堀辰雄の「美しい村」を訪ねて
軽井沢旅行記その3です。
2日目(月曜)は10時ごろまで宿でのんびりして、
まずは小諸市内の高浜虚子記念館へ。
愛媛県松山に生まれ、正岡子規に兄事し俳句を学んだ虚子は、
その後東京、鎌倉と移住し、第二次大戦中に戦火を逃れて小諸を訪れます。
晩年の約4年間にわたり、小諸の風月を織り込んだ俳句の世界に浸ってきました。
高浜虚子記念館入り口。
虹立ちて忽ち君の在る如し
虹消えて忽ち君の無き如し
(高浜虚子)
高浜虚子記念館を一通り見た後は、「草笛」というお店で腹ごしらえ。
「藤村そば」という、山菜たっぷりのおそばをいただきました。
布引観音にも行きたかったんですが時間がないので断念し、しなの鉄道に乗車。
そのまま軽井沢駅に向うと思いきや、途中で気が変わって信濃追分駅で下車しまして。
ここは堀辰雄の「美しい村」の舞台であり、当時の小説家や詩人たちが夏を過ごした場所です。
駅のホームでは立原道造の詩がお出迎えしてくれて、感無量の思い。
あぁ、ここでたくさんの名作が生まれたのだと。
堀辰雄や立原道造らが主に過ごしたのは油屋旅館というところで、
信濃追分駅からタクシーで10分ほど。
夏の暑さから切り離されたような涼しい木立のなかを行くと、
当時のおもかげを色濃く残す家並が広がり、
油屋旅館の前には堀辰雄文学記念館が。
ちょうど小説「風立ちぬ」に関する展示をやっていて、
数々の場面や台詞を思いながら作品にまつわる資料を観覧しました。
作家関連の記念館としては敷地が非常に広く、
展示内容も充実していて予想以上に楽しめました。
旧堀辰雄邸や死の直前に完成した書庫もあり、
できれば夕方までのんびりしていたかったな……。
堀辰雄文学記念館の入り口。道の反対側に油屋旅館がある。
堀辰雄の書庫。実際に本が並べられたのは、彼が亡くなったあとだった。
右手が堀辰雄の書庫、左手が記念館別館。
さっき知ったんですが、油屋旅館は今でも宿泊できるそうなので、
次に訪れたときはぜひ泊まってみたいと思います。
堀辰雄や立原道造が創作にはげんだ場所で一夜を過ごせば、
何か自分も書けるかもしれない…(そんなことはないか)。
この後の道のりは、前々回に書いたとおり。
軽井沢タリアセンにも堀辰雄の別荘がありますので、
文学好きの方は合わせて訪れてみるとよいかと思います。
さて、来月には会社の同僚たちと伊豆大島の旅が控えています。
それまで仕事がんばらなくちゃ。
今日も明日もがんばろう。
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