カイユボット「床に鉋をかける人々」
カイユボットの最高傑作といったら、
やっぱり「床に鉋をかける人々」じゃないかと。
ところどころ違和感をおぼえる構図ではあるものの、
かえってそれが作品の印象を強めているように思うのです。
いつか実物を見たいと熱望し、
昨年のカイユボット展で見られず肩すかし……と思いきや、
今回のオルセー展で来日してくれました。
Raboteurs de parquet(1875)
Gustave Caillebotte
上半身裸で鉋かけに精をだす男性たち。
結果、床には2つの表情が生まれ、
積み上った鉋くずもリアルに描かれています。
労働者を称賛するのでも同情するのでもなく、
その姿をありのままに描けたのは都市生活者のカイユボットだからこそでしょうか。
しかしその生々しい描写ゆえに本作はサロンで落選の憂き目にあい、
これがきっかけでカイユボットは印象派への参加を決意します。
画集などで見たときはまるで写真のようなリアルさに驚いたものですが、
102×147cmの本作は、実物を間近に見るとまた違った印象を受けます。
緻密さのなかに初期の荒削りな部分がところどころ垣間見えて、
それこそ画題そのものの、ここから磨かれていく画業を目の当たりにしているような。
本作を見たあとで、家に帰ってからカイユボット展の図録を読み返した人も多いかもですね。
さて、オルセー美術館展ですが
まだまだ紹介したい作品がたくさんありますので、
この調子でのんびり更新していきたいと思います。
今日も明日もがんばろう。
- 関連記事
-
- カイユボット「床に鉋をかける人々」
- カイユボット「ヨーロッパ橋」
- カイユボット「ピアノを弾く若い男」
- カイユボット「屋根の眺め(雪の効果)」
- カイユボット「パリの通り、雨」