FC2ブログ

足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

マネ「エミール・ゾラの肖像」

0   0


前回ご紹介した、ディエゴ・ベラスケスの「バッカスの勝利」。
この作品を画中画として使用したのが、
印象派の先駆者、エドゥアール・マネ。
1867年ごろの作品、「エミール・ゾラの肖像」において、
彼の芸術理念、印象派による新しい芸術を表現するための
小道具として用いられています。


エミール・ゾラの肖像
Portrait d'Emile Zola(1867-1868)
Edouard Manet




「オランピア」「草上の昼食」でスキャンダルの渦中にあったマネにとって、
ゾラは強力な擁護者であり、よき理解者でもありました。
机の上(右端)には、実際にゾラが執筆した論文の冊子が描かれており、
表紙に描かれた「MANET」の文字が読み取れます。
この作品は三菱一号館美術館のマネ展でも展示されていましたね。
マネ展で個人的に一番目を惹かれた作品でした。


画面の右上に見えるのが、「バッカスの勝利」です。
近代西洋絵画の伝統を意味するこの作品の上に貼られているのが、
当時の日本趣味が感じ取れる相撲の浮世絵。
これは二代目歌川国明の浮世絵「大鳴門灘右ヱ門」。
そして、さらにその上に貼られているのが
マネ自身の代表作「オランピア」です。
これら3作の人物はいずれもゾラの方に顔を向けており、
「オランピア」に関してはわざわざオリジナルと顔の向きを変えているほど。
ただ単にこの3枚を重ねたのではなく、
強いメッセージが込められていることが伺えます。

エミール・ゾラの肖像(部分)



「西洋絵画」の上に「日本の浮世絵」、
そしてその上に自身の作品を配置する??。
これこそマネの芸術論であり、強い自負心のあらわれでもあります。
すなわち、西洋の伝統と日本の伝統を統合した新しい芸術、
それこそがマネの「オランピア」である、と。


考え過ぎでしょうか? こじつけっぽいでしょうか?
いやいや、印象派の台頭を予感させるこの静物トリロジーは、
何もマネに限ったことではないのです。
たとえば、1870年に発表されたファンタン=ラトゥールの
「バティニョル街のアトリエ」。
イーゼルを前に絵筆を握るマネを中心に、
後の印象派を構成する画家の面々が描かれています。
一番右に立つのはクロード・モネ。
帽子をかぶり、うつむきがちにたたずむオーギュスト・ルノワール。
その横に立つのが、作家エミール・ゾラ。
マネの右で椅子に座るのはフレデリック・バジール、などなど。
ついつい若き印象派の画家たちに目が行ってしまいましたが、
重要なのは赤いテーブルクロスの上に配された左上の静物。
右奥の小像はミネルヴァの石膏像。
左奥には日本の陶器皿。
そして手前に配置されるのは「ブヴィエの壷」です。
この「ブヴィエの壷」もまた、
西洋の伝統(ミネルヴァの小像)と日本の伝統(陶器皿)を融合した
新しい芸術の象徴であるとされています。

バティニョル街のアトリエ
Un atelier aux Batignolles(1870)
Henri Fantin-Latour




もう一点、印象派の大家であるルノワールの作品も見てみましょう。
1871年の「花束のある静物」では、
奥にベラスケス派の「小さな騎士たち」、
その前に東洋風の花瓶とうちわ、
最前列にはマネの「オランピア」を連想させる花束。
この3つの静物の位置関係もまた、
「エミール・ゾラの肖像」「バティニョル街のアトリエ」同様、
新しい芸術を示唆しています。

花束のある静物
Still Life With Bouquet(1871)
Pierre-Augustê




これら静物トリロジーと新しい芸術という考え方は、
吉川節子氏の「印象派の誕生 マネとモネ」に詳しく書かれています。
印象派に関する本は数えきれないくらいありますが、
この作品は特に秀逸。おすすめです。



ぽちっとお願いします!
人気ブログランキングへ  Twitterボタン



印象派印象派
(2010/09/23)
インゴ・F・ヴァルター

商品詳細を見る


関連記事

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:http://suesue201.blog64.fc2.com/tb.php/107-f509e62f
該当の記事は見つかりませんでした。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。