モンドリアン「夕暮れの風車」
よくも悪くも、
たった1枚の作品によって
展覧会の印象が大きく変わってしまうことが
ままあるものです。
これもそんな1枚。
ピエト・モンドリアンの「夕暮れの風車」という作品です。
Windmill in the Evening(c.1917)
Piet Mondriaan
闇をのみこんで屹立する風車。
黒一色で形態を単純化し、
それだけに不穏な存在感がいや増します。
灰色の雲は空をまだらに覆い、
そのすきまから、頼りなくも満月が顔をのぞかせています。
まだ夕暮れ時だというのに……
これから夜が来たら、いったいどんなことになってしまうのか。
この作品は、損保ジャパン東郷青児美術館の
「オランダ・ハーグ派展」で展示されていました。
モンドリアンといえば三原色と直線がリズムを奏でる抽象画で知られていますが、
オランダ出身の彼はハーグ派の影響を受け、
風車をモチーフとした作品を多く描いていたそうです。
これを風景画と呼んでいいのか分かりませんが、
とにかくこの作品によって、「オランダ・ハーグ派展」の印象は
がらりと変わってしまいました。
美しい自然のなかに、ぽっかりと穴があいてしまったように。
その穴の鋭さゆえに、展覧会自体も心に強く刻まれました。
展覧会におけるこの作品の是非は置いておいて、
その凄まじいまでの存在感は一見の価値ありだと思います。
さて、あっという間にゴールデンウィークも終わってしまいました。
初日はひたすらロードバイクで走り回って、
4日から6日にかけては浜松の親戚のところにお邪魔していました。
甥っ子の初節句とのことで、ついでに静岡の美術館巡りも。
次回から、その模様をお届けしたいと思います。
今日も明日もがんばろう。
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