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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

菱田春草「黒猫」

狩野派の末裔である橋本雅邦に学び、岡倉天心のもと横山大観らとともに「朦朧体」という新たな空気表現に挑み近代日本画の革新を成し遂げた重要人物、菱田春草。彼の生誕140年を記念する「菱田春草展」が、東京国立近代美術館で開かれています。Black Cat(1910)Hishida Shunso菱田春草と言えば、朦朧体を経てたどり着いた装飾的な「落葉」の連作や後世の画家にも大きな影響を与えた猫の連作。上にあげた作品は1910年の「黒猫」(...
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鏑木清方「朝夕安居」

前回、葛飾応為の美人画の話をしましたがこうした浮世絵師の流れを汲み、明治〜昭和にかけて美人画の名手として活躍したのが鏑木清方です。彼が理想とした「江戸の風情」をテーマとした展覧会が千葉市美術館で開かれています。こちらは晩年の代表作「朝夕安居」(一部)。「そこにとりあげたのは明治二十年頃の世の姿で、 場所は東京の下町、海に近い京橋区築地あたりの朝に始まって 八丁堀界隈の夜までの風物詩なのである」とのこ...
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葛飾応為「三曲合奏図」

美人画にかけては応為にはかなわない。彼女は妙々と描き、よく画法に適っている。——稀代の浮世絵師・葛飾北斎をしてこのように言わしめた葛飾応為の作品が、ボストンから上野へ里帰りしております。Three Women Playing Musical Instruments(1844-48)Katsushika Oi葛飾応為「三曲合奏図」。琴を弾く女性は後ろ向きで蝶をあしらった豪奢な着物。その左手で胡弓を弾く女性は、正面向きでやや控えめな着物。そして右側の三味線の女...
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葛飾北斎「百合」

上野の森美術館で「ボストン美術館浮世絵名品展 北斎」が開催されています。ボストンからはるばるやってきた、葛飾北斎の作品140点あまり。有名な「富嶽三十六景」や「諸国瀧巡り」のほか、最初期の作品や肉筆画、そして娘の応為の作品も。日本が世界に誇る浮世絵師の全貌を知ることが出来るまたとない機会です。Lilies(1833-34)Katsushika Hokusaiこちらは葛飾北斎「百合」。描かれたのは1830年代で「富嶽三十六景」の少し後、...
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映画「大いなる沈黙へ」

映画「大いなる沈黙へ」を見てきました。フランスで最も厳格であるという、アルプス山脈のグランド・シャルトルーズ修道院の生活に迫ったドキュメンタリー。そこに描かれていたのは、ただただ美しい光と静けさでした。監督のフィリップ・グレーニングが修道院に撮影を申し込んだのは1984年。許可が下りたのはそれから16年後、しかもBGMやナレーションをつけず、撮影にあたっては照明を使わず、監督一人で撮影しなければならないと...
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小田野直武「不忍池図」

朝に夕に君が便りを思い侘び残んの花の白きに揺れる小田野直武「不忍池図」。手前に描かれているのは、2本の芍薬です。褪せた色彩のなかで、花だけが美しく香っている。そこだけ時間が止まってしまったような、そんな一枚です。昨日はあいにくの天気だったけど中秋の名月で、今日はスーパームーンだそうです。さっき夜空を見上げたら、雲間からのぞいた月が光をこぼしていました。こんな夜には、願いがかなえばと思わずにはいられ...
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マッテオ・コルコス「別れ」

Do you hear me, I'm talking to youAcross the water across the deep blue oceanUnder the open sky, oh my, baby I'm tryingBoy I hear you in my dreamsI feel your whisper across the seaI keep you with me in my heartYou make it easier when life gets hardFarewellVittorio Matteo Corcosヴィットリオ・マッテオ・コルコス「別れ」。損保ジャパン日本興亜美術館の「ノルマンディー展」で展示されていた作品です。たたん...
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竹内栖鳳「海幸」

私は、鯛の刺身が大好きだ。鯛の腹のあたりの、すこし脂が乗っているところを、あまり厚くない刺身にして、ワサビも何もなしに、生醤油だけで食べる。これに、すこし濃目の煎茶へ塩をひとつまみ落したのを吸物がわりにして、たきたての飯を食べられたら何もいうことはない。(池波正太郎「散歩のとき何か食べたくなって」より)Marine Products(1942)Takeuchi Seiho鯛。食べたいですねぇ。画像は竹内栖鳳の「海幸」。これまた何...
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ヘッセ「テッスィーンの山村」

暮れ方の斜めに射す金色の光の中にひと群れの家が静かに輝いているみごとな深い色に染まって花と咲く彼らの団欒の夕べは まるで祈りのようだひとつひとつの家が親密に寄り添い兄弟のように丘の斜面に並んでいる素朴でなつかしい まるでひとつの歌のように習わないのに誰でもうたえる歌のように石壁と 漆喰壁と かしいだ屋根と貧しさと誇りと 衰退と幸福とがやさしく おだやかに そして深く夕空にその輝きを照り返す(ヘルマ...
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