足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

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マン・レイ「セルフ・ポートレイト、ハリウッド」と凸面鏡の絵画

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昨日は三菱一号館美術館のあと、
国立新美術館の「マン・レイ展」を見に行きました。
全410点、マン・レイの生涯を追いかける回顧展のような内容で
両脚はくたくたに疲れきっているのに、
両目は次の作品へ、次の作品へと前のめりに進んで行くような感じで。
単なる写真の展示だったらすぐに飽きてしまったかもしれないけど、
「どうやって撮ったんだろう?」と思わせるような不思議な作品ばかりでした。
そんなマン・レイの作品群のなかでも
特におもしろいと感じたのが「セルフ・ポートレイト、ハリウッド」。
凸面鏡に映るマン・レイと室内を撮影したもので、
鍵穴から覗き見たような不思議な気持ちにさせられる作品です。


セルフ・ポートレイト、ハリウッド
Self Portrait, Hollywood(1944)
Man Ray




この凸面鏡というアイデアですが、
実は西洋美術では半世紀前に先例があることをご存知でしょうか。
古くは1434年、フランドルの画家ヤン・ファン・エイクの
「アルノルフィニ夫妻の肖像」で、
手をつなぎ結婚の儀式にのぞむ夫妻の間に掛けられた鏡。
そこには儀式を見守り、それを描いたファン・エイク自身が描かれているといいます。
ちなみに、鏡に映された「そこにはいない人物」といえば、
ディエゴ・ベラスケスの「ラス・メニーナス」があまりにも有名です。
ただしこちらは凸面鏡ではなく平面鏡ですね。

アルノルフィニ夫妻の肖像
Double Portrait of Giovanni : Arnolfini and His Wife(1434)
Jan van Eyck




さらに時代は進んで、1523年頃のイタリア。
パルミジャニーノの「凸面鏡の自画像」を見てみましょう。
こちらはマン・レイ同様ストレートに凸面鏡に映った芸術家を描いています。
天地左右は歪曲し、突き出された右手は
そのまま画面の外に飛び出てきそうな印象。
こうした歪みがあってこそ、中央に配置された画家の端正な表情が際立ちます。

凸面鏡の自画像
Autoritratto allo specchio(1523-24)
Parmigianino




キリスト教において、凸面鏡は「神の目」と例えられていたそうです。
ファインダー越しに世界をのぞき、
被写体に新たな命を吹き込み、
その実験精神でもって写真表現の在り方を変えた
マン・レイにふさわしい題材だと思いませんか?


国立新美術館「マン・レイ展」の公式サイトはこちら
展示は9月13日まで、会期があと少しなこともあって意外に混雑していました。
興味のある方はお早めにどうぞ。
それから上野の国立西洋美術館に行けば、
パルミジャニーノの代表作「貴婦人の肖像(アンテア)」が目玉の
「カポディモンテ美術館展」が開催中です。
公式サイトはこちら。9月26日までの展示です。
「貴婦人の肖像(アンテア)」の紹介記事はこちらまで。



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