
鏑木清方「朝夕安居」
前回、葛飾応為の美人画の話をしましたがこうした浮世絵師の流れを汲み、明治〜昭和にかけて美人画の名手として活躍したのが鏑木清方です。彼が理想とした「江戸の風情」をテーマとした展覧会が千葉市美術館で開かれています。こちらは晩年の代表作「朝夕安居」(一部)。「そこにとりあげたのは明治二十年頃の世の姿で、 場所は東京の下町、海に近い京橋区築地あたりの朝に始まって 八丁堀界隈の夜までの風物詩なのである」とのこ...

葛飾応為「三曲合奏図」
美人画にかけては応為にはかなわない。彼女は妙々と描き、よく画法に適っている。——稀代の浮世絵師・葛飾北斎をしてこのように言わしめた葛飾応為の作品が、ボストンから上野へ里帰りしております。Three Women Playing Musical Instruments(1844-48)Katsushika Oi葛飾応為「三曲合奏図」。琴を弾く女性は後ろ向きで蝶をあしらった豪奢な着物。その左手で胡弓を弾く女性は、正面向きでやや控えめな着物。そして右側の三味線の女...

映画「大いなる沈黙へ」
映画「大いなる沈黙へ」を見てきました。フランスで最も厳格であるという、アルプス山脈のグランド・シャルトルーズ修道院の生活に迫ったドキュメンタリー。そこに描かれていたのは、ただただ美しい光と静けさでした。監督のフィリップ・グレーニングが修道院に撮影を申し込んだのは1984年。許可が下りたのはそれから16年後、しかもBGMやナレーションをつけず、撮影にあたっては照明を使わず、監督一人で撮影しなければならないと...

小田野直武「不忍池図」
朝に夕に君が便りを思い侘び残んの花の白きに揺れる小田野直武「不忍池図」。手前に描かれているのは、2本の芍薬です。褪せた色彩のなかで、花だけが美しく香っている。そこだけ時間が止まってしまったような、そんな一枚です。昨日はあいにくの天気だったけど中秋の名月で、今日はスーパームーンだそうです。さっき夜空を見上げたら、雲間からのぞいた月が光をこぼしていました。こんな夜には、願いがかなえばと思わずにはいられ...

マッテオ・コルコス「別れ」
Do you hear me, I'm talking to youAcross the water across the deep blue oceanUnder the open sky, oh my, baby I'm tryingBoy I hear you in my dreamsI feel your whisper across the seaI keep you with me in my heartYou make it easier when life gets hardFarewellVittorio Matteo Corcosヴィットリオ・マッテオ・コルコス「別れ」。損保ジャパン日本興亜美術館の「ノルマンディー展」で展示されていた作品です。たたん...

ヘッセ「テッスィーンの山村」
暮れ方の斜めに射す金色の光の中にひと群れの家が静かに輝いているみごとな深い色に染まって花と咲く彼らの団欒の夕べは まるで祈りのようだひとつひとつの家が親密に寄り添い兄弟のように丘の斜面に並んでいる素朴でなつかしい まるでひとつの歌のように習わないのに誰でもうたえる歌のように石壁と 漆喰壁と かしいだ屋根と貧しさと誇りと 衰退と幸福とがやさしく おだやかに そして深く夕空にその輝きを照り返す(ヘルマ...
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