マッテオ・コルコス「別れ」
Do you hear me,
I'm talking to you
Across the water across the deep blue ocean
Under the open sky, oh my, baby I'm trying
Boy I hear you in my dreams
I feel your whisper across the sea
I keep you with me in my heart
You make it easier when life gets hard
Farewell
Vittorio Matteo Corcos
ヴィットリオ・マッテオ・コルコス「別れ」。
損保ジャパン日本興亜美術館の「ノルマンディー展」で展示されていた作品です。
たたんだ日傘を手にした女性の右方にはたなびく煙があり、
思い人をのせた船が遠ざかって行くところなのでしょう。
その存在を隠すように画面はトリミングされていますが、
日傘や椅子の角度もまた船の存在を暗示しているように思われます。
……椅子にからみつくツタの葉は、しがみつく記憶の象徴でしょうか。
けれど彼女はそこに座ることを良しとせず、
その先の未来を見据えているようにも感じられます。
だって彼女の顔の角度は、その視線は、
水平線ではなく空の彼方をさしているから。
白い服も、穏やかな海も、彼女の心のありようを示しているのかもしれない。
未来に待ち受けているのが再会なのか、新たな出会いなのかは分かりません。
ただ、そこにあるのは悲しみではなく希望であると、そう思えるのです。
展覧会自体は少し難しく不親切なつくりでパッとしなかったのですが、
このような作品に出会えたのは嬉しいことでした。
それからボニントンの絵も1点出ていました。
「ある婦人の肖像」で名前が出てくる画家です。
あまりにささやかな符合ではありますが、少し幸せな気持ちになれました。
今日も明日もがんばろう。
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