ゴッドワード「涼しい隠れ家」
台風の影響で土日はあいにくの雨模様でした。
そんなときは家でゴロゴロするに限るぞと。
のび太君ばりに一生懸命のんびりいたしました。
Cool Retreat(1910)
John William Godward
ジョン・ウィリアム・ゴッドワード「涼しい隠れ家」。
「甘美な無為」に良く似た雰囲気の作品で、
大理石の肌合い、衣服の質感は本作でも際立っています。
見てるだけで涼しい気持ちになってしまいますね。
当時のイギリスは産業革命による激変のまっただなか。
あわただしい都市生活にあって、何もしない一時というのは
何物にも代え難い幸せであったようです。
古代ローマに思いを馳せて、優雅な閑暇にしばし憩う。
現代人にもそんな一時が大切だと思います。
現実逃避したっていいじゃない、人間だもの……。
ゴッドワードは英国のラファエル前派〜ヴィクトリア朝新古典主義の時代に活躍した画家。
今にしてみれば彼の作風はただただ美しく新鮮に映りますが、
こうした作風はフランスのアカデミズム同様に前時代的と受け取られていたようで
彼は「世界はそれほど大きくない」という言葉をのこして自ら命を絶ちます。
せめて魂の行き着くさきは、Cool Retreat であれと願ったかどうか。
もっと再評価がすすんで、国内で作品を紹介してほしいと願う画家のひとりです。
今日も明日もがんばろう。
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