セガンティーニ「虚栄(ヴァニタス)」
先日、1日だけ夏休みをいただきまして
国立新美術館の「チューリヒ美術館展」を見てきました。
スイスの美術館だけにゆかりの画家の作品も多く、
入ってすぐに出迎えてくれたのはセガンティーニでした。ありがたや。
Vanity(1897)
Giovanni Segantini
こちらはジョヴァンニ・セガンティーニ「虚栄(ヴァニタス)」。
前に損保ジャパン美で開かれたセガンティーニ展でも出ていた作品です。
アルプスの光に満ちた風景と裸身の女性を描いた美しい作品、かと思いきや
タイトルがあらわすように、よく見れば意味深な一枚。
女性は水面に映る自身の姿に見惚れており、
そこに禍々しいドラゴンが身を潜めています。
泉からは小川が上方に伸びており、その先に輪になって踊る人々が。
セガンティーニはこの作品について、
「私はアルプス山中の春に特有の魔術的な静寂が、
この画面を支配するようにしました」と手紙に書いています。
印象派から象徴主義へと画風を移行させたセガンティーニらしい一枚です。
今年はスイスと日本の国交樹立150周年にあたるそうで、
セガンティーニのほかホドラー、ヴァロットン、クレー、ジャコメッティと
スイスゆかりの画家たちの作品が集まっていました。
そして圧巻は、モネの横幅6mもの「睡蓮」。
部屋を14ブロックに区切り、
「巨匠の部屋」と「時代の部屋」を交互に配置しているのも
分かりやすく理解が深まる試みでした。
誰でも知っているような有名作品は少ないものの、
全体的に粒ぞろいで飽きることのない展覧会です。
ぜひオルセー美術館展と合わせて鑑賞しましょう。
今日も明日もがんばろう。
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