ファンタン=ラトゥール「皿の上の3つの桃」
三菱一号館美術館のワシントン・ナショナル・ギャラリー展で、
特に気になった作品がこちら。
アンリ・ファンタン=ラトゥール「皿の上の3つの桃」です。
Three Peaches on a Plate(1868)
Henri Fantin-Latour
この作品、実は2011年の国立新美術館でも来日してて
そのときはさほど印象に残らなかったのですが……。
あらためて作品を見て、そのすごさに気付かされたわけです。
はちきれそうに熟した桃、つやめいた皿、そして木のテーブル。
きわめてシンプルな構図ながら、これらを丁寧に描き分けて
甘い香りが漂ってきそうなくらいです。
テーブルの木の質感なんて、もう偏執的といっていいくらい。
印象派の画家たちと親交厚く彼らの姿勢に共感していたものの、
彼の写実的な描写は印象派とは明らかに異なります。
それだけに、控えめな佇まいであるにもかかわらず
「印象派」の名を冠した展覧会では
彼の作品が強く記憶に残ってしまうんです。
ラトゥールといえば静物画、特にバラを描いたら右に出る者はいないほどで、
これまでも彼のバラを何度か紹介してきました。
で、ちょっと調べてみたところ桃を描いた作品も非常に多いんですね。
バラと比べるといかにも地味で控えめに感じられますが、
オディロン・ルドンが小さな風景画を自分のためだけに描いていたように、
ラトゥールもまた、売ることは考えず、自分自身のために桃を描いていたそうです。
それでは最後に、ラトゥールの桃をまとめて。
ああ……桃食べたい。。
今日も明日もがんばろう。
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