エリザベス・キース「藍と白」
暖簾、番傘、浴衣に作務衣。
藍に染まった夏の往来はとても涼しげで、
店頭に並んだ染め付けもまた
白と青とで涼を運びます。
よく見れば、北斎の「神奈川沖浪裏」も。
情緒溢れる大正時代の一コマです。
Blue and White(1925)
Elizabeth Keith
作品名は「藍と白」。
川瀬巴水や伊東深水で知られる渡邊木版の新版画で、
作者はスコットランド出身のエリザベス・キース。
外国人の作品とはとても思えない、見事な和情緒の世界です。
元々独学で水彩画を描いていたキースは
1915年に日本を訪れ、浮世絵の技法を学びます。
1919年に渡辺庄三郎と出会い、新版画の世界へ。
「藍と白」はその6年後の作品で、
昨年11月から千葉市美術館で開催されていた川瀬巴水展の際、
所蔵作品展の「渡邊版—新版画の精華」で展示されていました。
渡邊木版はキース以外にも外国人の作家を抱えており、
展覧会でも彼らの作品が並んでいましたが
キースの「藍と白」は群を抜いて日本的で、
けれど微かに西洋風のモダンが感じられる作品でした。
昨日今日とジメジメしたお天気だったので、
せめて爽やかな作品を……と思いまして。
もうじき鬱陶しい梅雨がやってまいりますが、
気温の変化でお体を壊さぬよう、くれぐれもご自愛くださいませ。
今日も明日もがんばろう。
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