フェルメール「天文学者」
またひとつ、フェルメールの作品に会うことができました。
国立新美術館の「ルーブル美術館展」にて。
The Astronomer(1668)
Johannes Vermeer
フェルメールの「天文学者」。
前にBunkamuraで見た「地理学者」と対をなすような、
書斎の学者、叡智の象徴のような作品です。
いかにもフェルメールらしい窓から射す光。
学者は天球儀に手をあてて、物思いにふけっているようです。
天球儀のうえにかかっている時計のようなものは星座の早見表。
机のうえの本はアードリアン・メティウスの「天文学・地理学案内書」で、
開かれたページまで判別できるとのこと。
そして右上にかけられた絵は「モーセの発見」。
このことから、天文学者は神へ至る道を表しているのでは、という説もあるそうです。
フェルメールの「天文学者」は今回が初の来日。
350年も前に描かれた作品をいま見ることができるだけでもありがたいことで、
実際この絵は一度は失われたことのある作品なのです。
かつて画家を志した独裁者、アドルフ・ヒトラーの手によって。
幸いにも終戦後、アメリカ軍に発見され、元の持ち主の手に戻り、
ルーブル美術館へ寄贈されたとのこと。
そんなわけである意味奇跡のような一枚でもあるのですが、
正直に言ってしまうと、個人的にはあまりピンと来ませんでした。
チラシや本などで見ていた色とは大きく異なっていて、
青が色褪せてしまっているんですよね。
上の画像よりもさらに全体的にセピア調で、
そういう作品だと割り切ってしまえばいいんですが…。
テーブルクロスなんて、まったくそれと判別できなくて
草が生えているようにしか見えなくて……。
なんだか残念な気持ちでした。
今回の展覧会は風俗画に焦点をあてているので
その中心にフェルメールが据えられているのはもっともだと思うんだけど、
個人的には、ムリーリョやティツィアーノの作品のほうが良かったかな。
クロード・ロランやシャルダン、ヴァトー、コローあたりも。
思ったより混雑もしていなかったし、
なんだかんだで全体的には満足度の高い展覧会でした。
3月25日からマグリット展がはじまるので、
そのときにまた見に行くかもです。
今日も明日もがんばろう。
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