フェルメール(に帰属)「聖プラクセディス」
先月の話になりますが、
国立西洋美術館でフェルメールの「聖プラクセディス」を見てきました。
Saint Praxedis(1655)
Johannes Vermeer
2014年にオークションで個人収集家が入手し、
翌年、国立西洋美術館に寄贈したという太っ腹な話で、
日本の美術館がフェルメール作品を所蔵するのはこれが初となります。
ただし作者がほんとうにフェルメールかどうかは議論の分かれるところで、
国立西洋美術館も「フェルメールに帰属」という表現をしていました。
フェルメール本人が描いたとしたら、
制作年は1655年、画家の最初期の作品ということになります。
描かれているのは、処刑されたキリスト教信者の遺体を清めることに努めた
聖プラクセディスという人物。
赤い衣をまとい、握りしめたスポンジからは血が滴り落ちています。
後ろには処刑された男性の遺体があり、なかなかエグい……。
空の青はフェルメールらしくラピスラズリをぜいたくに使っていますが、
この作品を見て、青が心に残る人はあまりいないでしょうね。
むしろ画面の多くを占める赤が、血の色も相まって毒々しい印象でした。
本作は、イタリアのフェリーチェ・フィケレッリという画家が描いた
「聖プラクセディス」の模写であるとされており、
聖女が十字架を持っている点以外はほとんど同じ構図で描かれています。
ただし、オランダ出身のフェルメールがイタリアに行ったという記録はなく、
どこでフィケレッリの作品を見たのか、疑問もあがっているとのこと。
さて、真実はいかに……ということで実物を見てみたものの、
それを判断する審美眼なんて自分にはあるはずもなく(笑)
ただ、仮にフェルメールの作品だったとしても
好きにはなれないなぁ、といったところです。
特に心に残るなにかがあったわけでもなく、
そもそも血を見るのは嫌いなもんで……。
今後、常設展で展示されててもスルーしてしまいそうな気がします。
今日も明日もがんばろう。
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