ミレー「晩鐘」
名画のなかの名画。
たとえ美術にうとかったとしても、
この絵を知らない人はいないんじゃないでしょうか。
L'Angelus(1857-59)
Jean-Francois Millet
ジャン=フランソワ・ミレー「晩鐘」。
画家が描いたのは、バルビゾン村の静謐な祈りです。
原題は「アンジェラスの鐘」といい、
遠景に見えるシャイイ教会では日に三度、
アンジェラスの鐘を響かせていました。
聖母マリア様、罪あるわたしたちのため、
いまも、臨終のときもお守りください——。
パンのかわりにジャガイモを食べるしかない貧しき人々は、
鐘がなるたびに作業を中断して祈りを捧げていたそうです。
そのなかには、ミレーの祖母もいたとのこと。
貧しき近景、富める遠景とはいうものの、
本作から感じるのは、純粋で敬虔な祈りです。
ミレーの意図がどうあったにせよ。
うつむいて祈りを捧げる彼らは、
一日の労働が終わったあとにもかかわらず
背中をまっすぐに伸ばし力強く大地を踏みしめています。
それが信仰というものの姿勢なのかもしれません。
本作も、国立新美術館の「オルセー美術館」で来日中。
これだけの名画にもかかわらず、
他の作品群があまりにすごいので存在がかすんでしまうという
贅沢すぎる状況に陥っています。
平日は18時までですが、金曜は20時まで開館しているので
夕暮れ時に合わせて「晩鐘」を見るのもいいかもしれません。
最後におまけ、真島昌利の名曲「空席」です。
歌詞に「ミレー風の陽が落ちていく」と。
今日も明日もがんばろう。
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