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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

葛飾応為「三曲合奏図」

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美人画にかけては応為にはかなわない。
彼女は妙々と描き、よく画法に適っている。
——稀代の浮世絵師・葛飾北斎をしてこのように言わしめた
葛飾応為の作品が、ボストンから上野へ里帰りしております。


葛飾応為「三曲合奏図」
Three Women Playing Musical Instruments(1844-48)
Katsushika Oi




葛飾応為「三曲合奏図」。
琴を弾く女性は後ろ向きで蝶をあしらった豪奢な着物。
その左手で胡弓を弾く女性は、正面向きでやや控えめな着物。
そして右側の三味線の女性は、横向きで地味目の服装。
三者三様に描き分ける構図の面白さもさることながら、
やはり見どころは彼女達の指でしょうか。
艶やかな音色とともに、緊張感や高揚や、彼女達の想いまで聞こえてきそう。


目は口ほどに物を言うということわざもありますが、
指先もまた、非常に雄弁であり感情豊かであると思っています。
指先の名手といえば個人的には上村松園を連想しますが、
葛飾応為のこの作品も実にすばらしい!
このへんの繊細な表現は、やはり女性の方が長けているのかもしれません。


葛飾応為は北斎の三女。
一度は嫁ぐものの離縁され、その後晩年の北斎とともに暮らし、
北斎の手伝い、というか代筆まで行っていたそうです。
その腕前は、冒頭の北斎の言葉のとおり。
上野の森美術館の「ボストン美術館浮世絵名品展 北斎」では、
唯一北斎以外で展示されていた作品が応為の「三曲合奏図」でした。
ちなみにぼくが一番時間をかけて鑑賞したのも実はこの作品。
混雑にくじけず、がんばって並んだ甲斐がありました(笑)


そういえば、葛飾応為(お栄)といえば
杉浦日向子の漫画「百日紅」の主人公。
北斎や応為、渓斎英泉などの浮世絵師を軸に
江戸の風物を描いた傑作ですが、
なんでもアニメーション映画化とのことで。
う〜ん、どうなるんでしょう。




今日も明日もがんばろう。
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