ミレー「種をまく人」
気がつけば明日(1月12日)が最終日。
三菱一号館美術館の「ミレー展」、すっかり紹介するのが遅くなってしまいました。
まずは日本でもなじみの深い、こちらの作品から。
The Sower(1850)
Jean-François Millet
ジャン=フランソワ・ミレー「種をまく人」。
ボストン美術館所蔵の、ミレーの傑作です。
伸ばした右手で種をまいており、
その上(画面左上)に目を転じると、
鳥たちが飛び立っているのが分かります。
まいた種が大地に根をはり、豊かに実ることを予感させるような。
足を踏み出す男性の姿もとても躍動的で、
その力強さに思わず見入ってしまいました。
ここでちょいと豆知識。
もしお手元に岩波文庫があるようでしたら、
表紙の左下を見てみましょう。
「種をまく人」がロゴに採用されており、
岩波書店の創業者が農家出身だったことに由来しているのだとか。
そんなわけで、日本人になじみの深い一枚なわけです。
話を展覧会に戻しましょう。
今回の「ミレー展」はボストン美術館の所蔵品で構成されており、
ミレーを中心に、コローやディアズなど
同時代に活躍したバルビゾンの画家の作品が並びます。
バルビゾンの深い森、そして農村の何気ない風景。
力強く種をまく男性もいれば、草刈の合間に笑顔を向ける女性もいます。
落日に照らされて帰り支度を始める人々、
そして家庭では、子どもに編み物を教える母親の姿。
そのいずれもが生きる歓びに満ちあふれていました。
見に行ったのは昨秋でしたが、
短期間でミレーの「種をまく人」と、
「晩鐘(新美術館のオルセー展にて)」を見られたのはありがたいことでした。
コロー「草刈り」。西洋美術館の「コロー展」、森美術館の「ボストン美術館展」でも来日してました♪
今回の展覧会に足を運べなかったという方は、
山梨県立美術館に行くといいかもです。
こちらはミレー作品の蒐集を積極的に進めており、
「種をまく人」の別バージョンも所蔵しているほど。
ぼくもまだ行ったことがないんですが、
いつか訪問したいと思っている次第です。
今日も明日もがんばろう。
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