マネ「笛を吹く少年」
7月9日から始まった国立新美術館の
「オルセー美術館展」、さっそく行ってきました。
副題は「印象派の誕生 —描くことの自由—」。
よって本展は、印象派の先駆ともいえる
エドゥアール・マネの作品をもって始まります。
Le Fifre(1866)
Edouard Manet
こちらはエドゥアール・マネ「笛を吹く少年」。
1866年の発表当時は理解を得られずサロンに落選し、
マネ没後の1884年の回顧展でも、やはり批評家を惑わせた作品です。
唯一、この作品を高く評価したのが作家のエミール・ゾラで、
彼は後にマネや印象派の面々の庇護者として筆をふるうようになります。
さて、この「笛を吹く少年」。
実は今まで、あまりいい絵だと思っていませんでした。
有名だしすごいんだろうけど、惹かれるものはないなぁ、みたいな。
でも実物はやっぱりすごかった。
高さ160cmの大画面に佇む少年はほぼ等身大で、
何もない空間でじっとこちらを見据えながら横笛を奏でています。
ベラスケスや浮世絵の影響によって
遠近感や陰影を極力排除し、平面的に描いたとはいうけれど、
この実在感といったら……。
うつつと夢との狭間で見るものを誘うような、
そんな不思議な作品でした。
オルセー美術館点は全9章で構成され、
最初と最後をマネの作品が占めています。
マネにはじまり、マネに終わる展覧会。
そのなかでミレーやクールベ、ブグロー、カバネルといった同時代の画家や
マネのあとに連なる印象派の作品が紹介されます。
もう何がすごいかって、まるで美術の教科書のような並びでして。
書籍で何度も目にした作品が、普通に日本で見られてしまうという奇跡。
マネの「笛を吹く少年」にしても、
普通の展覧会だったら最後のほうでドドーンと登場するだろうに
本展では序盤でいきなり出し惜しみせずでしたからね。
会期は10月20日まで。
どんどん混雑していくと思われますので、早めに見に行くのがよいかと思います。
大好きな花の絵もありました。マネ「シャクヤクと剪定ばさみ」。
今日も明日もがんばろう。
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