足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

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サデレール「フランドルの雪景色」

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ブリューゲル?
いやいや、違うのです。僕も思わず目を疑ったけれど・・・。
こちらは「アントワープ王立美術館コレクション展」で展示されていた、
ヴァレリウス・デ・サデレールの「フランドルの雪景色」という作品。
確かによく見ると、ブリューゲルとは明らかに異なるのです。


フランドルの冬景色
Snow in Flanders(1928)
Valerius De Saedeleer




たとえば絵画の視点。
ブリューゲル作品は遥かな高みから大地を見下ろす俯瞰的な構図が多く、
一方本作では視点はもっと低く、
そして地平線に向けられていることが分かります。
それゆえ画面の半分以上を空が占めており、
暗く重厚な空と静かに顔をのぞかせる太陽が、
雪面の白さを際立たせています。


そしてもうひとつ、最大の相違は人物の有無。
ブリューゲルの作品といえば、微に入り細に入り
徹底的に描き込まれた人々の群れ。
それぞれに表情があり特徴があり、人間讃歌ともいえる賑やかさが特徴です。
讃歌と呼ぶにはあまりにも毒々しい作品も多いですが・・・。
一方、サデレールの作品には人っ子一人見当たらないのです。
空の暗さ、雪の冷たさはそのまま村の静寂につながり、
クノップフの「見捨てられた街」のような
どうしようもない寂しさが降り積もっていきます。
喜びも悲しみも、笑顔も恐怖も存在しない時間の止まった世界。
そこになぜか惹かれてしまうのは僕が疲れているからなんでしょうか?


サデレールは風景画を描くうえで、
実際にブリューゲルを手本にしていたそうです。
ただし、彼が理想としたのは時間を超越した風景。
ブリューゲルがありのままの農村風景を、
愚かしいほどの祭りの歓楽も、呪わしいほどの戦争の憎しみも
それこそ分け隔てなく描いたのに対して、
サデレールは人間を一切排除し、
永遠に風化しない世界を創り出そうとしたわけです。
一見ブリューゲルの模倣のように見えても、
実はまったく異なる世界観が広がっているんですね。
下の作品は、ブリューゲルの「冬景色」。

雪景色
Winter Landscape with a Bird Trap(1565)
Pieter Bruegel the Elder



「アントワープ王立美術館コレクション展」の公式サイトはこちら
展示は10月3日(日)までです。



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