーンの実。オシロイバナはチョークの実。朝顔の絞り汁は手品のたねで、シロツメクサは首ちょんぱ。枯れたヒマワリはお化...
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ゴッドワード「涼しい隠れ家」

台風の影響で土日はあいにくの雨模様でした。そんなときは家でゴロゴロするに限るぞと。のび太君ばりに一生懸命のんびりいたしました。Cool Retreat(1910)John William Godwardジョン・ウィリアム・ゴッドワード「涼しい隠れ家」。「甘美な無為」に良く似た雰囲気の作品で、大理石の肌合い、衣服の質感は本作でも際立っています。見てるだけで涼しい気持ちになってしまいますね。当時のイギリスは産業革命による激変のまっただな...
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ソールベリ「北の花咲く野原」

私たちはよいの明星と初霧を待とう。神さまのしろしめす広い庭で私たちは喜んで咲き、しぼもう。(ヘルマン・ヘッセ「回想」より)Flower Meadow in the North(1905)Harald Sohlbergこちらはハロルド・ソールベリの「北の花咲く野原」という作品です。画面の下半分に広がるのは、真っ白に咲き乱れるヒナギク。地平に浮かぶのは満月……ではなく太陽でしょうか。澄んだ川や赤い家屋をこえて、その光は花々を、あたかも絨毯のように...
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カラヴァッジョ「果物籠」

仕事で果物の原稿を書きながら、なんとなくこの作品を思い浮かべていました。カラヴァッジョ「果物籠」。400年以上も前に描かれた、静物画の頂点。Basket of Fruit(c.1599)Michelangelo Merisi da Caravaggioみずみずしく艶めいた果実だけでなく、朽ちた葉や腐りゆく果実までも描かれています。破滅的な人生をおくったカラヴァッジョは、命の輝きだけでなく死の影をも描かずにはいられなかったのでしょうか。画像を見てたらなん...
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曾我蕭白「石橋図」

幅30cm、長さは約30m。元祖・カイジの鉄骨渡りです。ざわざわ…Lions at Stone Bridge(1779)Soga Shohaku曾我蕭白「石橋図」。謡曲の「石橋」にちなんだもので、画面上部の細くて長い橋をわたると文殊菩薩のいる清涼山に行けるということで獅子たちが殺到しているのです。獅子は我が子を千尋の谷に落す、というのもここから来ているみたいで、それにしたって子獅子が多すぎるんじゃないかと(笑)せり出した岩場から下をのぞいて...
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奥村土牛「鳴門」

恵比寿の山種美術館は駅から少し歩かなければいけないのが難ですが、歩いたぶんだけ素敵な作品が見られるのはご承知のとおり。現在は「水の音 —広重から千住博まで—」というこれまた涼しげなタイトルの展覧会をやっております。額に浮いた汗がさーっとひいていく、美しき水の世界。Maelstroms at Naruto(1959)Okumura Togyu会場でまず眼に飛び込んでくるのが、山種コレクションを代表する奥村土牛の「鳴門」という作品です。群...
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クチャルスキー「マリー・アントワネットの肖像」

フランス国王ルイ16世の王妃、マリー・アントワネット。革命によって断頭台の露と消えた悲劇のヒロインとして知られていますがその印象は享楽的、無知、勝手気ままなどなど否定的なものが多いかもしれません。でも実際には、誇り高くウィットに富んだ愛らしい女性でフランス王妃にふさわしい人格と容姿であったそうです。ただしそれは、彼女が王冠を失いかけたころから。夫とともに革命の渦にのまれ、安寧を失うことで彼女は自分の...
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イヴ・タンギー「恐れ」

悪意は天たかく積みあがり、丸裸の弱きものを容赦なく指差す、と。イヴ・タンギー「恐れ」。意図は分からずとも、考えさせられる一枚です。Fear(1949)Yves Tanguyシュテファン・ツヴァイクの伝記小説「マリー・アントワネット」を読みまして、翻訳が中野京子氏ということもあって非常に読みやすく感銘をうけてその感想はまた別の機会に書きたいと思うんですが、ふと感じたことは民衆の悪意また悪意嘲笑や怨嗟が一人の人間を追い...
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